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転生できたので自由に生きたい  作者: 霜月満月
第6章 学生編3
128/289

128話 現れたのは‥‥2

マリンとレグルスが気を失った後。


「「「マリン!レグルス!」」」


「3人共大丈夫だ。マリンのお陰で2人共傷は塞がってる。血を流し過ぎたってマリンが言ってたから、多分そのせいで気を失っただけだ。ちゃんと生きてるし、その内起きる筈だ。」


「そうか‥‥‥それならとりあえず安心だな。でもこのままには出来ない。城に2人を運ぼう。」


「ああ。俺が先に言って医師を呼んでおく。」


「ああ。頼む。リゲル。」


「じゃあ運ぶぞ。殿下は俺が運ぶ。マリンは‥‥」


「俺が運ぶよ。ベネト。」


「はい。」


「‥‥よっと!‥‥相変わらず軽いな、マリン。‥‥では、フリードさん。妹を連れて行かないといけませんので、俺達は失礼します。」


「ヒスイ!俺も行く。城に連れて行くなら事情を話さないといけないだろ。」


「‥‥‥‥そうですね。では行きましょうか。」


そして、マリンが連れて来た全員とフリードが連れ立って訓練場を後にした。


そして城に到着すると、すぐに医師によって2人は診察を受けた。傷も塞がっている為、医師からも特に問題なしと。

ただ、血を流し過ぎたので1日は確実に絶対安静に、動かしてはならないとだけ告げて医師は帰っていった。


一先ず問題なしと聞いたことでようやくその場にいた者達が一息つけたところで。


コンコン


「どうぞ。」


と、シリウスが返事を返すと。


ガチャ


入ってきたのは国王夫妻、リリアーナ、ラルクだった。


「父上、母上、姉上‥‥‥辺境伯様‥‥」


「マリン‥‥。ヒスイ、何があった?」


「俺もよく分かりませんが、襲ってきた犯人をマリンは知っていた様です。」


「なに?」


「‥‥‥‥辺境伯様ですね。私は魔法師団の団長を仰せつかっております、フリード・グラジオと申します。マリンと皇太子殿下をこの様にした犯人は私も存じ上げておりました。実際、襲われる直前までその犯人のことをマリンと話してましたので。」


「「なに!?」」


「フリード、襲ってきた犯人は誰だ?」


「今、各国で指名手配されている、誘拐犯のネクロマンサーと呼ばれているやつです。」


「なんだと!?王国に現れたというのか!?」


「はい。やつは頭を覆うほどのローブを着ていたので私には顔が見えませんでしたが、マリンには見えた様でそう言っておりました。」


「マリンは何故知っていたんだ!?」


「冒険者ギルドのギルドマスターが話したそうです。」


「‥‥‥‥そうか‥‥だが、マリンがこんなことになるとはな‥‥‥やつはそんなに強かったか。」


「いえ。マリンなら本来勝てる相手だった様です。」


「では、何故このようなことが起きた?」


「マリンが‥‥」


「父上。奴はレグルスを操り、マリンとレグルスを纏めて刺したんです。」


「なんだと!?‥‥‥幻影だけではないのか‥‥」


「辺境伯様。私がついていながらお嬢様を危険に晒してしまいました。‥‥‥申し訳ありません。」


「‥‥‥‥ヒスイ。マリンの容態は?」


「傷はマリンが殿下と共に自分で治療しましたので塞がってます。医師からも特に問題ないと。ただ、血を流し過ぎたので2人共絶対安静にとのことです。」


「そうか‥‥フリード殿だったか?」


「はい。」


「マリンと殿下が無事ならそれでいい。」


「‥‥‥‥ありがとうございます。」


「とりあえずここに全員集まっていてもしょうがない。一旦解散してラルク達はまた明日城に来るといい。その時に改めて今回のことを話そう。マリンに聞かないと分からないこともあるようだしな。マリンと皇太子殿下は動かさない方がいいようだからこのまま城で預かる。」


