206話 毎年恒例の 2
さて、今年も行く帝国。
まず王都からは王子二人、公爵家二人、大公夫妻(ヒスイ兄様達)、帝国組二人、うちの五人とリジア。合わせて14人。既に大所帯。
そして去年と似たような感じで三台の馬車に別れて乗った。
一台目。父様、母様、アクア兄様、姉様。
二台目。ヒスイ兄様、リリ姉様、リオト、ルビア。
三台目。私、リジア、シリウス、リゲル、レグルス、ベネトさん。
‥‥‥‥やっぱりこうなるよね。
と、思いつつ今年も馬車の窓から外をぼーっと見ていた。
「で、マリン。今年は何考えてるんだ?」
「ん?別に。今年は何も考えてないよ。ただぼーっと外見てただけ。」
「そうか。じゃあサーチの魔法やってみるから指導頼んでいいか?」
「うん。いいよ。といっても周辺には野生の動物しかいないよ?」
「そうか。でも気配としては探知できるってことだよな?」
「まあ、そうだね。」
「なら、私もやってみる。」
「「俺も。」」「私も。」
「ベネトさんだけじゃなかったね。いいよ。今年は平和みたいだから大丈夫でしょ。」
「去年みたいに何か来てもマリンがいるだろ?」
「はいはい。守って差し上げますよ。」
「去年何か来たの‥‥?」
「うん。コボルトの集団が来たね。シリウスとリゲルが大半倒したけど。」
「は!?マリンじゃないの?」
「うん。私は二人が逃したのを倒しただけ。」
「三人で倒したの?」
「うん。」
「すごいことやらせるわね。マリン。」
「そう?で、サーチはいいの?」
『あ。』
それからはみんな集中してサーチの訓練をしていた。
なんと一緒にいる全員が個人差はあるけどサーチ、使えそうなのだ。
‥‥‥早く教えてあげたら良かったかな?
そして本当に何事もなく平和に領地の辺境伯邸に着いた。
「ただいま戻りました。」
「「おかえり。」」
「おお‥‥マリア姉様が‥‥おかえり‥‥。」
「マリンちゃん?」
「ああ~お姉ちゃんなんだ~って実感してました。」
「そっか。」
「嬉しそうね~マリア。」
「嬉しいに決まってるじゃない。マリンちゃんにおかえりって言った瞬間私もマリンちゃんが妹なんだな~って実感してたもの。」
「マリア、クリス、マリン。玄関で戯れるとみんなが入ってこれないだろ。」
「「「あ。」」」
「ふふっ。そうよ~?マリアとクリスだけずるいわ。」
「いや、リリ。違うだろ。」
「いいから早く入れ!」
『はい!!』
父様の一喝久しぶりに聞いた~。
「リオト、ルビア、リジアもいらっしゃい。」
「「「お邪魔します。」」」
そして各々客室や自室へと向かい、夕食を食べて一日が終わった。
翌日。
これも毎年恒例なので私達兄弟全員(姉様以外)が朝から起きて剣術訓練をしていると、後からぞろぞろと姉様達やシリウス達も集まってきた。
リジアもルビアも来た。
‥‥誰に呼ばれて来たかは聞かなかった。多分姉様達三人だろう。
という訳で。
「兄様達。今年もやります?」
「「「「勿論!!」」」」
「「「?」」」
「リオト、ルビア、リジア。今年初めてくるから知らないだろうが、この兄弟とんでもねぇぞ。それが今から見れるぞ。」
「ベネトさん。私達を化け物みたいに言わないでよ。」
「聞こえてたか。」
「む。とりあえず移動するよ。」
そしてゲートでいつもの荒野へ。
「さて、ここなら思いっきりできるからな。やるぞマリン。」
「は~い。で、今年も魔力刃も駄目ですよね?」
「「「「勿論。」」」」
「大人気ない‥‥。」
「いや、マリンが強すぎるんだよ。」
「まあ、いいですけど。早速ですか?」
「「「勿論だ。」」」「勿論よ!」
「何が始まるの?」
「兄弟対決。魔法師団で見た以上のが見れるぞ。」
「え?」
そして上の兄弟4人対私の模擬戦開始です。
兄弟対決の模擬戦中。
「な、何‥‥あれ‥‥‥。」
「ま、マリン姉様一人で‥‥‥。」
「凄すぎますわ‥‥‥。」
「リジア。魔法科の授業でマリンが本気出してないってこれで分かっただろ?」
「うん‥‥‥。」
「まあ、あれでも本気出してないらしいけどな。」
「「「え!?」」」
「マリンが本気出したらどうなるんだろうな?」
「この辺り一帯の大地が抉れるんじゃないか?」
『‥‥‥。』
「じゃあマリンが本気出したら学園無くなるって‥‥。」
「嘘じゃないだろうな。」
「「「‥‥‥。」」」
「ちょっと!ベネトさん!」
「なんだ?」
「なんだじゃないよ。審判だって忘れてない?」
「だって審判なんていらねぇだろ?」
「む。」
「って終わってたか。勝者マリン‥‥‥って言うだけじゃねぇか。」
「そうだけど‥‥‥。」
マリンが兄弟全員を水の上に乗せて運んで来た。
これも毎年恒例の光景。
「本当に勝っちゃうのね‥‥マリン。」
「うん。」
そして兄弟全員が起きてきたので。今度は。
「マリン。次、俺達もいいか?」
「いいよ~。」
「「「え!?」」」
「え?マリン、シリウス達ともやるの?」
「うん。やるよ?あ。ベネトさんも入る?」
「お。いいのか?」
「うん。いいよ。」
「嘘でしょ!?」
「え?あ。兄様達とやってる時も最小限にしか魔力も体力も使ってないから平気だよ?」
「「「‥‥‥。」」」
「マリンに脅威ってあるのかしら?」
『‥‥‥‥。』
『なさそうだな‥‥』と全員が思っていた。
そしてシリウス、リゲル、レグルス、ベネトの4人との対決にもあっさり勝ったマリンだった。