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転生できたので自由に生きたい  作者: 霜月満月
第6章 学生編3
138/289

138話 帰還

そして屋敷に着くと、早速。


「ただいま戻りました。」


ダダダダダダダ


「マリン!」


「え!?‥‥わっ!」


ドサッ


「いたたた‥‥姉様?」


「! ご、ごめん。勢いつけすぎた。大丈夫?」


「はい。後頭部を強打しましたが大丈夫です。‥‥姉様は?怪我してないですか?」


「う、うん。大丈夫。本当にごめんね。」


「いえ。大丈夫ですよ。でも一応。【ヒール】」


私に姉様がタックルしてきてそのまま2人共倒れました。


「何やってるんだ‥‥クリス。‥‥おかえり。マリン。」


「はい。ただいま戻りました。ヒスイ兄様。」


「おかえり。大丈夫か?マリン。」


「おかえり。ネクロマンサーに何もされてないか?」


「ただいま戻りました。フレイ兄様、アクア兄様。大丈夫ですし、何もされてないですよ。」


「「「そうか。」」」


「マリンが心配だったからつい‥‥」


「姉様、大丈夫ですから。」


「うん‥‥」


「「おかえり。マリン。」」


「あ。父様、母様。ただいま戻りました!」


「ああ。その様子だと、上手くいったようだな。」


「はい。誘拐された人達も先遣隊も今は無事に騎士団の詰所にいますよ。それと、陛下が私に話は明日でいいから今日は帰っていいと仰ってくださいましたので帰ってきました。」


「そうか。とりあえず夕食までゆっくり休むといい。」


「はい。父様。」


「あれ?ということは明日、生徒会に行かずに城に向かうのか?」


「はい。シリウスの馬車に乗せてもらおうと思ってます。」


『え!?』


「え?駄目ですか?」


「シリウス王子と馬車の中で2人っきり?」


「? はい。今回の救出作戦前も乗せてもらいましたよ?アクア兄様も見ていたでしょう?」


「ああ‥‥」


「? シリウスは何もしませんよ?あの後も何もされてないどころか、普通に話しただけですし。」


「‥‥‥‥そろそろ信じてあげてもいいかな‥‥」


「え?」


「ええ。マリンと2人っきりになっても何もしない自制心ができてるなら警戒は解いてもいいかと。」


「ええ。ヒスイ兄様は特にですね。義理の弟になる訳ですから。‥‥そう考えると複雑な気分だわ‥‥」


「ですね。俺がマリン以外で一番近くにいますが、シリウス王子は話しやすくなりましたし、いざとなったら文句も言えますからね。」


「‥‥兄様達、まだシリウスを警戒してたんですか?」


「「「「うん。」」」」


「お前達‥‥」


「ふふっ。みんな。いつまでも玄関で話してないで。マリンを休ませてあげないと。」


「「「「あ。」」」」


「ふふっ。私は大丈夫ですよ。」


そして夕食の時間に私は今回の救出作戦の話をした。

去年の誘拐事件のことやあの気持ち悪い書き置きの話もだ。それはざっくりと話したが。ざっくりとでももちろん‥‥


まず兄弟達からの感想は。


「「「「気持ち悪っ!」」」」


そして両親も。


「‥‥そんなに頭のおかしいやつだったか、あやつは‥‥」


「本当ね‥‥女の敵じゃない。マリン、よく無事に帰ってきてくれたわ‥‥」


「はい‥‥あれを読んだ瞬間、悪寒で凍える様な思いでしたよ‥‥」


「「「「だろうね‥‥」」」」


「でも、ネクロマンサーは私を諦めないと言ってきましたし、今回も本体じゃなかったので、また戦わないとです。」


『最悪だ‥‥』


「この話を聞くとシリウス王子達はまだ優しい方だと思えるな‥‥」


「「「ええ‥‥」」」


「マリン。確認だけど、ネクロマンサーのこと嫌いよね?」


「もちろん嫌いです。声で分かるかと思いますが、ネクロマンサーは成人しているいい歳した大人の男性です。顔立ちは整ってますが、12歳の少女に手を出そうとするなんて気持ち悪いこと考えている様な人ですからね‥‥。犯罪者ですし

