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転生できたので自由に生きたい  作者: 霜月満月
第1章 幼少期
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13話 付与の重要性と姉の旅立ち。

さて、姉様の安全対策は思いついたけど、付与する物をどうやって調達しようかな‥‥?

私が自分で1から作れたら良かったけど、材料がね‥‥。今日は家庭教師はお休みだから先生達と会わないしな。これに関しては父様達に相談してみようかな。


父様がいる執務室に行くとちょうど休憩中だった様であっさり入れてくれた。


「休憩中にすみません。父様。ちょっと姉様の事で相談したいことがありまして。」


「クリスの?」


「はい。もうすぐ姉様が王都に行きますよね?その時に贈り物をしようと思いまして。母様と買い物に行きたいんです。姉様の好みを話し合うなら母様かなと思うので。それで、相談というのは買ってきた物にとある魔法を付与しようと思っているのと、買い物に母様と行きたいので許可を頂けないかと思い、来ました。」


「ちょっと待て。クリスに贈り物はいい。買い物も行っていい。だが付与は何をするつもりだ?」


「買い物行っていいんですか!?母様と2人で行っていいんですか!?」


「ああ。それはいいぞ。ディアナと一緒に行くなら構わない。」


「やった!ありがとうございます、父様。あ、付与は麻痺させるだけですよ。」


「は!?麻痺?どういうことだ?」


「勿論切り替えはできる様にしますよ。簡単に説明しますと、例えば付与したのがペンダントだとして、私がペンダントを身に付けてそれに魔力を込めて起動させると、私に触れても私から触れても相手だけが微弱な雷を受けて麻痺させることが出来るというものです。護身用ですね。」


「‥‥‥マリン。それは俺以外、誰かに言ったか?」


「? えっとリサ先生とミラ先生は知ってるというか2人の持ち物に同じ付与はしてますね。あとは今のところ父様だけです。」


「そうか。マリンが魔法として使うのはいいが、物に付与できることを言うのは家族までにするんだぞ。」


「どうしてですか?」


「麻痺の付与されたものなら欲しがるやつは山ほど出てくるからだ。それこそマリンが言った同じ理由で王公貴族はみんな欲しがるだろう。それだけならいいが、人によってはそれを使って麻痺させてる間に誘拐するとか犯罪に利用したりするかもしれんからな。」


「! 確かにそうですね‥‥。今のところ先生達と父様だけしか知らないのでこれから気をつけます‥‥。あの、姉様に付与した物を渡さない方がいいですか‥‥?」


「いや。今言っただろ?この事を話すのは家族までだと。だからクリスに渡すのはいいぞ。」


「良かったです‥‥。それで、この事は父様と母様だけにお知らせする予定なので、姉様には内緒でお願いします。当日驚かせたいので。」


「わかった。いいぞ。」


「じゃあ今から母様と一緒にお買い物、行って来ていいでしょうか?」


「ああ。行っておいで。」


「はい!行って参ります!」


早速執務室を出て自分の部屋にいた母様を連れ出した。

街へ向かいながら私は母様と買い物の目的を話していた。


「私も街に出るのは久しぶりだから嬉しいわ。それで、マリンは何を買いたいの?」


「姉様への贈り物です。それに護身用の付与をしようと思ってます。」


「護身用の付与?」


父様に話したことを母様にも話すと、


「なるほどね。それで私と買い物なのね。う~ん。普段身に付けても違和感がなくて制服を着てても隠せる物よね。」


「はい。なのでペンダントかなとは考えてました。校則で装飾品一切駄目とかだと考え直さないとですが。」


「えっと確か腕時計はいいけど、ブレスレットとか指輪みたいに目に見える装飾品は駄目‥‥とかだったと思うわ。だからペンダントなら制服の下に隠せるから大丈夫じゃないかしら。」


何か校則も日本みたいだな。私が行った中学・高校は隠せるのでも駄目だったけど。

本来は駄目なのにしれっとネックレスとかブレスレットしてるのいたな~。先生が教室に来る前に隠してたけど。


「じゃあとりあえずペンダントで探しましょうか。他にもいいのがあるかもしれないですし、街に出ることもなかなか無いので色々回りたいですしね!」


「それもそうね。折角だから色々回りましょ。」


「それと母様。この事を知ってるのは父様と母様だけなので姉様には内緒でお願いします。当日驚かせたいので。」


「ふふっ。勿論、分かってるわ。」


それから雑貨屋や装飾品店を中心に色々回った。

結果、姉様に渡すのはやっぱりペンダントになった。


そして母様と屋敷に帰ってくると早速。


「あ~!本当に母様、マリンと2人だけで出かけてたんですね!何で私も連れて行ってくれなかったのですか!?」


「姉様も一緒に出かけると私のばかり選ぶじゃないですか。この前も折角家族全員で出掛けたのに私ばっかりで。姉様に自分のも選んでって言っても聞いてくれなかったじゃないですか。構ってくれるのは非常に嬉しいですが、私も折角ですし、ちゃんと街を見て回りたかったです。なので改めて母様と出掛けてきたんです。母様は私の我が儘に付き合ってもらっただけですよ。姉様。」


