204話 とある日の選択授業
数日後。
選択授業の武術科。
武術というだけあって、剣術だけではなく槍術、弓術、柔術を学ぶ。
勿論メインは剣術。
たまに生徒の希望に添って槍や弓もやらせてくれる。
そして武術科担当教師であるヴァン・フォン・ウェントス先生から、
「今日は趣向を変えて、やりたいのをやっていいぞ。なんか希望あるやついるか?」
やった!やってみたいのあったんだよね~!
「はい!」
私がバッと手を上げると。
「お。クローバーか。何がしたい?」
「弓術をやりたいです!」
「弓術か‥‥‥他は?なんか希望あるやついるか?」
「私は弓術でいいですよ。」
「「俺もです。」」
「私も。」
「おう‥‥皇太子殿下に王子に公爵家‥‥改めてすげぇ面子が集まっちまったな‥‥みんなもいいか?」
『はい。』
やった!弓引ける!
「じゃあ移動するぞ。」
弓術ができるのは嬉しい。が。
一応ある弓道場に移動したが、弓道なのに袴がない。
なので動きやすい運動着だ。
設備は似てるのに何故だ‥‥‥今度は袴も作るの挑戦しようかな‥‥?
「さて弓術だが、やったことあるやついるか?」
『‥‥‥‥。』
「ん?クローバーもないのか?辺境伯家だろ?」
「そうですけど、うちは何故か弓を使わないんですよ。」
「そうなのか?なら、軽く俺がやってみるからちゃんと見とけよ。」
『はい。』
軽くといいながらさすが先生。ど真ん中に命中させた。
『おお~!』
「じゃあとりあえずやってみろ。一人ずつ見て教えるから。」
『はい。』
そして私の番になった。
えっと‥‥やり方はアーチェリーとさほど変わらなかった筈‥‥‥祭りの出し物のアーチェリーしかやったことないからな‥‥‥やってみたかったんだよね~。
という考えを振り払い、やり方を思い出しながら。
矢を番えて‥‥弓を押しながら弦を引いて‥‥放つ。
「‥‥‥‥あ。さすがにいきなり的には当たらないか。」
「クローバー‥‥初めてだったよな?」
「え?はい。」
弓は確かに初めてだ。
「やり方完璧だったぞ。あとは狙いだけだ。」
「本当ですか!?」
「ああ。」
「先生、授業以外でもここを使うのは駄目でしょうか?」
「ん?個人的に弓をやりたいのか?」
「はい。やってる間、気持ちが引き締まるので!」
「そうか。なら申請しとくからやりたくなったら職員室にこい。」
「本当ですか!?」
「ああ。」
「ありがとうございます!先生。もう一本いいですか?」
「ああ。いいぞ。」
「では、遠慮なく!‥‥‥‥」
そして同じ様に矢を放つと、今度は的には当たったが真ん中ではなかった。
「‥‥‥やっぱり難しいですね。魔法とは違って。」
「だろ?クローバーは魔法の腕が有名だからな。武術科に来たのは意外だったけど嬉しかったぞ。」
「そうですか?剣術ならうちでも教わってましたよ?」
「だろうな。さて、そろそろ授業時間終わるから片付けるぞ。」
『はい。』
そして片付け終わった頃に授業終了を告げる音が鳴った。
「お。丁度だったな。クローバー。」
「はい?」
「治癒魔法使えたよな?」
「はい。」
「弦を腕に打ち付けたやつの治療、頼んでいいか?」
「はい。いいですよ。」
「じゃあ頼む。ありがとな。じゃあみんな、またな。」
『ありがとうございました!』
そして先生が去った後、私が他の人の腕の治療をしてる間先に終わったシリウス、リゲル、レグルス、アイリスが待っていた。
「四人共。待ってなくてもいいよ?」
「いや。俺達はこの後、行く場所は同じだろ?」
「まあ、そうだね‥‥‥よし。これで大丈夫。」
「ありがとう。」
「いいえ。さて、終わったから着替えて生徒会行こうか。」
「「「ああ。」」」
「アイリス、行こ。」
「うん。」
そして制服に着替え終わった私達はアイリスと別れて生徒会に向かった。
「あ。マリン。みんなも、遅かったね。」
「うん。今日弓術やりに行っててね、腕に弦を打ち付けた人達の治療してから来たんだよ。」
「なるほど。」
「リジア。マリンが弓術にはまったみたいだ。」
「え?」
「選択授業以外でも道場を使いたいって言い出した。」
「だからふらっといなくなったら道場かもしれんぞ。」
「あ、そういうことか。分かった。」
「む。さすがに一言言ってから行くよ。」
「そうですよ。兄上。」
「ん?マリンが打ち身あるわよ?」
「え?‥‥本当だ。【ヒール】」
「サラッと魔法使ったわね‥‥。」
「え?治癒魔法だからいいですよね?会長。」
「駄目って言っても遅いじゃないか。問題ないけど。」
「ほら。」
「みたいね。」
そしてその日の生徒会業務をきっちり終わらせて帰路についた。
武術科担当の先生の名前を入れてなかったので、加えました。