123話 5人兄弟仲良く
そして、夏休みが明けたその一ヶ月後。
いつも通り学園からマリンが兄と共に帰ってくると、いつもはいない人物が2人いた。
「「ただいま戻りました。」」
「「おかえり。アクア、マリン。」」
「え?ヒスイ兄様にフレイ兄様!?」
「兄様達、いつ王都へ?」
「さっき着いたところだよ。」
「父様も一緒だぞ。」
「おかえり。アクア、マリン。」
「「ただいま戻りました。父様。」」
「王都で兄弟全員揃うって不思議な感じですね!」
「ああ。そうだな。アクアとマリンの制服姿も初めて見るしな。」
「そういえばそうですね。2人共。良く似合ってるな。」
「ありがとうございます。フレイ兄様。私も見たかったです。兄様達の制服姿。」
「あ、俺も。」
と話していると、姉様も来て‥‥
「私もヒスイ兄様のは見れなかったからな‥‥私も見たかったわ。」
「あ、姉様。ただいまです。」
「うん。おかえり。アクア、マリン。」
「兄弟揃いましたね。」
「ふふっ。そうね。」
「それで、ヒスイ兄様とフレイ兄様は結婚式の準備に?」
「ああ。そうだよ。」
「そういえば、フレイ兄様が辺境伯家を継ぐということで、マリア様と領地に戻るんですよね?」
「ああ。」
「ではヒスイ兄様は?王都に移るのですか?」
「ああ。今大公家の屋敷を建設中なんだ。でも式が終わっても屋敷が間に合わなそうでな。完成まではここにいるつもりだからよろしくな。」
「リリ様もですか?」
「ああ。」
「やった!リリ様と一緒だ!しかもしばらくは兄弟全員揃ったままですよね?」
「「ああ。」」
「やったぁ!楽しくなりそうですね!」
「「「そうだな。」」」「そうね。」
「あ、そうだ。話しは変わりますが、ヒスイ兄様とフレイ兄様もフリード先生、ご存知ですか?」
「ん?ああ。召喚魔法を教えに来てくれたあの軽い人だろ?」
「フリード先生なら俺の時も来たぞ。」
「ちなみに兄様達も召喚獣がいないということは失敗したのですか?」
「ああ。俺もフレイも召喚獣は出てきたが契約まではいかなかったんだ。」
「姉様は?」
「私もよ。アクアとマリンは?」
「俺は召喚の紙に魔力込めすぎて破れました。」
「私は大きい亀さんが出てきましたが、器じゃないと契約できずに終わりました。」
はい。半分嘘です。翌年、契約しました。玄武さんだったからね。その場で契約するわけにはいかなかったから、その時は一旦帰ってもらって今年契約したからね。
「え?召喚獣が話したのか?」
「はい。恐らく念話ですが。」
はい。念話でとりあえず今回は帰ってと言いました。
「なるほどな。で、そのフリード先生がどうかしたか?」
「実は夏休み明け、最初の魔法科の授業にふらっと見学に来まして。また魔法師団に来るように誘われたんですよ。」
「マリンも誘われたのか‥‥ん?また?」
「もってフレイ兄様も誘われたんですか?」
「ああ。」
「兄弟みんなに声掛けてるんですね。フリード先生。」
「そうみたいね。‥‥それで、また魔法師団に遊びに来いって言われたの?」
「いえ。今度は魔法を見せに来いって言われました。アクア兄様と姉様もと。姉様は王都いるならと言ってましたが。」
「見せに来いって言われたのか?しかも俺も?」
「はい。私達、リジア含めた5人だけ違うことをしてるのでその様子を見た後にそう言われました。」
「え?5人って?違うことって何してるのよ?」
「勿論5人は私、シリウス、リゲル、レグルス、リジアですよ?あと、違うことというのはもう私達は的当てとかはしてないってことです。」
「え?じゃあ何してるのよ?」
「ふふっ。決まってるじゃないですか。撃ち合いです。」
「「「「‥‥‥」」」」
「よく先生ほっといてるわね‥‥」
「私とリジア以外の3人には教え辛いのか、私が任されてしまってるんです。代わりに好きにしていいよってことでシリウス達の魔法を見たり、レグルスと撃ち合ったりしてるんです。」
「そこをフリード先生が見たのか?」
「はい。」
「なるほどな。だからまた誘われたのか。」
「あ、ちなみに魔法師団に行っても勧誘までするつもりはないそうです。私は。」
「「「「え?」」」」
「陛下に私は勧誘するなと言われたそうです。」
「あのフリード先生が陛下と話すなんて‥‥想像できないな。」
「ですよね?それより驚いたのはフリード先生の立場ですよ!」
「ん?確かに陛下と話すなら相応の立場なんだろうな。」
「ええ。なんと魔法師団の団長だそうですよ!‥‥ですよね?アクア兄様。」
「ああ‥‥‥そう言ってたな。」
「「「え!?」」」
「え、フリード先生魔法師団長だったの!?」
「はい。」
「それでその話を俺達にした理由は?」
「折角兄弟全員揃ってるので一緒に行ってみませんか?と。」
「本音は?」
「兄弟全員で押し掛けたら楽しそうじゃないですか?主に先生の反応が楽しみです。」
「「「「確かに‥‥」」」」
「‥‥お前達、さっきから話してるのは魔法師団長の話だよな?」
「はい。そうですよ?」
「そのわりには結構失礼なこと言ってないか?」
「え?実際すごい軽い人なんですよ?‥‥いや、違うな。近所の面倒見のいいお兄ちゃんって感じですかね?」
「まあ良く言えばそんな感じだな。」
「そんな敬語を話してたら違和感しかなかった人なんですよ。」
「え?敬語で話す人がいたのか?」
「シリウスとリゲルとレグルスですよ。シリウス王子、リゲル殿、皇太子殿下って呼んでました。」
「へ~。あのフリード先生がね~。」
「それで、どうします?行ってみませんか?」
「確かに、それなら面白そうだな。」
「ええ。俺達は久しぶりに会いますしね。」
「ええ。私達の魔法も見せて驚かせてやりましょうか。」
「ええ。兄様達が行くなら俺も行きますよ。」
「じゃあ決まりですね。ヒスイ兄様とフレイ兄様の予定に合わせて突撃してみましょう。」
「「「ああ。」」」「ええ。」
兄弟5人全員で黒い笑み。
「お前達‥‥」
と言いながらラルクは自分の子供達全員が企み顔をしているのを呆れながら見ていた。