「うぐっ。そう‥‥じゃあマリン。この前はごめんね。私も久しぶりに街に出たから浮かれちゃったみたい。」


「いえ。また今度行く時は一緒に行きましょうね。姉様。」


「うん!」


そう嬉しそうに返事をすると姉様は自分の部屋へと戻って行った。


「ふふっ。マリン。お見事。」


「ふふっ。事実を言ったまでですよ。先生達と屋敷の外に出てもゆっくり街を見てたりはしてないですしね。この前も今日も行った事がないところに行けたのは楽しかったですしね。‥‥姉様に気付かれてないですよね?」


「ええ。大丈夫だと思うわ。」


「母様も今日はありがとうございました。」


「いいのよ。私も楽しかったしね。」


それから母様と別れ、部屋に戻って早速。


【プログラム】


発動条件:使用者クリスによる「麻痺」・「通常」発言による切り替え


発動内容:使用者クリスの「麻痺」発言後「通常」発言まで使用者の全身に【麻痺(パラライズ)】効果付与



これでよしっ‥‥ん?待てよ?このペンダント自体を取られないようにもしとくべきか?姉様が誰かに貸そうとはしないだろうし、念のために対策しとこう。


【プログラム】


発動条件:制作者「マリン」及び使用者「クリス」以外の者が触れた時


発動内容:【麻痺(パラライズ)】発動



これで大丈夫かな。これもちゃんと説明しないとね。麻痺の被害者が増えてこの付与が他の人にバレるからね。


◇◇◇◇◇◇◇◇


それから1ヶ月後。いよいよ姉様が王都に行く日。

上の兄様2人の夏休みが終わり、王都に戻るのに一緒に行く形だ。父様とセレス母様も勿論一緒に行って、父様だけ王都の仕事が終わると帰ってくる。なので行くのは合計5人。見送りは私とアクア兄様とディアナ母様の3人だ。


第一夫人一家と第二夫人一家が綺麗に別れた‥‥まあ当たり前だけどね。兄弟の年が離れてるし。ヒスイ兄様は今年度で卒業して数ヶ月後には帰ってくるから今だけだけどね。


「それじゃ、行ってきます。」


「あの!姉様に贈り物があるんです。しかも2つ。」


「え?何で2つ?」


「1つは本当に贈り物で、もう1つは渡してから説明します。」


「?」


「まずは贈り物ですね。このポーチ、ただのポーチではなく、私がストレージを付与してあります。落とさない様にベルトに通せるようになってますが、姉様が普段使ってるカバンに入れて持ち運んだりもできますよ。」


「え?じゃあこれマジックバックなの!?私がもらってもいいの?」


「はい!勿論です。私はストレージがありますから。それに姉様はお買い物、好きでしょう?あったら便利かなと思いまして。」


「やったぁ!ありがとう、マリン。凄い嬉しい!」


「喜んで頂けて私も嬉しいです。で、あともう1つなんですが、これです。」


「ペンダント?」


「はい。これが説明が必要な物です。まずは付けて頂けますか?」


「? うん。いいけど‥‥。」


頭に?を浮かべながらもつけてくれたので。


「姉様。そのペンダントに魔力を少しでいいので込めてから「麻痺」と言ってみてくれますか?」


「え?‥‥「麻痺」。これでいいの?」


ひたすら頭に?を浮かべつつも言うとおりにしてくれる。


「はい。では私以外の誰でもいいので触れてみて下さい。」


「え?触れる?えっとじゃあ‥‥。」


と、ちょうど姉様の隣にいたヒスイ兄様に触れた。


ちゃんと狙い通りになったようだ。

ヒスイ兄様は痺れたのか、ピクピクしてたが。

最初の被害者はヒスイ兄様になったか‥‥。

あ、このままだと出発できないか。兄様を回復してあげないとだった。


「【状態異常回復(ディスペル)】‥‥ヒスイ兄様、動けますか?」


「っ!‥‥ああ。動けるな‥‥。ありがとうマリン。」


「いえ。元々私が付与した物のせいですしね。」


「付与?今の何?ヒスイ兄様に何が起きたの?」


「姉様。説明しますから落ち着いてください。で、説明前に姉様、今度はペンダントに向かって「通常」と言って頂けますか?」


「う、うん。‥‥「通常」‥‥これでいい?」


「はい。大丈夫なので、もう一度兄様に触れてみてもらえますか?」


「‥‥あれ?今度は何も起こらないわね?」


「はい。今姉様に試して頂いたのはこのペンダントの使い方ですね。付与した魔法は微弱な雷で相手を麻痺させるものです。さっきの様に「麻痺」と言うと姉様が触っても他の人が触ってきても相手を麻痺させることができるようになり、「通常」と言うと元の無害な普通のペンダントに戻るようにしました。」


