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転生できたので自由に生きたい  作者: 霜月満月
第7章 世界の歴史とこれから
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176話 曖昧な歴史

雪奈姉と話すのはやっぱり楽しい。

でも話してるのは休憩場所。休憩する為にいる。

だから区切りがいいところで切り上げて休んだ。


‥‥‥‥のだが。

雪奈姉は10階の時だけじゃなく20階~40階の間で私のことを根掘り葉掘り聞いてきた。王子の名前とか出会いとか事細かく聞いてきた。前世のことも。

でも雪奈姉は自分のことは話さなかった。私も聞かなかった。柚蘭のことでさえ「後で」と言われたから。

だから確認だけする事にした。


そして私は50階の休憩場所に着いた。


『雪奈姉。50階の休憩場所、着いたよ。』

『お。お疲れ~。今回は長かったね。』

『うん。基本はSSランクみたいだけど、SSSランクもいたんじゃないかな?何か倒し辛いのがいたから。』

『いや、まだSSSじゃないよ。50階ならSS+が出始める辺りだしね。これから上はSS+の方が多くなって80階辺りからはSSSのみになるよ。』

『げっ!マジで!?』

『マジで。じゃないと鈴には修行にならないでしょ?後々竜とかも出てくるよ。』

『竜ってまさか青龍の眷属連れて来たんじゃないよね?』

『勿論。純粋にこの世界で産まれた子達だよ。それにダンジョンなんだから倒しても時間が経ったらまた出てくるよ。』

『ならいいけど‥‥‥。そういえば雪奈姉。私がここに入ってどれぐらい経ったの?』

『1年だよ。』

『1年か‥‥雪奈姉に会う前に創造神様に聞いたときは日数は気にしなくていいって言ってたけど、時間の流れが違うの?』

『うん。こっちの2年は鈴がいたところでは1日だよ。』

『え!?じゃあ向こうはまだ半日しか経ってないの?』

『そうだよ。』

『‥‥‥‥気にしなくていいってことは分かった。』

『うん。そんなもんでいいよ。』

『でも1年か。道理で。』

『背、伸びてるんじゃない?』

『うん。魔法を活用して洗ったりしながら数着を着まわしてたけど、ちょっときつくなってきてたんだよね。』

『そう思って50階には服もあるよ。』

『え?』

休憩場所を見回すとクローゼットがあって、中を見るとずらっと複数の服がかけてあった。


『本当だ‥‥。』

『それ、好きなの着ていっていいよ。あげる。』

『いいの?』

『うん。とりあえず私のサイズに合わせて作ってあるからぶかぶかかもしれないけど、それでも良かったら。』

『うん!ありがとう!嬉しい。サイズはまあ、違ったら何とかするよ。』

『うん。』

『‥‥‥‥ねぇ。雪奈姉。』

『ん?何?』

『雪奈姉が‥‥私が、マリンとしての私が聞かないといけないことを教えてくれるんだよね?』

『うん。そうだよ。』

『私のことばっかり聞いて雪奈姉のことを教えてくれないのはそれに関わることだから?』

『うん。』

『そっか。なら修行が終わったら今度は私が質問しまくっていいってことだよね。』

『うっ‥‥‥‥うん。』

『何、今の間。私もね。雪奈姉に話したいことがあるんだ。直接面と向かって。』

『うん。分かった。その為にも頑張って踏破して来てよ。』

『勿論。』


それからは休憩場所にいるので、しっかり休息を取って再び登り始めた。

さすがに私のことだけだと、話すことがなくなってくるので到着を知らせるだけになってくる。


80階まできた今も到着を知らせて会話が終わってしまった。


ちなみにこの時点で塔に入って3年が経っているそうだ。


仕方ないので、私は別のことを考えることにした。


ダンジョンを出たら聞かせてもらえる筈の史実に無いこと。

私が知ってる歴史はというと。


数百年前。

まだ人間と魔族で争いが起きていた頃。まだ人間の方も国が定まっていない地域もあり、帝国も王国も無い時。

今程人種関係なくとはいかず、まだエルフなどに対する差別が根強かった為、亜人達は争いに不干渉だった。


そんな時、教会の聖女が神々から一つの魔法を授かった。たった一回限りの召喚魔法。

そしてその召喚でやってきたのは後に勇者と賢者と呼ばれる者達。

その詳細の一切を秘匿されている為、現代では謎が多く、一部の者達からは実在したかも怪しいとさえ言われている存在。

だがその2人は人間の先頭に立ち魔族を返り討ちにしていったという記録もある。これに関しても勇者達の存在を怪しんでいる者達からは初代国王様のことでは?という意見も出ている。


だが、魔族との争いに人間は勝利した。

そして帝国と王国がそれぞれ建国していった矢先。何故か再び魔族は人間に対して戦争を起こした。

そして建国間もなったが、帝国と王国の軍勢の前に魔族は降伏した。

人間達に動揺が広がった。「魔族は何がしたかったんだ?」「すぐに降伏するならそもそも戦争なんて仕掛ける意味がないだろう」と。

そういう事もあり、魔族と人間の間で不戦協定が結ばれた。

それからは徐々に亜人達への差別意識は薄れていき、魔族に関しても現代の様に共存し、共生するまでに至っている。


ざっとこんな感じの歴史だ。


勇者と賢者はいろんな説がある。初代国王なんじゃないか。はたまた実はどちらかが女性で王妃ではないのか?とか。

勇者と賢者だけじゃなく、初代国王夫妻の名前も謎とされているのだ。当時は色々な情報が錯綜していたり、初代国王夫妻自らが記録に残すことを拒んだという説もあり、真実が不確かなまま曖昧な記録を残すことになったそうだ。


歴史は曖昧な部分が多い。建国前から後も。

何故帝国と王国で別々の国を建国することになったのか。

そして建国とほぼ同時期にまずできた4つの辺境伯家。何故敵国がなくなったのに最初にできた貴族が辺境伯家なのか。

辺境伯家に関しては敵国がなくなったとはいえ、周辺国に対する監視やいざという時の国防の為に必要だったからという意見が一番多い。実際、辺境伯家はそういう役割で置かれるものだ。だが、共に戦った友好国である帝国側にも必要なのか?という意見も当然出ている。


う~ん。やっぱり雪奈姉が勇者かな?「ほぼ前世のままの姿」だし。となると賢者が柚蘭?ぴったりだとは思うけど、どっちかが国王‥‥‥王妃でもイメージできないな‥‥。

秘匿する理由も謎だし。

どうして初代国王夫妻は自分達の名前すら残さなかったのか、そういうことも雪奈姉は知ってるのかな?

っていうか、雪奈姉はこっちにきてどれぐらい経ってるんだろ?

‥‥‥‥全部教えてくれるのかな?


そんなことを考えつつ私は眠りについた。


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