「‥‥‥‥はい。よろしくお願いします。みんな帰るぞ。」


『はい。』


「すみません。俺も残っていいでしょうか?」


「ベネト?」


「ここに殿下とマリンだけ残していったらどちらかが起きた時、説明する人がいなくなります。シリウスがずっとついてる訳にもいかないでしょう。」


「そうだな。じゃあ頼むな。ベネト。」


「はい。」


そしてマリン、レグルス、ベネトを残して全員部屋から出ていった。


その後マリン達と共に残ったベネトは‥‥


「‥‥‥殿下を危険に晒したと怒るべきか‥‥殿下を助けてくれたことを感謝するべきなのか‥‥‥俺はマリンに対してどっちを選ぶべきなんだろうな‥‥」


と一人呟いていた。


そしてその日の夜。


「‥‥‥ん‥‥‥ここは‥‥‥?」


「お、殿下。気がついたか。」


「‥‥‥ベネトさん?」


「ああ。‥‥ここは城の一室だ。」


「城?‥‥‥‥っ!マリンは!?」


「隣のベッドに寝てるよ。2人共念のために医師に診てもらったが問題ないそうだ。マリンもちゃんと目を覚ますってさ。」


「‥‥‥そうか‥‥‥良かった‥‥」


「‥‥‥なあ、殿下。」


「ん?」


「俺はマリンに対してどう対応するのが正解なんだろうな?殿下を危険に晒したことを怒るべきか‥‥殿下を助けてくれたことを感謝するべきなのか‥‥どっちを選ぶべきなんだろうな?」


「決まってる。私を助けてくれたことを感謝するべきだ。私が操られてマリンを刺してしまった‥‥。私が操られなければマリンはあいつを捕まえられた筈だからな。」


「‥‥そうか‥‥。話は変わるが、殿下。医師から絶対安静にとのことだ。マリンの無事も確認出来たし、大丈夫だろ?休んでくれ。マリンが起きたら同じように俺が話すから。」


「ああ。分かった。‥‥聞いてくれないだろうが、無理せずベネトさんも休んでくれ。」


「ああ。聞けないな。でも分かった。程々には休むよ。」


そしてまた時間が経ち、夜中。


「‥‥‥‥んっ‥‥‥あれ?‥‥‥ここ‥‥どこ?」


「ん?マリン、起きたか。」


「‥‥‥え?ベネトさん?」


「おう。ここは城の一室だ。」


「え?‥‥‥レグルスは!?」


「大丈夫だ。隣のベッドで寝てるよ。さっき一旦起きたから同じ説明したらまた寝たよ。」


「そっか‥‥‥良かった‥‥私、ちゃんとレグルスを助けられたんだね。」


「ああ。一応2人共医師に診てもらったが問題ないそうだ。ただ、マリンは言わなくても分かってるだろうが、絶対安静な。医師からもそう言われてるからマリンもちゃんと寝ろ。2人が起きたのは確認できたから俺も寝る。」


「うん。分かった。でもその前にベネトさんに言わないといけないことがあるから聞いてくれる?」


「おう。なんだ?」


「‥‥‥‥ベネトさん。皇帝陛下はここにいないからベネトさんに代わりに言うね。」


そして私は服装が変わっていたが気にせず座り治して、頭を下げて言った。


「‥‥‥‥皇太子殿下を危険に晒してしまい、申し訳ありませんでした。」


「!‥‥‥マリン‥‥‥とりあえず頭を上げろ、マリン。」


おずおずと頭を上げてベネトさんを見ると、苦笑していた。


「マリン。俺正直な、今回のことについてマリンに対してどう反応したらいいか迷ってたんだ。」


「え?どういうこと?」


「マリンは確かに殿下を危険に晒した。でも命を救ってくれた。だから俺はマリンに対して殿下を危険に晒したことを怒るべきか、殿下を助けてくれたことを感謝するべきなのかって考えてたんだ。そしてさっき殿下にも聞いてみたんだ。」


「‥‥‥レグルス、なんて?」


「即答だったよ。殿下を助けてくれたことを感謝するべきだって答えた。自分が操られてマリンを刺してしまった。自分が操られなければマリンはあいつを捕まえられた筈だったってな。」


