120話 注目を集める人達
そして翌朝。
私は学園に行く前に聞きそびれていたことを家族に聞いてみた。
「そういえば、父様。リリ様達とヒスイ兄様達の結婚の話は王都にも広がってたりしますか?」
「ああ。さすがにもう陛下から知らせが出てるよ。」
「家族以外は誰が招待されてるんですか?」
「近しい人達。リジアや皇太子殿下達も招待するそうよ。」
「母様、リジアはもう知ってますか?」
「ええ。知ってる筈よ。」
「そうですか。昨日とか、リジアとその話していいのか分からなかったので‥‥。王都の人達にも知られてるなら学園で話しても問題ないですよね?」
「ええ。大丈夫よ。」
「やった!リジアと喜びを分かち合えます!」
「マリン。それはいいけど、そろそろ出ないと。」
「は!そうですね。すみません、兄様。」
そして兄様と学園に着くと、いつものメンバーが校門のところで集まっていた。
「あ、兄様。みんないますよ。」
「本当だな。待ってないで教室行けばいいのに。」
「ですね。‥‥みんな!おはよう。」
『おはよう!』
「みんな待ってないで教室行ってて良かったのに。レグルスとリジアは同じクラスだし。」
「まあそうなんだけどね。何故か誰も動こうとしなかったのよ。」
「?‥‥‥とりあえず教室行こ。」
『ああ。』「うん。」
そして全員で教室へ向かう途中、昨日と同じことが繰り返されていた。
天使呼びである。やっぱり諦めるのが無難なんだろうか‥‥
「マリン。たまには諦めも必要だぞ。」
「‥‥‥‥私もそんな気がしてきた。」
「お。心境の変化か?」
「‥‥‥‥いや。そもそも私が天使って言われるのが嫌だからってみんなの意思をねじ曲げていいわけなかったなって思っただけ。私をどう見ようが個人の自由だからね。強制できることじゃないし‥‥‥って思うことにした‥‥」
「そ、そうか‥‥‥。じゃあ生徒会でな!」
と言ってベネトさんと兄様と別れて同学年でまた進む。
「‥‥‥‥とは言ってもやっぱり恥ずかしい‥‥‥」
「抵抗はやめても慣れるまでが長そうね‥‥」
「「「ああ‥‥」」」
そしてシリウスとリゲルとも別れて教室に向かった。
お昼。
私がリジアやレグルスと共に食堂で座って食べ始めようとした時。
「あれ、シリウス達じゃないか?」
「ん?‥‥あ。本当だ。ここに呼ぼうか。席空いてるし。」
「そうだな。」
「シリウス!リゲル!こっち空いてるよ!」
「! マリン。‥‥レグルスとリジアも一緒か。」
「うん。」「ああ。」
「一緒に食べよ?」
「「ああ。」」
という会話をしていると食堂にいた他の生徒がざわついた。
「なあ、今マリン嬢の方からシリウス王子達呼んだよな?」
「ああ。しかもお互い呼び捨てだったぞ。」
「‥‥‥‥あそこだけすごいな。帝国と王国の王子と公爵家に辺境伯家に伯爵家だぞ?」
「「「「「‥‥‥‥」」」」」
「なんか注目集めてない?私達。」
「ああ‥‥」
「私がシリウスを呼んだからかな?」
「かもな。」
そうして話していると、話し掛けてきた声の主は‥‥
「いや、そりゃそうだろ。」
「あ、ベネトさんだ。一緒に食べる?」
「ああ。殿下達見つけたと思ったら注目集めてるし。‥‥お前ら自分の立場を理解した方がいいぞ。」
「ベネトさんに言われたくない。」
そして私の反論に乗っかる別の人物は‥‥
「全くだな。」
「兄様、一緒にどうですか?‥‥あ、いたんですね。カイト先輩。」
「ああ。そのつもりで来たんだよ。」
「マリン。相変わらず、言い方がひでぇな。‥‥でも、俺もいいか?」
「はい。勿論。」
「増えたぞ‥‥‥皇太子のいとこと辺境伯家が。」
「ああ。あそこだけすごい近寄りがたい神々しさが‥‥」
『え?』
「神々しくないか?王族と天使だぞ?」
『確かに‥‥』
「「「「「「「「‥‥‥‥」」」」」」」」
「‥‥‥‥もうやだ‥‥。なに‥‥‥神々しいって。」
「‥‥‥‥だな。あれって俺達も入ってるんだよな?」
「多分‥‥」
「「「「「「「はぁ‥‥」」」」」」」
「みんな大変だな。」
「カイト‥‥‥お前は気楽でいいな。」
「確かにそうですね。先輩の気楽さが羨ましいです。」
「‥‥‥‥変な疲れ方してんな。」
「本当だな。」
そこにやって来たのはお久しぶりなあの人でした。