211話 模擬戦とその後
そして私にとっては模擬戦二戦目。
私対レグルス達4人。何も知らない人が見ると「いじめか?」という構図。
そしてマリン達が戦ってるのを観戦している人達は。
『‥‥‥。』
しばらく誰も声を発しなかった。
ちなみに王国側の人達は見慣れてるので普通に観戦しているだけ。
リジア、リオト、ルビアは見慣れてるとはいえないが、見たことはあるってだけ。
なので、驚いてるのは皇族とマリンの両親だけだった。
「ラルク‥‥‥レグルスが前よりすごくなってる気がするんだが‥‥。」
「マリンの影響だろうな。」
「っていうか、シリウスとリゲルもあんなにできるやつらだったのか?」
「いいえ、陛下。シリウス達もマリンちゃんのお陰ですよ。」
「そうなのか?」
「ええ。去年と今年の夏休みと、学園での魔法科の授業。その時間にマリンちゃんが色々教えてくれて、実際に魔法を使う時の相手もしてくれましたからね。無詠唱ができる様になったのもマリンちゃんのお陰ですよ。」
「すげぇな‥‥マリン。冒険者じゃなくて魔法の講師にでもなればいいのに。」
「ああ。そういう道もあるな。」
そして、やっぱりマリンが勝って全員で戻ってくると。
「いかがでしたか?陛下。」
「正直驚いた。レグルスとベネトも昔より強くなってるし、シリウスとリゲルまで無詠唱っていうのもな。」
「でしょう?父上。もっと強くなって、いつか私も父上を倒してみせますよ。」
「ははは!まだまだ負けてやるつもりはないぞ?」
「マリンさん。」
「はい?」
「ベネトが前より強くなってる気がしますが、マリンさんのお陰ですか?」
「そうですよ。父上。マリンはいい見本ですからね。俺の場合は学年が違うので相手してもらうのは夏休みの間ぐらいですけどね。」
「そうでしたか。ありがとうございます。マリンさん。」
「いえ、私はただ対戦相手しただけですから。それより‥‥‥」
「なんだ?」
「ベネトさんの敬語、久しぶりに聞いたなって‥‥。」
「ははは!確かにそうだな。」
「敬語使う相手が普段周りにいないだけだ。」
「そうですね。」
その後は普通に城に戻って昼食をとり、各々の部屋や客室へと向かった。
今年は関係性が変わった人達がいるので、私と姉様が一緒の部屋なのは変わらないが、そこにルビアとリジアが加わって四人部屋だ。
ちなみにさすが城。客室はそれなりにあって、ヒスイ兄様夫妻、フレイ兄様夫妻、両親はそれぞれ二人部屋。
シリウス、リゲルとアクア兄様、リオトでここも二人部屋。
そして昼食前にお風呂に入って汗は流してるので、今は四人で一息ついていた。
「それで、マリン。パーティーまでどうする?」
「う~ん‥‥‥あ。庭園行きます。」
「じゃあ私も行こうかな。」
「私も行きたいですわ。」
「私も。」
「じゃあみんなで行きましょうか、姉様。」
「そうね。」
そして庭園に着くと早速。
《あ!マリンだ!》
「久しぶりだね。」
《うん。本当にまた来てくれたんだね。》
「勿論。」
「あの、クリス様。庭園の素晴らしさに感動したかったのにそれより気になることが目の前にあるんですが‥‥マリンは誰と話してるんですか?」
「同じくですわ。」
「多分精霊ね。」
「本当に話せるんですね‥‥‥。」
「リジアも話せるよ?ほら。」
《こんにちは。》
「わ!‥‥‥こんにちは‥‥。本当に見えるし聞こえる‥‥‥。」
「同じくですわ‥‥‥。」
《マリン。この子達は?》
《この子、マリンのお姉ちゃんだったよね?》
「うん。こっちの二人は親戚だよ。」
「リジアっていうの。」
「ルビアですわ。」
《リジアとルビア?》
「うん。」「はい。」
《ルビア‥‥見たことある?》
「多分マリア姉様だね。去年も一緒にきた人の妹だよ。」
《そっか!》
《だからか!》
「ふふっ。やっぱりいた。マリンちゃん。」
《あ、お姉ちゃん?》
「ええ。ルビアのお姉ちゃんよ。」
「リリ姉様とマリア姉様もいらしたんですね。」
「ええ。」
「兄様達は?」
「お義父様と一緒に陛下のところに行ったわ。」
「そっか。」
「あらあら。私だけ仲間外れかしら?」
「母様!」
《マリンのお母さん?》
「そうだよ。」
「あら?この子が精霊?」
「そうですよ。母様。」
《お母さん、名前は?》
「ディアナよ。」
《ディアナ?》
「ええ。」
《綺麗な名前だね!》
「ふふっ。ありがとう。」
「みんな馴染んでる‥‥私最初戸惑ったのに‥‥。」
「え?戸惑ったの?マリン。」
「はい。私だけが見えるんですよ?戸惑いますよ。」
「そうなんだ。てっきり最初から普通に話してたと思ってたわ。」
と談笑していると。
「マリン。皆さんも。そろそろ時間ですよ。」
「レグルス‥‥‥もう‥‥?」
「ああ。舞踏会が始まるぞ?マリン。」
「何で嬉しそうなのよ‥‥?」
「またマリンと踊れるからだが?」
「本当に、よくサラッと言えるよね。」
『本当に。』
女性陣全員呆れ半分の顔です。
「ははは!とりあえず、時間なのは確かだ。準備してくれ。」
「ベネトさん‥‥分かった‥‥。」
そして私達は舞踏会へと向かう。
‥‥‥‥貴族令嬢、大変‥‥。
貴族令嬢に産まれた宿命ですね。
冒険者になろうとそこは関係なしです。容赦なく貴族令嬢であることをマリンに思い出させますよ~作者は。