‥‥あの書き置きを思い出すだけで悪寒が‥‥」


『‥‥‥』


「‥‥異常者ね‥‥」


『ああ‥‥』「ええ‥‥」


そして夕食を終えて自室に戻った。


学園を卒業するまでに復活するか‥‥

今度創造神様に聞いてみようかな‥‥

答えてくれるかは別として‥‥


そんなことを考えながら私は眠りに落ちた。



翌日。

いつも通りアクア兄様と登校すると、校門のところにリジアとレグルスとベネトさんがいた。

馬車を降りた私達が3人に近づくと、まず気付いたリジアが声を上げた。


「マリン!」


「「え?」」


「おはよう。リジア、レグルス、ベネトさん。」


「「「お、おはよう。」」」


「3人共、おはよう。」


「「「おはようございます。」」」


「マリン‥‥」


「うん。無事だよ。リジア。昨日の夕方に帰ってきたの‥‥っと‥‥リジア?」


かばっとリジアが抱きついてきた。


「マリンを信じてなかった訳じゃないの。マリン、強いから

‥‥絶対大丈夫だって。‥‥でも、あのネクロマンサーが相手だから‥‥やっぱり心配で‥‥今日会えなかったらどうしようって‥‥」


「そっか‥‥。心配してくれてありがとう、リジア。この通り無事だし、何もされてないから。大丈夫だよ。」


「うん‥‥」


「マリン。ネクロマンサーに本当に何もされてないんだな?」


「うん。フリードさんがついててくれたから何もされてないよ。レグルス。」


「そうか。陛下には会ったのか?」


「うん。昨日帰ってきましたって言いに行ったからね。その時、シリウス達とリゲル達兄弟全員にも会ったけどね。それで、今日の放課後に話しに行くから私は生徒会休むね。」


「分かった。とりあえず教室に行くか。」


「うん。」


と、みんなで歩き出そうとするとシリウスとリゲルも来た。


「シリウス、リゲル。おはよう。」


「「おはよう。」」


「マリン。疲れ残ってないか?」


「うん。昨日ぐっすり寝たから大丈夫だよ。」


「そうか。」


そしていつも通り、全員でそれぞれの教室へと向かった。


放課後。


「マリン、行くぞ。」


「うん。」


と、私がシリウスと共に馬車に乗り、城に到着すると「お待ちしておりました。」と言わんばかりにあっさりと一室に案内された。


「失礼します。‥‥陛下。お待たせしてしまいましたか?」


「いや。大丈夫だ。シリウスも座るといい。」


「「はい。」」


そして、私はソファーに座ると同時に部屋に入ってすぐ疑問に思ったことを口にした。


「あの、陛下。」


「なんだ?」


「陛下、王妃様、公爵様、宰相様、父様がいらっしゃるのは分かりますが、リリ様とマリア様。リオト殿下とルビア様。更にはフリードさんにメリアさんまでいらっしゃるのは何故でしょうか?」


