141話 庭園にて
アクア兄様と城に向かうと、本当にあっさり入れてもらえた。
なんでも陛下から私達ならいつでも入れていいと許可が出ているそうだ。
なので門番さんも私達が名乗ると「どうぞ~」とあっさり入れてくれた。
それはいいんだが‥‥‥
「ヒスイ兄様とアクア兄様は分かりますが、全員勢揃いなのは何故でしょうか?」
王族はともかく、姉様やレグルス達もいるの。
‥‥何故?
「決まってるわ。マリンの浄化魔法を見に来たのよ。」
「え?でも姉様、何度も見てますよね?」
「何回見ても飽きないわ。マリンの浄化魔法綺麗だもの。」
コクン
え?全員頷いた‥‥
同意見と‥‥
「私は城の主としての確認もあるがな。」
「陛下はそうでしょうね‥‥‥とりあえず‥‥」
私は精霊王の衣の姿に変わって、庭園を見ると。
「げっ!」
「どうしたの?マリン。」
「この姿になった途端見えるものが変わりました。今の私には庭園が夜になったみたいに暗く見えます。」
『え!?』
「まあ、大丈夫でしょう。‥‥ちょっと行ってきますね。」
「え?マリン、大丈夫なの?」
「はい。大丈夫ですよ。姉様。こうすれば、多分‥‥」
魔力刃を出す感覚でやればできるはずだけど‥‥
浄化の魔力を纏えば大丈夫でしょ。という安易な考え。
実際大丈夫そうなので、そのままずんずん進んでいき、池の手前で立ち止まると。
『うわ~。』
ん?
「‥‥‥‥皆さん‥‥ついて来たんですか‥‥」
それぞれが返事を返したあと。
「駄目だった?」
「いえ。多分大丈夫だとは思いますが、それ以上近付かないでくださいね。」
「分かってるわよ。」
「ならいいです。‥‥【セイクリッドシャイン】」
『おお~!』
呑気ですね‥‥‥皆さん。
そして少しして解除してみると池は浄化が完了していた。だが、振り返ると庭園は暗いままだった。
どうやってするかな‥‥‥広いしな~ここの庭園‥‥
「マリン?」
「え?なんですか?姉様。」
「終わったんじゃないの?」
「いえ。池は終わりましたが、庭園がまだ暗いままなんですよ。」
「浄化できないの?」
「いえ。ただこの庭園、広いのでどうやろうかな~と思っただけです。」
「なるほどね。」
「とりあえずやってみます。‥‥【セイクリッドレイン】」
少しすると、老人の男性がやってきた。
「へ、陛下!この光はいったいなんですか!?花達に影響はないのですか?」
「マリン。説明頼む。」
「はい。‥‥えっと庭師さんでいらっしゃいますか?」
「え?はい。そうです。」
「では、まずなんの説明も無しに勝手に庭園に入り込み、申し訳ありません。私はマリン・フォン・クローバーと申します。」
「クローバーというと、辺境伯様の?」
「はい。末っ子です。そしてこの光ですが、浄化の魔法なので花達に影響はありません。むしろ最近花達に元気がなかったのではないですか?」
「何故それを!?」
「やはりそうですか。今私がやってるのはその原因を取り払うことですよ。」
「え?そうなんですか?」
「はい。すみません事後報告で。」
「いえ。マリン様は誠実に謝って下さいましたから、大丈夫ですよ。それに改めて見ると、この光も暖かいものを感じます。花達に害がないのは分かりますから。」
「良かったです。‥‥では私、庭師さんに怒られたりしませんか?」
「はは!当然ですね。怒りませんよ。」
「ふふっ。良かったです。」
そしてしばらくして解除してみる。
大丈夫そうなので、私も元の姿に戻った。
「マリン様の姿が変わった?」
「ふふっ。むしろこれが本来の姿ですよ。」
「そうでしたか。‥‥おや?もしや、その制服は‥‥」
「ええ。シリウス王子と同じ学園の生徒です。」
「同い年で俺の友人でもある。」
「そうでしたか。」
「ところでマリン。大丈夫なのか?」
「はい。大丈夫ですよ。ヒスイ兄様。」
「じゃあ披露宴も?」
「はい。普通に参加できます。」
「良かった。」
「どういうことですか?」
「私も花達と同じく影響を受けるところだったんです。」
「え?そうなんですか?」
「はい。でももう大丈夫ですよ。花達もこれから元気を取り戻してくれると思いますので‥」
「ええ。頑張らせて頂きます!」
「はい!‥‥では私達は失礼しますね。お邪魔しました。」
「いえいえ。陛下がお許しくださるならば、またいらして下さい。」
「はい。ありがとうございます。」
そして問題が一先ず解決した私達は庭園を後にした。