110話 帝国での出来事 2
これからレウス伯父様と会った時の話。
私は父様とディアナ母様を見てから言った。
「‥‥‥‥‥‥‥そこには私とアクア兄様にとっては、もう一人の伯父様がいました。」
『え!?』
「父様、ディアナ母様。伯父様が大規模討伐に参加していたのはご存知でしたよね?」
「ああ。」「ええ。」
『!』
「話を戻しますね。確かに伯父様はいました。でも既に亡くなった方。本来は話せる筈はありませんでした。」
「本来は?じゃあ話せたのか?」
「はい。」
「え!?マリン‥‥話したのか?」
「はい。父様。むしろ私しか話せませんでした。私には人影が光っている様に見えていたんですが、その場にいた私以外全員にはただの光にしか見えてなかったそうです。‥‥‥そして今のこの姿になったら話せました。」
「マリン。それ、俺達も聞いていいのか?」
「はい。ヒスイ兄様。昨日父様と母様に確認してみたら2人共話していいと許可して下さいましたから。」
「そうか‥‥遮ってしまったな。続けてくれ。」
「はい。まず私ははじめましてなので自己紹介からしました。その時に私のもう一人の伯父様であること。伯父様が浄化の時にちょっとだけ話したリッチだったこと。あと父様、陛下、元帥様と友人だと知りました。」
『え!?』
「あ、お名前言ってないですね。アポロ伯父様の弟でディアナ母様のもう一人のお兄さんのレウス・フォン・アドニス。それが亡くなったもう一人の伯父様のお名前です。‥‥その後は陛下と元帥様と話す為に伯父様の言葉を伝え続けました。その時にレグルスとベネトさんの紹介もしたんですよ。
‥‥伯父様は陛下にこう仰いました。「俺達のことはもう気にするな。俺達のことを教訓に忘れなければそれで十分だ。」と。そしてこのことを父様と母様とアポロ伯父様にも伝えてくれと、レウス伯父様に言われました。」
「そうか‥‥」「そう‥‥」
「父様、ディアナ母様。レウス伯父様から伝言があります。」
「なんだ?」「なに?」
「一言一句違わず申し上げますね。レウス伯父様は最後にこう仰いました。」
ー最っ高に楽しい人生だった!元気でな!ー
「「!」」
「レウスらしいな‥‥」
「ええ。レウス兄さんなら言いそうだわ‥‥」
「父様、ディアナ母様。私はレウス伯父様に会ったことがありませんでしたし、実は今の会話の間もお顔は見えてなかったんです。」
「「え?」」
「でも伯父様が消える瞬間、お顔が見えました。私と母様と同じ髪と目の色をしたアポロ伯父様そっくりのお顔。満足そうなお顔をされてました。最後に姪っ子に会えて嬉しかったと。」
「ああ。確実にレウスだな。」
「ええ。レウス兄さんだわ。」
「ちなみに最初私を見た時、ディアナ母様が来たのかと思ったそうですよ。」
「そうだろうな。」
「ええ。マリンは昔の私にそっくりだもの。」
「では私は大人になったらディアナ母様みたいになりますか?」
「なるんじゃないかしら。」
「やった!‥‥あ、父様。今した話と伝言ですが、アポロ伯父様にも伝えてくれと頼まれてるんです。」
「ああ。伝えてあげてくれ。」
「はい。その時に、リジアにも伝えたいと思ってるんですが‥‥‥父様、ディアナ母様。よろしいでしょうか?」
「ああ。レウスにとってはもう一人の姪っ子だ。構わないだろ。」
「ええ。私もいいわよ。」
「分かりました。ではアポロ伯父様に話す時にリジアにも同席してもらいます。後は陛下が話して下さったことですね。まず大規模討伐部隊がアンデッドになるまで放置せざるを得なかった理由からです。」
「竜がいたからなんだろ?」
「はい。でも一体だけなら軍を派遣すれば倒せる筈です。」
「まさか‥‥」
「はい。竜は数体いたそうです。最初から話しますね。まず当時、冒険者から魔物の異常発生が報告される様になっていたそうです。そしてもういつ森から魔物が押し寄せてもおかしくないと、最後に森で確認してきた冒険者のその報告で、大規模討伐部隊が急遽編成されたそうです。この時、帝国に来ていた父様と当時まだ皇太子だった今の陛下はギルドに向かったそうですね。」
