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転生できたので自由に生きたい  作者: 霜月満月
第7章 世界の歴史とこれから
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189話 その頃の日本と日常

一方その頃日本では。


「なあ、春斗。明日休みだよな?どっか行かないか?」

「悪いが、パス。用事があるんだよ。」

「ん?‥‥ああ、明日命日か?今度は誰だ?」

「いとこの姉ちゃん。」

「今度はいとこか。お前も大変だな。一緒に暮らしてた実の姉2人を同時に亡くして、数年後に親父さん、そのまた数年後にいとこの姉ちゃん亡くすって。」

「そうだな‥‥‥そういう訳だから明日は無理だ。」

「へいへい。じゃあ先帰るわ。じゃあな!」

「おう。」


さて、俺も仕事終わったし帰るか。


そして翌日。

父、母、姉2人の名前が彫られた墓石の隣。

自分にとっては叔父に当たる人の墓石の前に立つと、そこには叔父と叔母の名前と共にある人の名前が彫られていた。


白石鈴音


秘かに慕っていた、好きだった人の名前。

今日は鈴音の3回忌の日だった。

そして春斗は墓石を綺麗にした後、買ってきた花を活けて線香を焚き、手を合わせた。


鈴姉。俺、鈴姉が死んだ時と同じ歳になったよ。

‥‥‥‥何で死んじまったんだ‥‥‥鈴姉、男っ気ないから安心してたのに。今度会ったら告白するつもりだったのに、その前に事故死とか‥‥‥雪奈姉と柚蘭姉もだけど‥‥父さんもだけど‥‥鈴姉まで死んじまったら俺は一人ぼっちじゃん。

‥‥‥墓石に言ってもしょうがないか。


そして、折角来たからと隣の自分の家族の墓石も綺麗にして、花を活けて線香を焚き、同じく手を合わせると、他に特に行く場所もなければ行く気にもなれなかった為、家に帰った。


今も変わらず当時のままの家。

父が遺してくれた家。父、雪奈、柚蘭、鈴音と暮らした時のままの家。

そして仏壇の前に行くと、そこには5人の写真。物心つく前に亡くなった母。突然亡くなった姉2人。病気で亡くなった父。両親が亡くなってうちに居候していたいとこ。


その鈴音の写真を見ながら春斗は。


「ずっと鈴姉しか見てなかったんだから今更他のやつ探すとか無理だよ‥‥‥‥はぁ‥‥一度でいいから「鈴音」って呼び捨てで呼んで見たかったな。どんな反応したかな‥‥‥はぁ~全く、どうしたらいいんだよ。かと言って自殺なんかしたら姉ちゃん達全員にキレられそうだしな‥‥‥‥‥ちゃんと成仏してるよな?みんな。」


と呟いていた。


◇◇◇◇◇


「「っくしゅん!」」

「雪奈姉?」「鈴?」

「誰か噂してたとかかな?」

「私達を?」

「私達を揃って噂するなら‥‥‥春斗君かな?」

「だね。春斗、鈴のこと好きだったからね。」

「‥‥‥‥‥‥‥え?」

「え?やっぱり気付いてなかったの!?」

「え、え?春斗君が?私を?そんな素振り微塵もなかったよ?」

「そう?私も柚蘭も春斗はいつ言うんだろ~って話してたぐらい春斗、分かりやすかったよ?」

「え!?私‥‥‥そんなに鈍感だったの?」

「うん。」

「うわ‥‥‥今更ながら春斗君にごめんだね‥‥‥もうどうすることもできないけど。」

「そうだね‥‥‥。」

「さて、春斗君には悪いけどしんみりしてられないからね。雪奈姉、戻して。」

「うん。」


そしてマリンが12歳の体に戻ると。

「あ。そうだ。帰る前に懐かしいの見せてあげるからちょっと待ってて。」

「え?うん。」


そして十分後。

「じゃん!どうよ?」

「え?浴衣?この世界にあったの?」

「ないよ?王国にも帝国にも。だから反物買って記憶を頼りに自分で作った。」

「すごっ!‥‥‥よく似合ってるよ。鈴。」

「ありがと。雪奈姉。で、記憶を頼りに着てみたけど、着方合ってる?」

「ん?‥‥‥‥‥‥うん。合ってる。」

「良かった~。じゃあまた着替えてくる。」

そう言ってまた訓練用の服に着替えて戻ってくると。


「着替えちゃった‥‥‥あのまま帰ったら良かったのに。」

「いやいや、向こうは冬だよ?寒いっての。それに浴衣は別の時にみんなに見せる予定だからいいの。」

「お。じゃあマリンとしての浴衣姿みたの、私が初めて?」

「うん。そうだよ。」

「おお~。でも‥‥本当に転生後の人生を楽しんでるみたいで安心した。」

「うん!楽しいよ。じゃあ私、今の家に‥‥家族のところに帰るね。」

「うん。」


そしてゲートで王都にある屋敷の自分の部屋に着くと。


《雪奈姉、聞こえる?》

《うん。聞こえるよ。成功みたいだね。》

《うん。これでいつでも話せるね。》

《うん。じゃあまたね。鈴。》

《うん。》


そして部屋を出て一階に降りて行くと。


「マリン!?」

「え?あ、姉様。ただいま戻りまし‥‥っ!‥‥‥‥た。」


再び姉様にタックルされて二人して床に倒れました。

また後頭部打った‥‥‥。


「クリス?何してるのよ?」


姉様の後ろから掛かった声。この声は‥‥


「あれ?リリ姉様?」

「え?マリンちゃん?クリス、マリンちゃんを下敷きにしてるわよ!」

「は!ご、ごめん。マリン。」

と言いながら私の上から退いてくれたので、私も起き上がる。


「いえ‥‥いった‥‥‥姉様、怪我してないですか?」

「う、うん。大丈夫。」

「なら良かったです。【ヒール】」


‥‥‥‥ん?ヒールってこんなだったかな?

前より効き目がいいような‥‥‥もしかして世界樹の祝福?


「マリン。大丈夫?」

「はい。大丈夫ですよ。ところでリリ姉様は何故うちに?」

「マリンちゃんと話そうと思ってきたら連休を利用して修行に行ったって聞いたから待ってたのよ。」

「え?そうなんですか?すみません。」

「いいのよ。とりあえず、お帰りなさいマリンちゃん。」

「はい。ただいま戻りました。リリ姉様。」

「あれ?マリンか?」

「あ!ヒスイ兄様!‥‥‥アクア兄様もただいま戻りました。」

「「おかえり。」」

「マリンちゃん。私達、これから昼食だけど一緒に食べる?」

「はい!是非。」


こうして私は「マリン」としての日常に戻る。

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