「そっか‥‥。それで、ベネトさんはどっちにするの?」


「ふっ。さっきのマリンの一言を聞いてな、思ったよ。何度も俺達を助けてくれてるマリンを怒る権利は俺にはない。殿下をまた助けてくれたことを感謝するだけだとな。」


「え?‥‥‥ベネトさん、私を怒らないの?」


「ああ。マリンも死ぬ思いして殿下を助けてくれたしな。

‥‥全く、無茶するよな。マリンは。」


「え?だってあの時はそうするしか‥‥」


「ああ。マリンが頑張ってなかったら殿下は助からなかったかもな。だから俺はマリンを怒るつもりはない。‥‥分かったらもう寝ろ。俺も寝たいんだよ。」


「え‥‥?わ、分かった‥‥。おやすみなさい。」


「ああ。おやすみ。‥‥‥はぁ‥‥やっと寝れるわ‥‥」


そうしてマリンが再び寝た後。


はぁ‥‥‥マリンには驚かされてばかりだな‥‥

まさかマリンに謝られるとはな‥‥

いつの間にか「自分が守らないと」って意識が染み付いちまったかな‥‥。まあ、殿下だけじゃなくシリウスやリゲルも重要な立場のやつらだからな。そんなやつらとずっと一緒にいたらああなるのもしょうがないかな。

‥‥ってマリンにとっては俺もか。

全く‥‥‥12歳で難儀なこと背負ってるよな‥‥。

マリンに気楽な人生は来ないのかね‥‥?