「‥‥‥‥ああ。」
「別でレウス伯父様が帝国に来ていることを知っていたからこそ、お2人は「レウスならこの大規模討伐部隊に加わってしまう」とそう思ったからだと陛下は仰ってました。」
「俺も思った。だから止めに行ったんだ。レウスを‥‥友人を死地に見送るなんてしたくないと。」
「はい。陛下も同じことを仰ってました。でも伯父様はこう言って討伐隊に参加してしまったそうですね。」
ー俺は帝国も好きなんだ。ベアルの、友人の国を守る手伝いをさせてくれ。ー
「ああ‥‥」
「父様。‥‥話すのやめますか?」
「いや。ディアナも知らないところがあるだろうから話してやってくれ。」
「‥‥‥‥分かりました。続けます。」
そして私は陛下に聞いたその時のことを話した。
「‥‥‥陛下にとってマリンは希望だったか‥‥」
「そうでしょうね‥‥。レウス兄さんも姪に浄化してもらったなら嬉しかったでしょうしね。それに私も‥‥マリン。妹として、レウス兄さんを浄化してくれてありがとう。そしてちゃんと兄さんの話を聞けて良かったわ。」
「俺もだ。友人として、レウスを浄化してくれたし、伝言も伝えてくれた。ありがとな。マリン。」
「!‥‥はい!どういたしまして。‥‥あ。そういえば、父様、母様。レウス伯父様は他の冒険者の方々に慕われていたみたいですよ。」
「「え?」」
「父様。私は浄化した後、冒険者の方々の遺品を全て回収しました。勿論伯父様のもです。一旦冒険者ギルドに全て預けていたので、伯父様と陛下の話を聞いた後、家族代表として伯父様の遺品を受け取りに行きました。その時に私と受付嬢の方の会話を聞いて、私がレウス伯父様の姪だと分かり、冒険者の方が話し掛けてきたのです。そしてレウス伯父様にお世話になったとそう仰ってました。」
「そうか‥‥」「そう‥‥」
「他にも一昨日、陛下やレグルス達と慰霊碑の所に行ってきたのですが、その時大規模討伐に参加していた他の冒険者達もレウス伯父様と同じように現れまして。」
『え!?』
「レウス伯父様の時と同じようにこの姿になって、その時訪れていたその冒険者達のご家族に言葉を伝え続けたのですが、最後に消える前に仰っていました。レウス伯父様にお世話になったと、私のことを向こうで聞いて降りて来られたと。‥‥陽気な方々でした。自分達を浄化した私を見ることができて良かったと。」
「マリン。素直に言うべきだ。その人達はこう言ったんじゃないか?こんな可愛い女の子に浄化してもらったと知って嬉しかったと。」
「な!?れ、レグルス‥‥なんで分かったの!?」
「私ならそう言うだろうと思ってな。」
「そう言われたのか?」
「はい‥‥そんな感じのことを言われました‥‥」
「確かにマリンに浄化されるなら本望だろうな。帝国でも天使と呼ばれるマリンなら。」
「べ、ベネトさん!」
『天使!?』
「マリン。‥‥その天使、帝国でも広がったの?」
「はい。姉様。‥‥私がこの姿で亡くなった冒険者達の言葉を伝え終わった後、そう呼ばれました。自己紹介したんですが、直してくれる気はないそうです。‥‥しかももう少しこの姿を見ていたいからまだ戻さないでと言われまして‥‥しばらくこの姿に‥‥」
「分かるわ!私もまだ見ていたいもの!」
「「「私も!」」」「私もだ!」
「え‥‥私、まだこの姿なんですか?」
「えっと‥‥駄目?疲れる?」
「いえ‥‥疲れませんが‥‥恥ずかしいです‥‥」
「マリン。話は終わっただろうけど、もう一つあるだろ?」
「は!ベネトさん、ありがとうございます!‥‥えっと皆さん。相談なのですが、私の全属性とゲートをリジアに話したいと思うのですが、どう思いますか?」
「いいんじゃないか?」
「うん。私もいいと思う。」
