210話 ちょっとした衝撃
夕食の時。
リオト、ルビアの二人もご飯に挑戦していたが、やっぱりさほど好きではないみたいだ。
リジアはどっちでもない雰囲気だった。
私は好きなのにな‥‥‥。
私は勿論、ご飯食を嬉々として食べていた。
そして私は食べ終わった後、真っ直ぐ調理場に向かっていた。
調理場。
扉を開けた私は開口一番に。
「お久しぶりです!料理長!味噌汁の改善、素晴らしかったです!」
「マリン様!?お久しぶりです‥‥‥味噌汁?あ。具を変えてみた件ですか?」
「はい、そうです!カボチョ、入れてくれてましたね。しかも出汁取ってましたか?」
「お分かりになりました?陛下が海沿いの土地に視察に行かれた時にお土産だと下さったのですが、マリン様のレシピに出来れば出汁を取った方が美味しいとあったのを思い出しまして。これの事かと。」
といって料理長が見せてくれたのは鰹節。しかも削る前の硬いやつの状態。
「か、鰹節!あったんですね‥‥!」
「名前までご存知とは‥‥‥すごいですね。マリン様。」
「あはは‥‥。」
言える訳ない‥‥。鰹節を知ってる理由はただひとつ。前世の記憶があるからなんだから。
「クリス様。」
「何?リジア。」
「マリンが皇帝陛下と意気投合した理由が一気に分かった気がします。」
「「同じくです。」」
「でしょうね‥‥。」
何故かついてきていた姉様、リジア、リオト、ルビアが背後で話していた。
そして翌日。闘技場にて。
もう毎年恒例になってしまった陛下との模擬戦。
雪奈姉との修行の成果もあり、去年よりあっさり勝った。
陛下とみんなのところに戻ると。
「おかえり。マリン。今年も勝ったわね。」
「はい。ただいまです。姉様。」
「マリン‥‥すごいわね‥‥ベアル先輩にあっさり勝つなんて。」
「だから、相手にはもってこいなんだよな。」
「だからって先輩。軽く私の娘に模擬戦挑まないでくれます?」
「強いんだから大丈夫だろ?」
「そういう問題じゃありません。マリンは女の子なんですよ?」
「だから?」
「母様。去年、私も言ってみましたが何とも思ってないみたいなので言うだけ無駄です。」
「みたいね‥‥。」
「‥‥‥確かにそうだが、言い方に刺があるな。」
「それはそうでしょう。父上。13歳の女の子に模擬戦挑むなんて本来は大人気ないことしてるんですから。」
「くっ‥‥‥言うようになったな。レグルス。」
「マリンが良くて息子の私が駄目ということもないでしょう?」
「まあな。」
「それで父上。去年より早く模擬戦が終わったので、昼食までまだ時間がありますが、どうしますか?」
「こっちにも刺が‥‥‥まあ、いいか。う~ん‥‥‥あ。シリウス、リゲル。二人の実力見せてくれないか?」
「「え?」」
「去年もマリンにだけ模擬戦相手してもらってお前らの実力見てなかったなと思ってな。」
「ああ、確かにそうでしたね。どうやって見せましょうか?」
「マリン。また相手してやってくれないか?」
「いいですよ。シリウスとリゲルはレグルスと一緒に学園でも授業で相手してますしね。」
「そうなのか?」
「はい。去年は選択授業だけでしたが、今年はシリウスとリゲルもSクラスに入ってきたので、普通の魔法授業でも一緒ですね。」
「え!?お前らもSクラスになったのか!?」
「「はい。」」
「衝撃の事実だな‥‥‥あ。もしかしてマリン、三人同時に相手してたりするか?」
「はい。」
「なら、レグルスも入れて三人のを見たいんだが、いいか?」
「私はいいですよ。」
「俺も構いませんよ。」
「俺もです。」
「私も。なんならベネトさんも入れますか?父上。」
「え?大丈夫なのか?」
「大丈夫ですよ。父上。実際に何度か私達4人の相手をしてもらってますが、私達は必ず負けてます。」
「そうなのか?」
「はい。」
「なら、それで頼む。」
「分かりました。」
そしてマリン達5人と審判の元帥が舞台に進むのを見送りながら。
「そういえば俺、ベネトの実力見るの久しぶりだな。」
「レグルスもでしょ?あなた。」
「ああ。確かにそうだな。」
と皇帝夫妻が話していた。