199話 生徒会と入学式
翌日。
まだ選択授業は開始されないので座学のみということで、あっという間に放課後。
そして生徒会室。
今日からシリウスとリゲルも加わる。
「「会長」新入り連れてきました。」
「ああ‥‥自分で言っといて慣れないな‥‥。」
「改めて。王国の第一王子のシリウス・ユラ・セレスティンです。」
「リコリス公爵家のリゲル・フォン・リコリスです。」
「ああ。知ってるだろうが、生徒会長のアクア・フォン・クローバーだ。よろしくな。二人共。」
「「はい。」」
「おお~。」
「何だ?マリン。」
「いえアクア兄様が、シリウスとリゲルに対して敬語なくなった‥‥と思いまして。不思議だなと。」
「ああ。なるほどな。二人共、そういえば聞いて無かったが、俺も呼び捨て敬語なしで良かったか?」
「「勿論。」」
「おお~!なんとなく嬉しくなる瞬間。」
「なんとなくなの?」
「うん。なんとなくだね。で、会長。例のやつ、やります?」
「「例のやつ?」」
「う~ん。でも大半のやつが知ってるんじゃないか?」
「じゃあカイト先輩。」
「ん?何だ?」
「シリウスとリゲルの実力、ご存知ですか?」
「ん?一年の時、マリンと模擬戦したのしか知らない。」
「他の先輩方も?」
『うん。』
「ほら、会長。後輩は私達の模擬戦すら見てませんし、やりません?例の恒例行事。」
「ん?そういえば私もやった記憶ないぞ?」
「俺も。」
「あれ?レグルスとベネトさんも?」
「確かに皇太子殿下達のも知りませんね。」
「カイト先輩が敬語‥‥!」
「確かに‥‥!」
「ひでぇ兄妹だな。」
「じゃあ4人共やってもらいますか!」
「ああ。」
「何やるんだ?」
「魔法の実力を示すんだよ。的当てだけで大丈夫だよ。」
「何だ、そんなことか。」
「うん。だからみんな程々にね。」
「「「「分かった。」」」」
『え?』
そして戸惑ってる他の生徒会メンバーを無視して魔法訓練場へ生徒会全員で移動した。
そしてシリウス、リゲル、レグルス、ベネトさんの魔法を一通り見せると。
『‥‥‥‥。』
全員無言でした。実力を知ってる私達以外。
「うん。授業の時より威力抑えたね3人共。ベネトさんも模擬戦より威力落としてくれたね。」
「「「「勿論。」」」」
『え!?』
「みたいだな。さて、生徒会室戻るぞ。」
「はーい。」
『え?今の日常?見慣れてるの?あれで威力落としてたの?4人共。無詠唱だし‥‥すげぇ‥‥‥。』
以上マリン達以外の生徒会メンバーの心の声でした。
数日後の朝。
入学式です。生徒会以外の在校生は休日です。
学園で新入生を会場である講堂に案内していると。
「マリン姉様!」
「あ!リオト、ルビア。おはよう。」
「「おはようございます!」」
「ふふっ。二人共制服似合うね。」
「ありがとうございます。マリン姉様。」
「‥‥‥。」
「リオト、緊張してるでしょ。」
「うっ。はい。」
「ふふっ。大丈夫。私も緊張してたから分かるよ。」
「え?マリン姉様もですか?」
「勿論。大勢の前で話すとか逃げたかったよ。正直。」
「では、どうやって緊張を抑えたのですか?」
「そうだな‥‥‥まずはなるようになれ精神だね。でもやっぱり壇上に上がった瞬間が一番緊張するんだよ。」
「は、はい。」
「私の時はね、深呼吸して周囲を見渡したら父様達が見えて、最後にねリジアの笑顔が見えたの。そしたらね、スッと緊張が抜けて話せた。だからね、リオト。どうしても緊張が取れないようなら深呼吸して周りを見たらいいよ。そしたらここには味方しかいないって分かるから。」
「味方?」
「うん。みんなリオトが話すのを待ってくれる。聞いてくれる。だからまずはリオトが落ち着くことを考えたらいいよ。大丈夫だと思えたら話始めたらいいの。」
「‥‥‥‥はい。分かりました。ありがとうございます。マリン姉様。」
「うん。シリウスと見守ってるから頑張ってね。」
「はい!」
そしてリオト達が講堂の中に入っていった後。
「みんな、立ち聞きは感心しないよ?会長もです。」
『ははは‥‥。』
「ありがとな。マリン。」
「どういたしまして。リオトなら大丈夫だよね?」
「ああ。」
「マリン。俺と同じだな。」
「兄様もだったんですか?」
「ああ。俺も壇上に上がった瞬間が一番緊張したな。俺も深呼吸したし、周囲を見渡したりしたな。それで気分が紛れるかなって。」
「紛れました?」
「あんまり。だから父様達に聞かせるつもりで話した。」
「ああ、極端な言い方だと父様達以外を有象無象だと?」
「そんな感じだ。」
「それも一つの手ですね。」
「首席のみが分かる体験談だな。」
「うん。そうだよ。リオトに話せるのは経験者の私と兄様だけだね。」
「そうだな。助かったよ。リオトも表情を見る限りは大丈夫そうだ。」
「うん。私達もそろそろ中に入りましょうか。「会長」。」
「ふっ。ああ。」