112話 模擬戦前に
私がレグルス達を抑えるところを見せたあと。
「というわけで兄様達、明日の模擬戦。シリウス達にベネトさんが入ってもいいですよね?」
『え?』
「だって皆さん考えてみてください。兄様達4人は全員無詠唱で魔法使えるんですよ?対するレグルス達はレグルスは無詠唱で魔法使えますが、シリウスとリゲルはまだ無詠唱とまではいってません。このままやったら3人は魔法を使う前に終わりますよ?いじめてるようなものですよ?」
『あ。』
「むしろ私がレグルス達について防がないと、シリウスとリゲルは最後まで攻撃に転じることはできませんよ?」
「そういえばそうだな‥‥。でも俺が入っても変わらないんじゃないか?」
「いえ。やり方次第で違いますよ。私にはシールドがありますが、シールドが無くてもやりようはあります。そこを4人がどう動くかと連携次第で攻撃に転じることも可能だと思いますよ?私が入らなくても。12・3歳組対ほぼ成人組の大人気ない戦いですけどね。」
「「「「‥‥‥」」」」
「ぷっ。た、確かに大人気ないわね。」
「え、ええ。‥‥マリンちゃん、リゲル達は勝てなくてもいい戦いはできるってこと?」
「はい。魔法だけに絞った戦いなら。」
『そうなのか?』「そうなの?」
「なんで模擬戦やる人達が分かってないんですか‥‥?とりあえず、兄様達は私とやる時みたいに魔法を代わる代わる放ったりしたら駄目ですよ。」
『‥‥‥』
「兄様?姉様?シリウス達をいじめたいんですか?それなら私もこっちに入りますよ?」
「マリンが入ったら俺達が瞬殺されるじゃないか。」
「だから4人を守るだけです。私は攻撃しません。さあ、どうしますか?兄様達がシリウス達を瞬殺しようとするなら私が守ります。そうじゃないなら私は入りません。どっちにしますか?」
というと、兄弟会議が始まった。
「どうしますか?兄様達。」
「どうするって、アクア。マリンの鉄壁の防御を崩せると思うか?」
「俺は無理だと思いますよ。」
「私もです。4人で集中砲火してもびくともしないんですよ?シールド禁止にするぐらいじゃないと、私達じゃマリンの防御を突破出来ません。」
「だよなあ~。」
「あの兄様達、素直に私を入れないで4対4で行こうとは言わないんですか?」
「無理よ。マリン。私はマリンがなんと言おうと、2年前のシリウス王子のやったことは許してないの。いつか一撃入れてやりたいと思ってたのよ。だから明日の模擬戦は絶好の機会なの。容赦なくやる為にはマリンに入ってもらうしかないと思ってるわ。」
「俺も同じだ。マリン。」
「姉様‥‥アクア兄様‥‥。ヒスイ兄様とフレイ兄様も私がレグルス達の方に入った方がいいですか?」
「「ああ。」」
「分かりました。では私はシールドも無しでレグルス達を守ってみせます。攻撃もしません。それでいいでしょうか?」
「「「ああ!」」」「うん。」
「レグルス達もそれでいい?」
「「「「ああ!」」」」
「分かりました。では4対5ですね。‥‥これは楽しみですね~!」
『ああ!』「ええ。」
「なあ、マリン。俺もその模擬戦、見に行っていいか?」
「え?私はいいですけど、父様仕事は?私達大体模擬戦やるの午前中ですよ?」
「ああ、だから明日の模擬戦は午後からにしてくれないか?」
「どうしますか?兄様達。」
「それなら午前中はいつも通り練習だけにしたらいいんじゃないか?‥‥みんなはどうだ?」
「私はいいですよ。」
「「俺も。」」
「私もいいですよ。」
「レグルス達もいい?」
「「「「ああ。」」」」
「というわけで模擬戦は午後からしますので、父様もお連れしますね。」
「ありがとな。‥‥みんなも。」
『いえ。』
というわけで模擬戦が決定した。