「簡単だ。リリ達は一部始終を聞くと言って動かなかったから諦めただけだ。フリード達はマリンと合わせて話を聞く為だ。」


「そうですか‥‥」


コンコン


「ん?誰だ?」


「リゲル、リジア、レグルス、ベネトさんです。‥‥4人も来ちゃったみたいですね。」


「そうか。‥‥入っていいぞ!」


ガチャ


「「「「失礼します。」」」」


「すみません。陛下‥‥」


「構わん。マリンの話が気になってるんだろ?ちょうどこれから話を聞くところだ。4人も座るといい。」


「「「「ありがとうございます。」」」」


「リジア、レグルス、ベネトさん。3人も生徒会休んできたの?」


「うん。どうしても気になって‥‥わざわざマリンの屋敷まで行って聞くのも申し訳ないから、この機会に一緒に聞かせてもらおうと思って。」


「そっか。」


「では、一部始終最初から話してくれるか?」


「はい。陛下。」


そして一部始終、ネクロマンサーとの会話やあの書き置きについても話した。去年の誘拐事件のことも。


『‥‥‥‥』


「あの、陛下。マリンが言った書き置き、俺持ったままだったんですが、見ますか?」


「‥‥‥‥見よう。」


「はい。どうぞ。」


そしてフリードさんが例の書き置きの紙を渡すと、読み始めた陛下の顔が徐々に気持ち悪いものでも見ている様に歪んでいった。


「‥‥‥‥‥‥‥‥気持ち悪いな。」


「「はい‥‥」」


すでに読んでいる私とフリードさんの声が被った。


「陛下。私も見せて頂けますか?」


「ああ。構わんが、娘に対してのことだ。腹立たしく感じるだろうから心して読めよ。ラルク。」


「は、はい。」


そして読み始めた父様も同じ反応だった。


「‥‥昨日マリンからさらっと話を聞いてはいましたが‥‥これは予想以上ですね‥‥」


「落ち着けよ。ラルク。」


「はい。心得ております。陛下。」


「あの、叔父様。私にも見せて頂けますか?」


「あ、ああ。‥‥リジア、心して読めよ。」


「は、はい。」


という感じに結局全員読んだ。


『‥‥‥‥‥』


「えっと‥‥‥恐らく全員共通の感想をお持ちでしょうが、私はまたネクロマンサーと戦わないといけませんよ?」


『え?』


「私はあいつにハッキリ嫌いだと言いましたが、諦めるつもりはないと言われてしまいましたし、対抗できるのは私だけですしね。」


『‥‥‥』


「マリン。」


「はい。なんでしょうか?陛下。」


「ネクロマンサーはまた逃げたのか?」


「はい。」


「追うことは?」


「既に近くにはいませんでしたので諦めました。‥‥ただ、後先考えず、あらゆる方法を使って叩きのめしていいならできなくはないと思います。」


「‥‥‥‥‥‥それは最後の手段だろ?」


「はい。」


「なら今は無理しなくていい。元々今回の私の指名依頼も誘拐された人達を優先にしていたからな。」


「はい。それもあって追うことは諦めました。」


「ああ。それでいい。‥‥フリード、メリア。マリンの話に何か付け加えることはあるか?」


「「いいえ。」」


「そうか。とりあえず、去年の誘拐事件の真相も分かったし、誘拐された人達も魔法師団や騎士達も無事に戻ってきた。‥‥ご苦労だったな。マリン。フリードとメリアも。」


「「「はい。」」」


「ところでメリアさん。誘拐された人達、話せましたか?」


「ええ。誘拐されていた間の記憶はやはり無い様ですが、故郷のことなど、誘拐される以前のことは思い出せる様です。なので、すぐにでも帰国させてあげられると思いますよ。」


「! そうですか‥‥良かった‥‥一旦は話せましたが、その後も大丈夫だったか気になってたので、安心しました。」


「そうでしたか。皆さんマリンさんに感謝してらっしゃいましたよ。」


「!‥‥私は私ができることをしただけです。」


「それだけでも立派だぞ、マリン。正直俺もマリンが来てくれて助かったからな。」


「ええ。私もです。‥‥誘拐された方達は私達がそれぞれの故郷にお帰しします。お任せください。」


「はい。よろしくお願いします。」


「ところでマリン。ずっと聞きたかったことがあるんだが、いいか?」


「はい?なんでしょうか、陛下。」


「今回会ったのもネクロマンサーの本体ではないと先程言っていただろ?どういう意味だ?」


「えっと‥‥あくまでも私の予想の範囲ですが、それでもよろしいでしょうか?」


「ああ。」


「まず、最初に現れた時。あの時、私はネクロマンサーの顔を見たと申し上げましたよね?」


『ああ。』『ええ。』


「あ、皆さんもなんですね。‥‥その時ネクロマンサーが使っていた魔法は2つ。いえ、攻撃もしてきたので一瞬3つですね。攻撃以外の2つの内の1つは陛下もご存知の幻影。もう1つは分身の様なものを作っていたと思います。」


