187話 歴史の補足
「私の目線からの歴史だけど、こんな感じかな。」
「‥‥‥‥‥‥‥」
「鈴?」
「雪奈姉‥‥‥今色々な感情とか‥‥頭の整理というか‥‥とりあえず頭の中、ぐちゃぐちゃ‥‥‥。」
「だよね。一気に話したからね。」
「と、とりあえず‥‥‥柚蘭が一緒にいなかったのはあの封印の中に今もいるから‥‥?」
「うん。そうだよ。」
「私が‥‥‥柚蘭を助けられる‥‥?」
「うん。むしろ鈴じゃないと助けられない。」
「!!‥‥‥浄化?」
「うん。そうだよ。」
「私が‥‥柚蘭を助けられる‥‥‥やっと‥‥柚蘭と雪奈姉に恩返しできるんだ‥‥‥!」
「まだそんなこと言ってるの?もう私達全員、日本では死んでるんだよ?」
「そうだけど、マリンになっても私の記憶に残ってる。だから、私も柚蘭にまた会いたいから絶対助ける!」
「!!!‥‥‥昔、柚蘭が「いつか誰か、浄化を使える人が助けてくれる」って言ってたけど、それが鈴なら柚蘭も嬉しいと思うよ。勿論私も嬉しい。また会えたから。」
「うん!私も嬉しい。あ。そういえば色々質問あるんだけどいい?」
「いいよ。」
「じゃあ、まず何で帝国と王国。別々に建国したの?」
「ああ、それはね。グランが出身地に世界樹の株分けがあるから守らないといけないって言ってたからだよ。ランスに話を聞いてたらしくてね。一つに纏めて王国だけだと、その株分けを守るの大変でしょ?しかもグランも統率力あるやつだったからついていく人が多かったんだよ。だから、グランの方でも独自に建国してくれって声が上がってたって。戦友だからお互いの領地はどこまでとかも話しやすかったし、いいんじゃない?ってあっさり別々の国を作ることが決まったね。」
「だから今でも気軽に帝国に行けるんだね。」
「そういうこと。」
「じゃあ、次。何で雪奈姉達の名前、残さなかったの?」
「お。我が息子はちゃんと言うことを聞いてくれたようだね。」
「我が息子?‥‥は!そっか!雪奈姉‥‥初代王妃!」
「う‥‥‥そ、そうだね。」
「で、何で残さなかったの?」
「私達の名前を残すと柚蘭がいないのを不思議がられるし、封印のことも残すことになる。封印を知った馬鹿なやつが興味本位で奇跡的に封印を解いてしまったらどうなる?ってことを考えた私達はいっそのこと、歴史を記さなければいいという結論を出したんだよ。ハデスを倒した時、既に私と柚蘭は半神になってたからね。他の人達より長く生きるだろうからこうして生き証人として話せるからって思ってね。」
「‥‥‥すごいこと考えるね‥‥‥。」
「そう?‥‥‥でもやっぱり柚蘭の名前は残したいなって思ってね‥‥‥王族の名前に「ユラ」ってあるでしょ?あれは柚蘭のことだよ。2代目の国王に名乗らせたけど、ちゃんと続いてる?」
「え!?‥‥‥続いてる‥‥‥ユラって柚蘭のことだったの‥‥‥?」
「うん。」
「‥‥‥は!そういえば‥‥シリウスやリゲル達は雪奈姉の子孫!?」
「はは!そうなるね~。」
「不思議な気分だ‥‥‥シリウスが‥‥リゲルが‥‥雪奈姉の子孫‥‥?」
「そんな風に言われると確かに不思議な気分だね。そういえば今って建国からどれぐらい経ったの?」
「400年。」
「400年か‥‥。」
「400年も柚蘭はあの池の封印の中‥‥‥。」
「そうなるね。」
「ねぇ。あの封印、いつ解けるの?」
「分からない。どれぐらい封印できるか創造神様も分からないって言ってたから。」
「いつ解けてもおかしくない?」
「うん。」
「そうなんだ‥‥。池の核と四神達の4つに分裂した水晶を一ヶ所に揃えた瞬間封印が解けるとかは?」
「ないらしいよ。四神達に持たせた水晶は核の封印が完全に解けるまで漏れ出すのを抑える為。核の封印が解けるのを待つしかない。」
「そっかぁ。じゃあ、やっぱり今すぐ柚蘭を助けることはできないんだね。」
「うん。そうなる。他に聞きたいことは?」
「あ、四神達がいる遺跡ってどうしたの?あんな都合よく四方に最初からあった訳じゃないでしょ?」
「ところがあったんだよ。元々ハデスがおかしくなったのは予想外だったからね。魔族との戦争が終わったら今後の生活の為に産業やらの拡充に手をつけ始めたりするでしょ?そんな時にあの世界、魔物の森はあってもダンジョンが一切なかったの。娯楽とは違うけど、冒険者にとっては全く面白みがない状況でしょ?だから創造神様がとりあえずダンジョンの一部‥‥というか一階部分だけ‥‥だから核だけ?を都合よく4つ作ってたんだよ。それぞれ後で本格的に作り始めればいいや、ぐらいのを。」
「て、適当だね‥‥。」
「ハデスのせいで創造神様達の予定もめちゃくちゃになったってさ。で、四神だけの空間ならそれだけの方が場所を隠しやすくていいか。ってことでその元核だけダンジョンの一階部分を創造神様に四方に配置してもらって、そこに四神達にいてもらったってわけ。」
「四神達を守ってる結界は?」
「ダンジョンの核を強化して限られた人しか通れない様にしたって。」
「今は私と雪奈姉?」
「だと思うよ。」
「へ~。」
「他はある?」
「う~ん。今の所、ぱっと思い付くのはそれぐらいかな‥‥あ、ちなみに雪奈姉との念話って向こうに戻っても出来る?」
「あ~‥‥どうだろ?試す相手がいなかったからな‥‥帰ったらやってみてよ。」
「うん。そうする。じゃあ、今度は私の番だね。雪奈姉に話したいことがあるって言ったの覚えてる?」
「うん。勿論。」
ここからは私が話したかったこと。
私にとってはおじさん。雪奈姉にとってはお父さんの話。