「俺も。いいと思うよ。」
「私もリジアちゃんならいいと思うわ。」
「私も。」
父様、姉様、アクア兄様、リリ様、マリア様のリジアを知ってる人達が順に同意してくれた。
「俺はリジアって子に会ったことはないが、マリンの友人なんだろ?マリンが信じるならいいと思うぞ?」
「俺も。」「「私も。」」
家族も全員同意してくれた。
「良かった。それで、皇帝陛下に既に許可を得たので来年はリジアも帝国に一緒に来てもらおうと思ってます。」
『え!?』
「まあ、まだリジア本人には言ってませんけどね。父様達が先に帝国から出発した後、レグルス達4人と帝都を歩いたんですが、その時にいいお店を見つけまして。反物のお店だったんですが、そこの‥‥店員と言い張ってましたが、恐らく店主の方と意気投合しまして。その買った反物で作った物を来年見せに行く約束したんです。」
『え!?』
「買った反物で私が作るのは浴衣です。」
『ユカタ?』
「はい。浴衣です。姉様、リリ様、マリア様。来年、楽しみにしてて下さいね!」
「え?私達が着るの?‥‥えっと、着るものよね?」
「はい。着るものですよ。あと、そこにリジアも加わってもらおうと思ってます。」
「え?マリンは?」
「私も着ますよ。というか私が着たいと思ったのに売り物にないから作ることにしたんですよ。姉様達は私の巻き添えです。」
「「「え!?」」」
「大丈夫です。夏にしか着ない物ですし、何よりお3方なら絶対に美しく仕上がります!なのでお楽しみにということです。そういう訳で、後で身長とか測らせて下さいね?姉様達。」
「「「え?」」」
「もうあの反物達を見てすぐに思いついたので、その後から楽しみでしょうがないんですよ。やっと姉様の着るものを私の自由にできると。」
「え!?マリン?」
「だって姉様は一緒に買い物行ったら私のことばっかりなんですもん!たまには私も姉様を美しく見せることをしたいです!」
「マリン‥‥」
「愛されてるわね~。クリス。」
「あ。ヒスイ兄様、フレイ兄様。」
「「なんだ?」」
「この浴衣なんですが、男性用もあるんですよ。今回は泣く泣く諦めますが、私は兄様達にも浴衣を着てもらって、リリ様とマリア様と並んでるところを見たいんです。なので再来年兄様達にも着てもらいますよ。」
「「え!?」」
「兄様達、まずは来年楽しみにしてて下さいね。リリ様とマリア様の美しい姿が見れますよ。」
「「あ、ああ。」」
「マリンちゃんの中で決定されてるわ‥‥」
「ええ‥‥でもあんなに目を輝かせて言われると‥‥ね。」
「そうね。可愛い妹が頑張ってくれるなら楽しみにしましょ?リリ、マリア。」
「「ええ。」」
「さて、これで本当に私の話したいことは終わりですが‥‥まだ戻っちゃ駄目ですか?」
「もういいわよ。ありがとう。マリン。」
「「私も」」
「私も満足したからいいわよ。」
姉様、リリ様、マリア様、ディアナ母様はいいと言ってくれたが‥‥
「あの‥‥レグルスも、もういいかな?」
「いや‥‥俺の目の前に立って改めて見せてくれるか?」
「え!?もう何回も見てるじゃない‥‥」
「何回見ても飽きない。シリウスとリゲルもだろ?」
「「ああ。」」
「うぅ‥‥」
「マリン。3人のことは無視して戻したいなら戻したらいいだろ?」
「ヒスイ兄様‥‥」
「というか3人共。そうやってマリンを弄ってるのか?」
「「「え!?」」」
「そうです!ヒスイ兄様!特に皇太子殿下はマリンを弄って楽しんでます!‥‥その時のマリンは可愛いですが!」
「ね、姉様!?」
「そうか。‥‥いくらマリンの可愛い姿を見れても、兄としては見逃すわけにはいかないな‥‥」
「そうですね。兄様。俺も同感です。」
「俺もです。ヒスイ兄様。」
「私もです。一度、私達兄弟から鉄槌を下してやろうと思ってましたからちょうどいいですね。」
「「「え!?」」」
私の兄弟全員が団結しだした‥‥
どうしましょうか‥‥?