と、考えている内にベネトも眠りに落ちたのであった。


翌日。

お昼頃迄にレグルス、ベネト、マリンの順に起きていた。

そして体も動かせたので今はベッドの上にぺたんと座っている。


「レグルス。医師様の話は夜、一度起きた時にベネトさんから聞いたけど、本当に大丈夫?どこも痛くない?」


「ああ。大丈夫だ。」


「良かった‥‥。私が油断したせいでレグルスまで怪我させてごめんね。」


「いや。油断の元は私だし、マリンも怪我させてしまった。私こそごめん。」


「2人共。謝り合うのはそこまでだ。」


「うん。」「ああ。」


「もちろん、そのつもりだよ。‥‥レグルスとベネトさんにはね。」


「「え?」」


コンコン


「あ、リリ様だ。どうぞ!」


ガチャ


「マリンちゃん!?起きてたの?」


「はい。昨晩一度起きましたが、ベネトさんに現状を聞いた後もう一度眠りました。それで、つい先程改めて起きたところです。」


「そう‥‥‥良かった‥‥2人共お昼、食べられそう?」


「「はい。」」


「じゃあ私もここで一緒に食べていいかしら?」


「え?はい‥‥。私は構いません‥‥というか嬉しいぐらいですが、リリ様はよろしいのですか?」


「え?何が?」


「その‥‥‥陛下や兄様と一緒にじゃなくて、です。」


「あら。父様は今更だし、ヒスイ様はこれからいくらでも一緒に食べる機会があるけど、マリンちゃんはなかなかないでしょ?私としても一緒が嬉しいのだけど、駄目?」


「!‥‥‥いえ。嬉しいです。‥‥‥父様達も立ち聞きなんて大人気ないことをせずに入ってきたらいかがですか?」


「「「え?」」」


ガチャ


「‥‥‥‥気付いてたか、やっぱり。」


「はい。」


にっこり笑顔で迎えました。

父様だけではなく、兄弟達やシリウス達、なんと陛下夫妻や公爵様とマリア様までいる。大丈夫だよって見せないといけない。


「それでマリン。今起きたのか?」


「はい先程。ですが、昨晩一度起きました。ベネトさんから安静にしてろと、もう一度寝ろと言われましたので寝ましたけど。」


「そうか。なら昼食はまだなのか?」


「はい。それで今リリ様からお誘い頂いてましたが‥‥‥ところで、この服は‥‥?」


「私がマリンちゃんぐらいの時に着ていたものよ。」


「え!?リリ様の服だったのですか!?」


「ええ。よく似合ってて可愛いわよ?マリンちゃん。」


「ふぇっ!?‥‥‥‥‥こんな可愛らしい服‥‥私には似合いませんよ‥‥」


フリフリのノースリーブワンピース。

この12歳という年齢だからギリ許されるぐらいの可愛さアピールの激しいやつなんだ‥‥。

今のリリ様は綺麗系の服装ばかりだから油断した‥‥小さい時はこんな趣味だったんだ‥‥。

変な声出ちゃったじゃん‥‥‥。


「え?そう?私も似合うと思うわよ?」


「ええ。私もマリンちゃんに似合ってると思うわ。」


「うん。私も似合うと思うよ?マリン。」


「‥‥‥‥‥‥‥姉様、マリア様、リジア‥‥‥あ!恥ずかしいなら隠せばいいのか!」


「「「「え!?」」」」


ということで寝てる時に私にかけられていたブランケットにくるまった。


「「「「あ~あ‥‥」」」」


「可愛いかったのに~!」


「ね、姉様。それよりお昼食べたいです!姉様達は食べて来たのですか?」


「ええ。もちろん食べて来たわよ。それで、今日もここから動けないだろうから、服を持って来たわよ。明日ここから学園に行ける様に制服もね。」


「さすがです!姉様!‥‥って私、ゲートも使っちゃ駄目なんですか?」


「え?‥‥‥‥あ。」


「姉様。ゲートの存在忘れてました?」


「‥‥‥‥‥うん。」


「ふふっ。でもお気持ちが嬉しいです。ありがとうございます。姉様。」


「うん。」


「‥‥それで、あの、陛下‥‥」


「いい。昼食を食べてからでな。とりあえず2人共起きたことを確認する為に来ただけだ。」


「はい‥‥ありがとうございます。」


そして一度解散しようということで、集まってきた面々は部屋から出ていった。


そしてマリン、レグルス、ベネト、リリに加えてマリアもお昼がまだだった為、一緒に昼食を食べ終わった後。


倒れて寝込んでいたために入れなかったマリンとレグルスが交代でお風呂に入ったのだが、自分の服に着替えたマリンを見て姉達が残念がっていたのは言うまでもない。


そして。

改めてマリン、レグルスの休む部屋に集合した面々。

国王夫妻とリリアーナ、公爵とマリア、ラルクとマリンの兄弟達、シリウス、リゲル、リジア。そこにフリードと、なんと普段城を避け続けているディアナまでいた。


「あれ?母様?いついらしたのですか?というか、母様までいらしてくださるとは思いませんでした。」


「そりゃ可愛い娘が怪我したって聞いたら来るに決まってるじゃない。着いたのはさっきよ。」


「そうでしたか‥‥‥嬉しいです。母様。」


「マリン。」


「はい。‥‥陛下、私が話さないと分からないこともあると思います。ですがその前に申し上げたいことがありますので聞いて頂けますか?」


「うん?なんだ?」


私はベッドの上で正座に座り直してから言った。


「‥‥‥ベッドの上からで申し訳ありません。‥‥陛下、王妃様、リリアーナ様、公爵様、マリア様。」


「「「「「!!」」」」」


私がリリ様をリリアーナ様と言ったことに驚いている様だが今から言うことの為には当然だ。


「私のせいでシリウス殿下とリゲル様も危険に晒してしまいました。‥‥申し訳ありませんでした。」


『!!!』


私が頭を下げて言った言葉にその場にいた全員が絶句していた。


「一歩間違えれば私や皇太子殿下の様に怪我をしていたのはお2人だったかもしれません。‥‥今、私の命があるのも犯人に情けをかけられた様なものです。」


『な!?』


「‥‥‥‥‥とりあえず頭を上げてくれ、マリン。」


「ですが‥‥」


「このままでは話し辛い。」


「はい‥‥」


私がおずおずと頭を上げると、ベネトさんの時と同じように陛下も苦笑していた。


「マリン。結果として全員無事だったんだ。そんなに自分を責めないでくれ。マリンにはこれまで何度も助けられている。怒るつもりはないよ。」


「陛下‥‥‥‥昨晩のベネトさんと同じ反応です。」


「え?」


「そうなのか?」


「はい。昨晩一度起きた時にベネトさんに同じように謝ったところ、陛下と同じように私を怒るつもりはないと言われました。」


「まあ、そうだろうな。実際マリンはシリウス達と初めて会った時から度々守ってもらってるからな。マリンは悪くないんだし、怒る理由がないだろう。」


「‥‥‥‥‥いえ。今回、犯人は明確に私を狙ってました。私のせいで皆を巻き込んでしまったのです。」


「‥‥‥‥どういうことか説明してくれるんだよな?」


「はい。」


私はしっかり頷いて話始めた。

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