「ねぇねぇ。マリン。」
「はい。なんでしょうか?姉様。」
「さっき殿下を抑えた時、なんで姿消したりしたの?」
「ああ!私なら姿消さなくても抑えられた筈だからですか?」
「うん。そう。」
「それはですね。まず、姿を消したのは私がどこから何をしてくるか分からない恐怖を与える為です。私は魔法を複数発動できるのでなんでもできます。私が殺人をなんとも思わないやつだったら暗殺もできる訳です。」
「な、なるほど。」
「勿論そんなことをするつもりはありません。あと、姿を消したのは私が次の魔法を使う際の対応を遅らせる為です。姿が見えて、私の視線や行動で瞬時に最後のバインドを避けたりされないようにです。」
「へ~!じゃあ声を消したのは?」
「勿論魔法を使わせない為です。私が知らないだけでバインドを抜けるか壊す術を持ってたりするかなと。」
「持ってるんですか?殿下達。」
「「「持ってないです。」」」
「あれ?持ってなかったんだ。考えといた方がいいよ。じゃないとあっさり誘拐とかされちゃうかもよ?」
「「「え?」」」
「とりあえず私は3人同時に誘拐できるよ?」
「ちなみにマリンならどうやってやるの?」
「麻痺させて、水牢獄に入れて雲隠で隠せば、まず周囲に分からないですよね?そうすれば街中でもそのまま堂々と歩けますよ。」
「ああ~!確かにその方法なら余裕ね。」
「‥‥‥こうして考えると私、いつでも犯罪者になれる魔法がわりとありますよね。」
「そうね。でもマリンはそんなことしないし、ただ使えると便利ってだけで思いついたのを使ってるだけでしょ?」
「はい。そのつもりです。」
「なら私は全く心配してないわ。マリンが悪に染まるなんてありえないもの。」
「それは私もよ。」
と言いながらディアナ母様が私を後ろから抱きしめた。
「わっ!‥‥と、母様?」
「マリン。お話終わったのよね?」
「はい。私の話はですが。」
「ならマリンの部屋に女性陣全員で集まって話しましょ?」
「いいですね。」
「さっきのマリンちゃんの話の続きと、私達の身長測ったりですよね?」
「ええ。」
「それは構いませんが‥‥私の部屋なんですね。」
「マリンが私達に用事あるんでしょ?そのついでに話すのよ。」
「‥‥‥‥はい。分かりました。」
「じゃあそういうことだからマリンを連れて行くわね。あなた、ヒスイ達も‥‥殿下達も文句ないわよね?」
『は、はい。』
「じゃあ行きましょうか。」
「えっと、女性陣全員ってことは私もいいのかな?」
「勿論ですよ。セレス母様。」
「そう!ありがとうマリン。」
そして女性陣6人が去っていったあと、
「い、今ディアナ母様、シリウス王子達を僅かに睨んでいたような‥‥」
「アクア。多分気のせいじゃないと思うぞ?」
「「「‥‥‥」」」
「‥‥‥‥自業自得とはいえ、なんかシリウス王子達が少し可哀想に思えてきました‥‥」
「そうだな‥‥。今、この屋敷内でシリウス王子達3人の味方はベネトと当のマリンだけだからな。いや‥‥リリとマリアもか。」
「えっと‥‥マリンがいるから明日の模擬戦、思いっきりやっていいんですよね?俺達。」
「「「多分‥‥」」」
と、残された男性陣が話していた。
そして私の部屋に集まった女性陣。
先に姉様、リリ様、マリア様の身長とかを一通り測らせてもらった。
その後‥‥
夕食の時間になるまで色々聞かれたよ‥‥姉様達が先に帝国から出発した後のこととかとにかく色々。
話す機会が少ないセレス母様と話せたのは嬉しかったけどね。
明日は模擬戦。守り抜いてみせましょう!
やっと王国に帰って来たのにまだ領地。
そういえば血の気の多い奴等ばっかり‥‥。
なかなか夏休みが終わらない‥‥。