203話 そういえば
リオトのお願いは?
「サーチの魔法なら生徒会の人達全員使っていいんですよね?」
「うん。そうだよ。」
「使える人は?」
「あ、そういえば私と会長だけじゃないですか?」
「そういえばそうだな。」
「お願いというのは僕にもサーチを教えてほしいということです。僕も使える様になりますか?」
「えっと、どうだろ?これ感覚の問題だから早い人はすぐ使える様になると思うけど‥‥。」
「ちなみにマリン姉様はどうだったんですか?」
「私は5歳の時についてくれた家庭教師の先生が見せてくれたんだけど、それを見て真似したらできた。」
『5歳!?』
「えっと‥‥‥驚くことなんですか?会長。」
「ああ‥‥多分な。」
「え?ではマリン姉様は一発で?」
「ん?うん。そうだよ。」
『マジか‥‥。』
「俺は後々マリンに教わったな。」
「会長が後なんですか?」
「ああ。うちの兄弟全員、個人差はあるが使える。教えたのはマリンだ。」
『兄弟全員!?』
「ああ。」
「で、やってみる?リオト。」
「はい!やってみたいです!」
「私もやってみたいですわ!」
「私もやってみたい。」
「俺も。」
「‥‥‥‥やってみたい方、手を上げてみて下さい。」
バッと魔法使える人達全員が手を上げた。
中には剣術試験で入って魔法使えない人もいるからね。
「とりあえず下げていいですよ。どうします?会長。」
「教えてあげたらいいじゃないか。」
「え?会長、手伝ってくれないんですか?」
「そんな訳ないだろ。でも細かくはマリンが伝えた方が分かりやすいだろ?」
「そうなんですか?」
「俺は分かりやすかったぞ?」
「そうですか‥‥。」
「マリン姉様。もしかして今も使ってたりしますか?」
「ん?勿論。」
『え!?』
「魔法科の授業中も使ってるからもう無意識だね。」
『‥‥‥。』
「マリン‥‥私達の相手しながらサーチも?」
「うん。」
「「「「‥‥‥。」」」」
「ん?どうしたの?」
「いや‥‥改めてすごいなって思っただけだ‥‥。」
「?もう説明入っていい?」
『どうぞ‥‥。』
「えっと、まずサーチは索敵魔法なのは知ってるよね?
魔力を薄く伸ばして気配を探る魔法。慣れれば人が何人いて、魔物が何匹いるって分かる様になるよ。」
「マリン姉様は?」
「私は遭遇したことがある魔物なら気配で分かるよ。だから人間と魔物の区別もできるし、何人いるかも分かるよ。」
「それだけじゃないだろ?」
「会長‥‥はい。魔法を使える人の属性も分かるよ。これでリリ姉様が誘拐された時、見つけられたんだよ。」
「すごいです!マリン姉様!」
「そうかな‥‥?とりあえずサーチは訓練あるのみだよ。私もサーチの魔法使い続けて今みたいに分かるようになったからね。」
「はい!」
「じゃあやってみて。」
「えっと魔力を薄く伸ばして気配を探るんですよね?」
「うん。今は人間の気配しかないけどね。」
「やってみます!」
とリオトがやり始めたらみんなもやり始めた。
「‥‥‥会長、どうします?今日って顔合わせだけの筈ですよね?」
「ああ‥‥まさかの希望人数だったな。」
「ですね。冒険者は使えた方がいいので使える率は高いですが、生徒会の中で冒険者って私だけなので皆さんは本来使えなくても問題ない方達の筈なんですけどね。」
「だな。」
「会長、マリン。ちゃんと教えてほしそうに見てるぞ、みんな。」
「「あ。」」
「本当ですね。そういえばカイト先輩は剣術試験でしたっけ?」
「ああ。」
「何で誘拐されたんだろうな?」
「ですね。」
「この兄妹‥‥まあ、いっか。」
「さて、どうですか?皆さん。何か感じます?」
「僕には‥‥何か塊が‥‥。」
「それは私達が固まった場所にいるからだね。気配で何人かは分かりそう?」
「いえ‥‥大きな塊にしか見えないので。」
「そっか。とりあえず気配ってこれかなって分かるぐらい?」
「そんな感じです。」
「そっか。なら使える様になると思うよ。リオト。」
「本当ですか!?」
「あ。ほら、油断すると解けちゃうでしょ?まずは集中してやってみようか。」
「はい。」
「ちゃんと残りの魔力量も考えてね。」
「はい。」
「マリン。」
「はい?」
「そろそろ止めようか。」
「そうですね。みんな。止めてください。」
「え?終わるの?」
「リジア。時間。」
「あ。」
「あとは個人で暇な時に練習したらいいよ。」
「そうね。」
「これはある意味マリンの器用さと集中力を最大限に生かした魔法だな。」
『確かに。』
「へ?そう?」
『うん。』
どうやら私に近しい人達の共通認識のようだ‥‥。
そうしてリオト達の生徒会初日は終わった。