142話 兄達の結婚ー新婦サイドー
そしてヒスイ兄様達の結婚式当日。
昼食を食べ終わった後にきた嵐の様な時間が終わったあと。
私はゲートで領地の屋敷へと向かった。
向かった先である、領地の私の部屋には既にセレス母様が待っていた。
「あれ?セレス母様。もしかしてお待たせしてしまいましたか?」
「大丈夫よ。そろそろかな~ってきたところだから。‥‥それより、可愛いわね。マリン。もしかしてクリスが張り切ったのかしら?」
「はい‥‥」
「あら?‥‥何かあったの?」
「実は‥‥」
◇◇◇◇◇
夏休み開けのとある休日。
私が書庫で本を読んでいると‥‥
「マリン。」
「はい?なんでしょうか?姉様‥‥‥とリリ様、マリア様も
‥‥あの、後ろの方々は‥‥?」
「「「ふふっ。」」」
「ねぇ、マリン。まさか、父様や母様と同じところでドレスを頼む訳ないわよね?」
「え?だ、駄目なんですか?」
「「「駄目よ!」」」
「え!?‥‥‥ま、まさか‥‥‥後ろの方々‥‥」
「正解よ!さあ、マリン。部屋に行くわよ!」
「えっ!‥‥え!?」
そのまま私の部屋に連行され、後ろにいた方々(城のメイドさん達)にサイズを測るために揉みくちゃにされたあと、姉様はこう言った。
「マリン。私とリリとマリアがドレスを考えてあげるから楽しみにしてなさい!」
「え!?‥‥‥リリ様とマリア様はお忙しいんじゃ‥‥」
「マリンちゃんの為ならどうってことないわ!」
「マリンちゃんを着飾るのは私達の楽しみの一つなのよ!」
「「そうよ!」」
「!‥‥‥あの、主役は私じゃなくてリリ様とマリア様ですよ?」
「そんなこと分かってるわ。でも折角の機会だもの。任せてもらうわよ?マリン。」
「は、はい‥‥」
◇◇◇◇◇
「━━と、こういうことがありまして。今日も昼食を食べ終わった後に城のメイドさん達が来て、このドレスを着せて軽く化粧まで全てを短時間であっという間にやってくださいました。‥‥連携が凄くて、嵐のようでした‥‥」
「そ、そう。‥‥でもさすがね、クリス。メイドさん達もいい仕事してるわ。」
「そ、そうですか?」
「ええ。可愛いわよ。」
「ありがとうございます‥‥セレス母様はもう向かって大丈夫ですか?」
「ええ。やるべき事はもう終わらせてあるわ。いつでも大丈夫よ。」
「では、行きましょうか。とりあえず、父様達と会場に向かう為に屋敷に繋げますね。」
「ええ。お願い。」
そして王都の私の部屋に出て玄関に向かうと、既に父様、ディアナ母様、姉様、アクア兄様が待っていた。
「お待たせしました。セレス母様をお連れしました。」
「ああ。ありがとう、マリン。‥‥じゃあ行くか。」
『はい。』
そして全員で馬車に乗り、結婚式の会場である大聖堂へと向かった。
ちなみに私が神様達に会うために行ってる教会とは別に大聖堂がある。しかも城の近くに。
そして私達が大聖堂に着いて馬車を降りると見えたのは、建物自体が大きくて綺麗な、大聖堂と呼ぶに相応しいものだった。
「近くで見ると綺麗‥‥」
「本当ね‥‥」
「クリスとマリンも結婚する時、ここにしたら?」
「「え!?」」
「いやいや。相手もいないのに‥‥」
「そうですよ。母様。」
「いつか作るんだぞ?相手。」
「「はい‥‥」」
「マリン!」
「あ、リジア!」
そしてリジアが私達に近づいてくると‥‥
「‥‥‥マリン‥‥‥可愛い‥‥」
「でしょ?私とリリとマリアが考えたんだもの、当然ね。」
「え?お3方が?」
「うん。‥‥突然城のメイドさん達を引き連れたリリ様とマリア様が来て、姉様と一緒に有無も言わさず‥‥」
「そ、そう。」
「それよりマリン、リジア。リリ達のところに行かない?」
「いいんですか?」
「むしろ先に行ってマリンの姿を事前に見せるべきだわ。」
「え?何故ですか?」
「マリンの方ばっかり見て式が進まないわ。」
「いや、さすがにそこまでは‥‥」