『分身?』


「はい。それで人を操っていたんじゃないかと。実際最初に現れた時からレグルスに移った後、それまで操っていた人が倒れてましたよね?フリードさん。」


「あ、ああ。」


「人を操るなら自分の分身を使えばいいという話です。離れても魔力で繋がってるので操作できるし、自分の魔力を流せば魔法も使えるし、浄化されても分身が消えるだけ。自分は分身越しに話し、動くだけ。と私は考えました。」


「なるほどな。だから闇属性を持ってないはずの殿下の剣に闇の魔力が纏わりついてたのか。」


「うん。あと、ネクロマンサーも本体と繋がってるって言ってたでしょ?」


「ああ。言ってたな。」


「じゃあ今までネクロマンサーが捕まらなかったのは‥‥」


「恐らくですが、誘拐の対象の前に堂々と現れて顔をわざと晒したあと、気絶させてそのまま誘拐していき、追っ手を振り切った後、自分の幻影を解いて誘拐の対象に別の幻影を纏わせて逃げ仰せたものと。」


「追っ手を振り切れない場合は?」


「振り切れなくても同じ方法は取れると思いますよ。例えば角を曲がった瞬間とか、人混みに紛れた時とかに。他に考えられるのは誘拐対象の中に移ってそれまで操っていた人の幻影を纏うとかですね。それまで頭まで被れるローブを着て、そのローブを回収したら分かりません。大勢の人の中から同じ顔の人を見つけるのは難しいですよね?動けば尚更。」


『なるほど‥‥』


「じゃあわざわざ顔を見せたのは?堂々と「今からこの人誘拐しますよ」って分かりやすくしない方が簡単じゃない。」


「リジア。さすがにそれは分からないよ。愉快犯なのかなってぐらい。誘拐してる時は楽しかったんじゃない?あいつ、頭おかしいし。」


「あ、それはそうだよね。」


「さすがにネクロマンサーの心理とか知りたくもないし。」


「だが、一番ありえる方法だな。有力な情報として広めておこう。」


「へ、陛下。あくまでも私の予想ですよ?」


「だが、今言った様に一番ありえる方法だ。これまではそういった具体的な方法の予測すら出てなかったからな。十分有力な情報だ。」


「そ、それならいいのですが‥‥」


「さて、私が聞きたかったことは聞けたからいいが、話はこれで終わっていいか?みんな。」


『はい。』


「分かった。では、マリン。今の話で今回の指名依頼の完了報告とする。達成報酬等はこの用紙を持って冒険者ギルドに提出すれば受け取れる様にしておく。好きな時で構わないが、なるべく早く行くんだぞ。」


「はい。分かりました。」


その後、陛下から指名依頼達成が記された用紙を受け取り、私達は退室した。


そして、部屋に残った国王夫妻、公爵、宰相は‥‥


「はぁ‥‥‥まさかネクロマンサーがあれほどとはな。」


「ええ。マリンに可哀想なことしたかしら?」


「でも、マリンしか対抗できない様だしな‥‥」


「ええ。あの気持ち悪い書き置きを記すような輩にマリン嬢を向かわせないといけないとは情けなくなりますね。」


「「ああ。」」「ええ。」


「しかし、相変わらず頭の切れる子だな。マリンは。ネクロマンサーの魔法を看破して、これまでの誘拐方法まで推測するとはな。」


「ええ。ああいう優秀で優しい心を持っている子だからこそ、周りに人が集まるんでしょうね。例え最初はマリンの魔力に惹かれてもその内マリン自身に惚れ込む。現に我々もマリンの力になりたいと思わされてる。‥‥天然の人たらしですよね。」


「ああ、確かにな。‥‥マリンにいつか安息の時間がくるといいが‥‥」


「「「ええ‥‥」」」


と会話をしていた。

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