130話 現れたのは‥‥一先ず終結
ネクロマンサーを消し去った後。
「あぁ!全く。気持ち悪い!‥‥って「これ」もいいか。体の中にあいつの魔力があると思うと寒気がする。【聖光】」
そしてネクロマンサーが「目印」にした闇の魔力を消した。その後、ネクロマンサーが操っていた人を水で浮かせてみんなのところに戻ると。
『‥‥‥‥』
全員が固まってました。
「もうやだ‥‥なんなの、あいつ‥‥。それはそうと、フリードさん。」
「‥‥‥は!‥‥お、おう。なんだ?」
「この紙に書いてあるところに各国の誘拐された人達がいると思いますので、救出をお願いします。精神をやられている様でしたら教えてください。浄化します。あとこの方のこともお願いします。」
「あ、ああ。分かった。」
そして運んだ人を一先ずベネトさんが寝ていた簡易ベッドに横たわらせた。
「‥‥陛下。私が気持ち悪いって申し上げた理由。お分かり頂けました?」
「ああ‥‥。すごくよく分かった。すまないな‥‥不快な思いをさせて。」
「陛下が謝ることではありませんよ。実際ネクロマンサー自体は捕まえてませんから。」
「そうだな。マリンでもその本体とやらがいる場所は分からんのか?」
「はい。まず、王都中を探すことはまあ‥‥できるかもしれませんが、時間が掛かりますのでその間に逃げられると思います。そして私の予想では本体は最初から王都にいないと思います。」
『え!?』
「それが私が昨日も今日もネクロマンサーを捕まえられなかった理由ですよ。」
「なら捕まえられないってこと?」
「いいえ。姉様。確実に本人と接触できるであろう機会があります。」
「確実に?いつなんだ?」
「陛下。昨日の話をした時に申し上げましたよ?「あの方は思っているより早く目覚める」‥‥やつはそう言ってましたと。」
「そうだったな。」
「その「あの方」が復活した時はネクロマンサー自体が動く時です。」
『!』
「私が思うに、ネクロマンサーが初めて私を見たのと「あの方」の一部を体に取り込んだと言ったのは恐らく同じ日‥‥夏休み前に私が初めて浄化魔法を使った日のことだと思います。」
「た、確かにそれぐらいからネクロマンサーが騒がれ始めた!」
「やっぱり‥‥。敵は闇属性の使い手。どちらにしても対抗できるのは私だけですね‥‥。あぁ‥‥敵が増えた‥‥」
「あ、あの。マリン様。」
「はい、なんでしょうか?リオト殿下。」
「マリン様しか対抗できないのですか?」
「はい。今のところ、私しか浄化魔法を使えませんからね。光魔法でも戦えそうな気はするかと思いますが、倒せません。」
「どういうことでしょうか?」
「光魔法と浄化魔法は別物なのです。だから私のステータスには光魔法と浄化の意味の聖魔法と別々に記載されてます。そして光魔法は闇に耐性はありますが、それだけです。闇は浄化しないと完全に消し去ることはできません。例をあげるならアンデッドがそれですね。光魔法では倒せませんが、浄化なら魂の成仏を促すということで倒せます。」
『なるほど‥‥』
ん?なんか返事する人が増えたよ?
「まあ一先ず昨日の詳細は聞けたし、誘拐された人達もこれで取り返せそうだ。だから、これを言っておかねばな。‥‥マリン。ありがとう。」
「!‥‥はい。陛下。」
「(シリウス)」「(リゲル)」「(殿下)」
「「「ん?」」」
「「「いってこい!」」」
「「「え!?」」」
リリ様、マリア様、ベネトさんに背中を押されたシリウス、リゲル、レグルスがこっちに来た。
「わっ!‥‥‥な、なに?」
「「あ、姉上?」」「ベネトさん?」
「あら?考えることは同じだったみたいね。」
「ええ。そのようですね。」
「「「「?」」」」
「シリウス、リゲル、皇太子殿下。さっきのマリンちゃんを見ててなんとも思わないの?」
「「「!」」」「え?」
「そういうことでしたか‥‥‥」
「確かに言葉は悪いですが、胸くそ悪いですね‥‥‥」
「なんとも思わない訳はありませんね‥‥‥」
「え‥‥え?」
すると、3人共私に近づいて来たかと思ったらまず、リゲルが私の手を掴み、自分の腕の中に引き寄せて抱きしめてきた。
「え!?ちょ、ちょっと。リゲル!?」
「じっとしててくれ。」
「‥‥理由は?」
「さっきネクロマンサーに抱き締められてたのが気にくわない。消毒だ。」
「は!?」
「という訳で。」
「へ?‥‥‥っ!」
く、口も消毒ってこと!?
「‥‥‥っ。ちょっとリゲル!?」
「次は俺だな。」
「は!?ちょっとシリウス!?‥‥‥っ!」
消毒ってことなら今リゲルがしたじゃない!
「‥‥っ!もう!なんなの!?」
「最後は私だな。」
「は!?レグルスも!?‥‥‥っ!」
もう!なんなの!?本当に!
「‥‥‥っは!いきなりなんなのよ!!3人共!」
「「はわわわ‥‥」」
「は!リオト殿下とルビア様にまで見られちゃったじゃない!」
「リオトにもいつか見られるんだ。構わないだろ。」
「ルビアもな。」
「もう!‥‥それで、レグルス。また私を離してくれないわけ?」
「ああ。」
「いや、そんないい笑顔で言われても‥‥離してよ。」
「やだ。」
「なんで?」
「ネクロマンサーにまで油断して‥‥できるものなら私が奴に一撃食らわせてやりたいところだった!‥‥さっきも、あいつがマリンを気に入ってるから無事なだけだぞ?あの場で殺されていたかもしれないんだぞ?」
「え?殺されないよ?」
『え?』
「なんで言い切れるんだ?」
「まず、ネクロマンサーの言う「あの方」の器に狙われてるから。それからやつは剣とか凶器を持って無かった。殺気も感じなかったしね。唯一の可能性としてあるなら闇魔法での攻撃だけど、それにも耐性はあるし防げるから大丈夫かなって。油断したのは確かだけど命の危険はないよ。」
「え?そんなことをあの少しの間に考えてたのか?」
「ん?うん。さすがに敵だと分かってて何も考えず近づいたりしないよ。」
「まあそりゃそうだよな。‥‥でもマリン。油断大敵だ。冒険者なら尚更だろ?」
「! ベネトさん‥‥。うん。確かにそうだね‥‥」
「「父様」」
「ん?なんだ?リリアーナ。」
「マリアも。」
「ふふっ。シリウスとリゲルとマリンちゃんの変化、直接見れましたね。」
「「!!」」
「‥‥ああ‥‥そうだな。」
な、生暖かい空気が‥‥‥!
「あの、マリン様‥‥‥そういえばその姿は?」
「それ俺も気になってたんだ。髪の色も変わってるし。」
「え?‥‥‥あ。」
そういえば精霊王の加護のことリオト殿下とルビア様とフリードさんは知らないんだった‥‥
話すか‥‥‥。