「へ~!凄いね。‥‥何でこれを私にくれたの?」


「あっ!それ私も前、聞き忘れてたから気になってたのよ。」


「俺も。」


「あれ?私、父様と母様に説明してませんでしたっけ?」


「「聞いてないな。(わ。)」」


「‥‥すみません。説明しますね。」


去年冒険者ギルドで絡まれた時の事を説明した。


「それでふと、姉様は護身術とか習ってないので危ないかなと思いまして。それで、何かあってから後悔する前にと私が勝手に心配して姉様に渡すことにしました。」


「「「‥‥‥。」」」


あれ?黙っちゃった。私何か変なこと言ったかな?


と思っていると、無言で姉様が私に近づいてきて、かばっと私を抱きしめてきた。


「うわっ!と。姉様?びっくりするじゃないですか。」


「‥‥マリン。私が王都に行ってる間に何かあったらって心配してこれをくれたって事だよね?」


「はい。そうです。」


そう答えると姉様は私を抱きしめていた手を離して父様達に向かって告げた。


「父様!私の妹が凄く優しくていい子なので離れたくないです。一緒に連れて行っていいですか!?」


え?真顔で何言ってるの?このシスコンの姉は。

ほらみんな呆れた顔して‥‥


「クリス。気持ちは分かるがまだ駄目だ。」


え?分かるの?しかも「まだ」って父様‥‥。


「え~!」


「え~じゃない。ほら、そろそろ出発するぞ。」


「‥‥は~い‥‥。」


そんな不貞腐れるほどかね。姉様。


「‥‥マリン。色々考えてくれてありがとね。両方凄く嬉しい!大切に使わせてもらうね。」


「はい。あっ!姉様、1つ大事なこと言ってませんでした!ポーチもペンダントも私と姉様以外が触るとそれでも麻痺が発動するようにしてるので気をつけて下さいね。」


「え?何で?」


「盗難防止です。」


「なるほど。分かったわ。‥‥これは両方他言無用ですよね?父様。」


「ああ。そうだな。その様子は理由も分かってるみたいだな。」


「はい。これは話したらみんな欲しがるでしょうしね。」


「そういうことだ。他のみんなも他言無用でな。」


「「「「「はい。」」」」」


みんなで玄関から外の馬車の前まで移動して


「じゃあ行くぞ。」


「はい。ディアナ母様、アクア、マリン。行ってきます。」


「「「行ってらっしゃい!」」」


そうして姉様達が見えなくなるまで見送ると、


「‥‥行っちゃったわね‥‥。」


「はい‥‥。」


「ところでマリン?あなた、さっきの話はどういうことかしら?」


「え?さっきの話とは?」


「決まってるでしょ?冒険者ギルドで酔っ払った冒険者を返り討ちにしたって言ってたわよね?なに危ないことしてるのかしら?どうしてすぐに私達に報告しないのかしら?」


目だけ笑ってない‥‥!こっ怖っ!普段怒らない人が怒ると怖いってこういうこと!?


「えっと‥‥ごめんなさい。あの時は危険を感じて体が動いちゃったので‥‥。報告は忘れてました‥‥すみません。」


「はぁ‥‥。そんなことだろうとは思ったわ。でもね、いくらマリンが加護を持ってて強くても貴方はまだ6歳の子供なの。しかも女の子なのよ?心配するからあまりそんな無茶なことしないで‥‥。」


違った‥‥。怒りより心配が上回ったみたいだな‥‥。

そりゃそうだよね‥‥今の私は6歳の子供だから‥‥。

忘れない様にしないと。こうして心配させちゃったし‥‥。


「母様‥‥すみませんでした‥‥。」


「分かってくれたならいいわ。でも本音を言うと、さっきマリンの話を聞いててね、酔っぱらいを返り討ちにしたなんて凄い!よくやったわマリン!とも思ってたのよね♪」


「! ふふっ。やっぱり母様らしいですね。」


「あら?それはどういう意味かしら。ちなみに多分あの人が帰ってきた時に同じ追求されると思うわよ。」


「え~。母様と違って父様には怒られる予感しかしないのですが‥‥。」


「まあ怒られるでしょうね。でも長くはないと思うわよ。」


「そうでしょうか?」


「ええ。」


こんな風に話しながら私達は屋敷の中に戻っていった。


※2021,9,4 改稿しました。

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