209話 到着
さて、この魔物の集団どうしよう‥‥。
私は一先ずゲートで壁の上に立って、下の魔物の集団を見下ろしていた。
全滅させるのは面倒だけど、適当に追い返したら生態系を壊すかもしれないし‥‥‥。
う~ん。そもそもこいつらどこから来たんだろ?
と、考えていると。
「あれ?マリンさんですか?」
と呼ばれたので振り返って下を見ると、元帥様が兵士さん達と共にいた。
「あ。元帥様。お久しぶりです。マリンです。」
「マリンさん、もしかして竜が来ましたか?」
「はい。もう帰っていきましたけど。」
「そ、そうですか。それで、この壁は?」
「えっと。竜が暴れたみたいで、それでここまで逃げてきた魔物の集団がいます。」
『え!?』
「あ、元帥様。私が去年浄化した場所ってあの後、魔物が発生してたりしますか?」
「え?‥‥‥いえ。そんな報告は上がってません。」
「なら、この魔物の集団をそこに強制的に移動させても問題ないですか?」
「え、ええ。その魔物の集団がどれ程いるかは知りませんが、あそこは広いので問題ないと思います。」
「分かりました!ありがとうございます。」
さて。なら、土壁にゲート開いたらいいか。
土壁に上から手をついてゲートを開くと、未だ体当たりを続けていた魔物達がそのままの勢いで次々とゲートに吸い込まれていった。
さすがに最後尾の魔物達は警戒し出したので、今度は私が中に飛び降りて自らを獲物として誘き寄せて再びゲートで強制的に移動して頂いた。
そして魔物がいなくなったところで土壁を全て消して元通りの大地に戻した。
「えっと‥‥マリンさん?」
「魔物達は強制的に移動して頂きましたよ。」
「そ、そうですか。マリンさん。殿下はどちらに?」
「あそこです。」
私がシールドを張った上でみんなを置いてきた場所を指差すと、その方向を見た元帥様が安心したように。
「さすがマリンさんですね。合流しましょうか。」
「はい。そうですね。」
そしてみんなのところに戻り、シールドを解除した途端。
「マリン!怪我は!?」
「大丈夫ですよ。姉様。無傷です。」
「良かった~。」
「マリン。竜と話してなかったか?それに治癒魔法か何か使ったか?」
「はい。あの白竜は古竜だったみたいで話せました。それで、怪我が原因で痛みに耐えながらここまで来てしまったらしいので治療しました。その怪我は人間が毒付きの矢を放ったのが、運悪く左足に当たってしまったと言ってました。」
「何ですと!?‥‥‥すみません。我が国の民かは分かりませんが、お手数お掛けしました。」
「いえ。」
「竜の移動情報が入って急いで来ましたが、お陰で助かりました。」
そう言うと、元帥様は一緒に来た兵士さん達の一部に念のための警戒要員としてここに残るように指示を出した後。
「さて折角合流できましたし、共に参りませんか?」
「そうですね。」
ということで私達は再び出発して、街に2泊してゆっくり休んでから帝都に向かった。
数日後。
帝都に到着したが、相変わらずそのまま城へと直行した。
そして謁見の間。
「皇帝陛下。お久しぶりです。」
「ああ。マリン、みんなもよく来たな。初めて来るやつもいるだろ?」
「いますよ~。」
「お初にお目に掛けます。私はセレスティン王国第二王子のリオト・ユラ・セレスティンと申します。」
「同じくリコリス公爵家次女のルビア・フォン・リコリスと申しますわ。」
「同じくアドニス伯爵家のフリージア・フォン・アドニスと申します。よろしければリジアとお呼びください。」
そしてその後に続いて皇帝夫妻も自己紹介したあと。
「‥‥シリウス、リゲル。」
「「はい?」」
「お前ら本当に兄だったんだな。」
「マリン達と似た反応だ‥‥。」
「しょうがないよ。私達と陛下は正直に言っただけだから。」
「「‥‥‥。」」
「名前とか国王陛下に聞いてはいたが、実際に見るまで信じられなかったんだよ‥‥‥お前ら兄弟よく似てるな。見た目は。」
「ははは‥‥‥そうですね‥‥。」
「それはそうとマリン。確認だが、踊れるよな?」
「陛下~?踊れますけど、私が目立ちたくないの知ってますよね?」
「ああ。だけど面白いことになるかと思ってな。そろそろ親善パーティーの内容を変えようかと検討してたから丁度良かったしな。」
「はぁ‥‥そうですか‥‥‥。」
「で、マリン。今年も模擬戦やるよな?」
「腹立つのでやめようかと今検討してました。」
「なに!?」
「いや、マリン。俺達の為にも受けてくれ。」
「そうだぞ~?去年も一昨年もマリンが相手しただけでラルク達とはしてないだろ?」
「確かにそうですけど‥‥‥って父様だけじゃなく兄様達もですか。」
『勿論。』
視線を感じて振り返ると、兄三人含む男性陣が『頼むから模擬戦相手はマリンがしてくれ』と言わんばかりの目で訴えていた。
「分かりました。模擬戦、やりますよ。でも明日です。」
「ああ。分かってる。」
「マリン。毎年ごめんなさいね。」
「いえ。皇后様。もう諦めてます。」
「そ、そう‥‥。」
「目の前の光景が信じられないのだけど‥‥。」
「僕もです‥‥。」
「私もですわ‥‥。」
「俺達も去年驚いたな‥‥。」
「ああ‥‥。」
「ふふっ。マリンが皇帝陛下と堂々と話してるから?」
「「「はい。」」」
「マリンちゃんは初めて来た一昨年からあんな感じよ?」
「「「え!?」」」
「だから私と友人にもすぐなってくれたんだぞ?」
「なるほど‥‥‥一昨年、夏休み明けにいきなり皇太子と友人になったと聞いた時は、どうしたらそんな状況になるんだろ?って思ったけど、この光景見たら納得だわ。」
『確かに。』
そんなことを背後でリジア達が話していた。
マリンが言った「この魔物の集団どうしよう。」はそのまま作者の心情でした。
208話を投稿した後に、色々対処方法あるじゃないかとリアルに悩みました。ちょっと迷走してまして、遅れました。すみません。