171話 披露宴なのに。
私達を呼んだのは。
「「ヒスイ兄様、フレイ兄様!」」
「おう。無事か?2人共。」
「はい!勿論です。それより‥‥」
「ええ‥‥」
「ん?どうした?」
「「格好いいです!兄様達。」」
「「!!‥‥ありがとな。」」
「それより‥‥‥やっぱりお前らか。」
「全く。学園の頃から変わらないな。」
「「「!!!」」」
「あれ?兄様達、お知り合いですか?」
「ああ。こいつらがいくつか聞いたか?」
「はい。姉様の2つ上と聞きましたので18歳ですよね?」
「ああ。なら分かるだろ?」
「あ。生徒会ですか?」
「「正解。」」
「なるほど。」
「で、これは2人でやったんだよな?」
「はい。私と姉様の腕を掴んで放してくださらなくて。危機を感じてやりました。」
「よし。それはいいが、ちょっとこいつらと話したいから治してくれるか?マリン。」
「え~。」
「大丈夫だから。」
「はーい‥‥‥‥あ、その前に。辺境伯様方。」
「「「はい?」」」
「ご子息様達を動ける様にする前に念のため拘束魔法を使いたいのですが、許可頂けますか?」
「「「勿論!」」」
即答!‥‥‥父親達よ。いいのか、それで。
「ありがとうございます。では、【土捕縛】」
そして3人共拘束できたことを確認できたので。
「【状態異常回復】‥‥‥‥ヒスイ兄様。どうぞ。」
「ああ。ありがとな。マリン。」
「正直すごく不本意です。」
「だろうな。で、シオン、アゼル、ネウス。俺達それぞれ卒業前に言ったよな?うちの妹達に手を出すなって。何でか分かったか?」
「「「いえ。」」」
「お前達、一度たりとも俺達に勝ったことないだろ?」
「「「はい。」」」
「マリンは俺達兄弟全員と戦っても余裕で勝てるほど強いんだ。しかもうちの妹達は家族思いでな。特にマリンは目の前で傷付けられるのを見たら怒りで攻撃性が出るからな。お前らマリンの中で理性が勝って良かったな。そうじゃなかったら麻痺だけで終わらなかったぞ?」
「「「え!?」」」
「ふふっ。そうですよ~?私が今年全員生け捕りにした盗賊達も危うく重傷にしてしまうところでしたから。」
「「「盗賊!?」」」
「あら?Aランクになる基準、ご存知ありませんか?」
「「「はい。」」」
「ふふっ。それは護衛経験と盗賊討伐経験です。Aランクは人殺しもできる強さを持つ証明なんですよ?まあ、私は誰一人手にかけたことはありませんが。」
「「「え!?」」」
「あと、手を出すなって言った理由はまだあるぞ。」
「「「な、何でしょうか?」」」
「お前達は確実にクリスとマリンの好みじゃないからだ。」
「「「え!?」」」
「ほ、本人達に聞かないと本当にそうかは‥‥」
「「好みじゃありません。」」
「な?」
「「「‥‥‥。」」」
「本当。先輩達、マリンと姉様にちょっかい出すなんて命知らずですね。」
「アクア。」「アクア兄様。」
「俺もたった一年でしたが、フレイ兄様と入れ替わりで先輩達を見てましたが、本当に全く変わってません。変わらず「女性の敵」のままですね。そんな方達に大事な姉も妹も渡す気はありませんね。例え姉か妹の心を先輩達の誰かが掴んでも俺達兄弟は断固反対します。」
「「ああ。そうだな。」」
「お前達に俺達兄弟全員を納得させることができるのか?出来ないなら諦めろ。俺達はお前達の誰であっても義理の兄弟とかなりたくない。」
に、兄様達。3人の父親達がいる前で容赦ないな‥‥。
私、被害者だけど3人が何か可哀想に見えてきた‥‥。
「大丈夫ですよ。西の辺境伯家のご兄弟の皆様。愚息は今後一切皆様に近付けさせませんから。ちょうど長男ですし、領地から出しませんのでご安心ください。」
「「同じく。」」
「「「よろしくお願いします。」」」
3人の兄様達の声がハモりました。
「最後に3人共。俺達の披露宴だってこと忘れてないよな?よくも邪魔してくれたな?クリスとマリンにちょっかい出すし。俺さ、今怒りが込み上げてるんだが、どうしてくれるんだ?」
「「「ひぇ!!」」」
え?ヒスイ兄様!?私の怒りは収まりましたよ!?
うわ‥‥‥フレイ兄様もだわ‥‥この顔。
「えっと‥‥‥ヒスイ兄様、フレイ兄様?」
「「ん?」」
あ。やっぱり私にはいつも通りだ。
「後で鬱憤晴らしさせて差し上げますから、とりあえず披露宴続けませんか?」
「「‥‥‥。」」
不本意そうだ!
「ヒスイ様。」「フレイ様。」
「リリ。」「マリア。」
いつの間にかお2人も着替えて戻って来てました。
「リリ姉様‥‥マリア姉様‥‥」
「「ん?」」
「美し過ぎます!」
「ふふっ。ありがとう、マリンちゃん。」
「フレイ様、ヒスイ兄様。ここはマリンちゃんの言うとおり、抑えるべきですよ。怒りは私達も同じですよ。クリスとマリンちゃんにちょっかい出すなんて‥‥相変わらず最低ですね。先輩達。」
「本当ですよ。」
あらら‥‥リリ姉様とマリア姉様もお怒りでしたか‥‥。
「マリン様。」
「はい?」
「愚息達の拘束を外して頂けますか?屋敷に向かう馬車に追い払ってきますので。」
チラッと兄弟全員を見ると、全員頷いたので拘束を解いた。
「ありがとうございます。では失礼致します。」
と父親達が3人をそれぞれ強制連行していった。
はぁ‥‥‥疲れる。精神的に。