「あると思うわよ?むしろ見たくてうずうずしてるんじゃない?今のマリンの姿はリリ様とマリア様も含めての協作なんでしょ?」
「そういうことよ!」
「じゃあ私も行こうかしら。」
「なら私も。」
「はい。母様達も行きましょ。」
そしてマリン達が女性陣だけで新婦控え室に向かった。
そして新婦控え室。
扉を開いた瞬間の私とリリ様とマリア様の会話からです。
「「ま、マリンちゃん!」」「り、リリ様!マリア様!」
「「可愛いわ!」」「美し過ぎます!」
「「「え?」」」
「3人で何言ってるのよ‥‥」
「だってクリス!マリンちゃん、可愛いすぎるわ!」
「だってクリス!マリンちゃんが可愛いんだもの!」
「姉様、リリ様とマリア様。美し過ぎるじゃないですか!」
「ええい!3人纏めて言われても分からないわよ!」
「「「あ。」」」
「ぷっ‥‥ふふっ‥‥確かにマリアの言う通りの子達みたいね。」
「「え?」」
そう、控え室には先客が2人いた。1人はルビア様だが、もう1人は初対面。
でもその見た目で察しがついてしまった。
「ま、マリア様‥‥こちらの方、もしかして‥‥」
「ええ。私の母よ。」
「「「え!?」」」
私、姉様、リジアです。
「え?姉様もお会いしたことなかったんですか?」
「ええ‥‥。はっ!自己紹介もせず、失礼しました。‥‥クローバー辺境伯家長女のクリス・フォン・クローバーと申します。」
「あ。‥‥えっと、同じく次女のマリン・フォン・クローバーと申します。」
「私はマリンのいとこにあたります、アドニス伯爵家の末っ子で、フリージア・フォン・アドニスと申します。」
「ふふっ。ご丁寧にありがとうございます。‥‥私はリコリス公爵夫人のアリア・フォン・リコリスと申しますわ。‥‥クリスさん、マリアの友人として仲良くして頂いてありがとうございます。‥‥そしてマリンさん。」
「は、はい。」
「ようやく会えました。クリスさんもですが、特にあなたに直接会って申し上げたいことがあったの。」
「なんでしょうか?」
「今更ながら、マリアとリゲルの命を助けて頂いたこと、感謝致しますわ。」
「!‥‥はい。」
「ふふっ。しかも今ではリゲルの友人にまでなって頂いてるとか。‥‥あの子、マリンさんに迷惑掛けてませんか?」
「えっと‥‥」
「マリンちゃん。正直に言っていいわよ。」
私が「言っていいものか‥‥」と迷っていると、すかさずマリア様が促してくれたので、言葉を選びつつ話した。
「‥‥えっと‥‥初対面からしばらくは、ちょっと‥‥でも最近は迷惑掛けられてないです。」
「そう‥‥やっぱり、マリアの言ってた通りなのね。あの子、命の恩人に迷惑掛けるとか何考えてるのかしら?」
「ふふっ。アリア。本当にもう大丈夫そうよ。普通に友人よ。」
「そうなの?ディアナ。」
「ええ。」
「「え?」」
「母様、お知り合いなんですか?」
「あら?言ってなかったかしら?私とアリアは同じクラスだったし、友人なのよ?」
「「え!?」」
「‥‥世間って狭いですね。姉様‥‥」
「そうね‥‥」
「そういえばマリンさん。私の実家、分かるかしら。」
「陛下の妹さんではないかと。」
「あら、正解よ。‥‥まあ、兄様と髪も目も色が同じだから分かるわよね。」
「はい。」
そう。アリア様は陛下と同じ銀髪青目なのだ。
「あの、マリン様。」
「はい。なんでしょうか?ルビア様。」
「そのドレス、とてもお似合いですわ。」
「ありがとうございます。姉様とリリ様とマリア様の協作なんです。」
「あら、マリア。そんなことまでしてたの?」
「母様。マリンちゃんを見て思いませんか?この子を輝かせたいと!」
「‥‥‥‥‥思うわ。原石ね。マリンさん。」
「「「ですよね!」」」
「え?」
コンコン
こうして話していると、扉がノックされた。
このタイミングでやって来たのは勿論あのお2人です。
マリンのドレスがどんなデザインかは皆様のご想像にお任せします。
面倒臭かった訳ではない‥‥‥ですよ?