181話 歴史の真実1
雪奈姉と家の中に入り、雪奈姉がこの世界にないと思っていたコーヒーを淹れてくれた後。2人で向かい合ってソファーに座ると、雪奈姉から話を切り出した。
「鈴。知ってると思うけど、私は人に話すのはあんまり上手くない。だから「ん?」って思うこともあるだろうけど、とりあえず聞いて。」
「分かった。」
「この世界に来る前のことは鈴も知ってるから省くけど‥‥そういえばこの世界の歴史はどんな風に伝わってる?」
「えっと‥‥」
私はダンジョンの中で思い出していた内容を伝えた。
「おお‥‥歴史、覚えたんだね。鈴。」
「うん。勿論。私の話は後だよ。雪奈姉。」
「あ。また話が反れるところだったね。ちゃんと話すよ、最初から。」
そしてその後はちゃんと話してくれた。
まず、聖女に召喚されてきた勇者が雪奈で、賢者が柚蘭だと。
これは私の予想通りだった。
雪奈と柚蘭を召喚したのは初代聖女で名前はルチア。
ルチアは雪奈と柚蘭にこう言った。
「今、人間と魔族の間で戦争が起きています。どうか魔族の王を倒すべく我々を導いて下さい。」と。
その言葉に2人は「冗談じゃない。私達を巻き込まないで。早く元の世界に帰して。父親が、幼なじみのいとこが待ってるんだ。」と言って怒ったが、現実は残酷で。
「帰すことはできない。この召喚魔法は一度きりの一方通行だから。」とルチアは申し訳なさそうに言った。
2人はその言葉に絶望してしばらく2人だけにしてくれと一週間あてがわれた部屋に閉じ籠っていた。
この一週間の間、2人は部屋でこれからどうするか話していた。
そして結論は至ってシンプルだった。
とりあえず戦って、それが終わったら帰る方法を考えようと。
そして部屋から出た2人がまずしたのは洗礼で、2人にルチアが使い方の説明をしていく。
そしてまず、雪奈から
「【ステータスオープン】」
[名前]セツナ・シライシ
[種族]人間族 [性別]女性 [年齢]十九歳
[称号]他世界の者 勇者
[レベル]1
[体力]4,000/4,000
[魔力]39,000/39,000
[能力]S
[魔法]
火魔法Lv.5
風魔法Lv.5
土魔法Lv.4
光魔法Lv.4
空間魔法Lv.5
[スキル]
鑑定Lv.4
武術Lv.5
体術Lv.5
物理耐性Lv.5
魔法耐性Lv.5
[加護]
創造神の加護Lv.3
生命神の加護Lv.3
魔法神の加護Lv.4
武神の加護Lv.5
商業神の加護Lv.5
「これが私のステータス?」
「はい。そうです。」
「じゃあ、私もやってみる。【ステータスオープン】」
[名前]ユラ・シライシ
[種族]人間族 [性別]女性 [年齢]十六歳
[称号]他世界の者 賢者
[レベル]1
[体力]2,000/2,000
[魔力]50,000/50,000
[能力]S
[魔法]
火魔法Lv.5
風魔法Lv.4
水魔法Lv.5
土魔法Lv.4
光魔法Lv.5
空間魔法Lv.5
[スキル]
鑑定Lv.4
武術Lv.3
体術Lv.3
物理耐性Lv.4
魔法耐性Lv.5
[加護]
創造神の加護Lv.3
生命神の加護Lv.3
魔法神の加護Lv.5
武神の加護Lv.3
商業神の加護Lv.5
「私も出た。賢者?」
「私なんて勇者だよ?」
「お姉ちゃんにぴったりじゃん。」
「そう?柚蘭の賢者は納得だけどね。剣道やるよりマンガとか読んでる方が好きだったからね。」
「うん。それは良かったよ。これで剣持って戦うとかだったら私には無理だから。」
「でも一応武神の加護もあるみたいだからやったら戦えるんじゃない?」
「え~?やだよ。折角魔法使えるのに魔法の練習だけがいい。」
「勿体ないな~。鈴だったら両方やりそうなのに。」
「あの、セツナ様。スズ様とは?」
「最初に話した幼なじみのいとこだよ。柚蘭と同い年の女の子で名前は鈴音。愛称で鈴って呼んでるんだけど、いつも柚蘭と行動しててね、私と一緒に剣道したり柚蘭とマンガ呼んだりしてて私達とずっと一緒にいた子だよ。」
「そうですか‥‥‥。」
「大丈夫だよ。鈴なら。もう私達がついてなくても一人で生きていける筈だから。」
「だね。でも私達が鈴に会いたいから帰りたいんだよね。」
「うん。そうだね。」
そして2人は教国に留まったまま鍛練を重ねた。そしてある程度戦える様になった所で。
「セツナ様、ユラ様。これから北の最前線手前まで行って頂けますか?」
「手前?最前線じゃなくて?」
「はい。魔族の国は海の向こう側ですので船に乗って行く必要があるのです。」
「そうなんだ。じゃあ手前に前線基地でもあるの?」
「はい。街が出来上がりそうな規模の基地があります。そこへ合流して頂きたいのです。」
「分かった。行くのは私達だけ?」
「いいえ。私もお供します。」
「え?でも聖女なんだから教国から出られないんじゃないの?」
「本来は。ですが、私はお二人を召喚した者。そして聖女は世襲制にするつもりもありませんので、例え私が戦死しても次代の聖女が現れて継いでくれます。なので問題ありません。」
『問題あります!』
「‥‥ってみんな言ってるけど?」
「知りません!」
『え!?』
「行きましょう!セツナ様、ユラ様!」
「「う、うん。」」
そして「いいのかな?」と思いつつルチアを含めた3人は最前線手前の基地に向かった。
歴史語るだけで長くなりそうです‥‥。