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転生できたので自由に生きたい  作者: 霜月満月
第5章 帝国編2
107/289

107話 襲撃事件

翌朝。

いつも通り起きて、相変わらず早朝訓練を兵士さん相手にやって。兵士さん達にお礼と今日帰る旨を伝えて朝食を食べて。

そんないつも通りの朝を過ごし、帝都の街歩きへ。


と言っても前回と同じく、誰かが興味を持った店にふらっと入るだけだ。


‥‥‥‥‥考えてみたらすごいことしてるな。

偶々入った店が高級店の可能性もあるのに‥‥

何故か見事に高級店に当たらなかったけど。


そして、何事もなくそろそろ帰ろうとなった時に最後に私の我が儘で反物屋さんに行った。

理由はメジャーを買い忘れてたから。王国にもある気がするけど。

そして、駄目元で下駄はあるか聞いてみたらなんとあった。

ただ、足のサイズが分からないので来年来た時に買うことを伝えて店を出た。


そして、城に戻り昼食を食べて予定通りレグルスの部屋に集まった。


「では陛下。王国の国王陛下に話し終わったらまた来ますね。」


「ああ。頼むな。」


「はい。‥‥では皇后様、フローラ様。失礼します。」


「「ええ。」」


「父上、母上、姉上。行って参ります。」


「ああ。」「「いってらっしゃい。」」


そして、ゲートを私の部屋に繋いで屋敷に戻った。


いきなり玄関に繋いで誰かいたら大変だしね。無難なのが私の部屋だっただけ。


「ここは?」


「領地の屋敷にある私の部屋。」


「「え!?」」


「何よ?いきなり玄関に繋げる訳ないでしょ?」


「まあ、そりゃそうだよな。出て挨拶しようぜ。」


「はい。‥‥‥あれ?」


「どうした?」


「父様達の気配を感じないの‥‥。まだ帰ってきてないみたい‥‥」


「そうなのか?」


「聞いてみる。」


そして、私の部屋から出て一階に降りるとディアナ母様達、お留守番していた4人共いた。


「母様、兄様。ただいま戻りました。」


「「「「マリン!?」」」」


「え?なんで?」


「ちょっと色々ありまして父様達とは別行動になったんです。」


「え?そうなの?」


「それで、父様達はまだ帰ってきてないんですか?」


「そうなのよ。本当はそろそろ帰ってくるはずだったんだけど‥‥」


「では近くにはいるんでしょうか?」


「多分。マリン、分かる?」


「探してみます。」


そして、サーチで父様達が通る筈の道に絞って探していくと、とある場所で人の塊があった。


‥‥‥‥まさか。


「ディアナ母様。」


「なに?」


「もしかして、盗賊の被害報告が出てたりしますか?」


「!‥‥なんでそれを?」


「今、父様達の近くに人の塊があります。盗賊かなと。私、加勢に行ってきます。」


『え!?』


「この人の塊が盗賊なら人数が多すぎます。父様とアクア兄様がいても危ないかと。」


「なら!」


「分かってると思うけど、レグルス達は連れて行けないよ。」


「「「!」」」


「ベネトさん。ディアナ母様。時間がないのですみませんが、あとお願いします。行ってきます。」


「‥‥‥‥分かったわ。気をつけてねマリン。」


「はい。」


そして私は外に走り出し、通りに出たところで身体強化と風を纏って一気に駆け出した。


◇◇◇◇◇


「さて、シリウス、リゲル、殿下。マリンが連れて行けないって言った理由、分かるか?」


「‥‥まずは皇太子である私、王国の王子であるシリウス、公爵家嫡男のリゲル‥‥立場の問題ですね。次に実力。私達が行ったところで足手まといです。それに今、去っていったマリンの速度について行けません。」


「正解だ。シリウスとリゲルも分かってるな?」


「「はい。」」


「なら3人共、マリンを信じて待てるな?」


「「「はい。」」」


「ならいい。‥‥‥‥俺だって本当は悔しいからな。」


「ああ。俺もだよ。末っ子のマリンに頼りっきりで本当に情けない兄だよ。」


「俺も同感です。」


「大丈夫よ。マリンなら。」


『ええ。』


◇◇◇◇◇


一方その頃。

マリンは領地の街を出る門に既に近づいていた。


いちいちギルドカード見せてたら間に合わないかな‥‥あ!あの兵士さんなら。


「兵士さん!」


「マリン様!?」


「すみません!急いでるのでこのまま通過します!」


「え!?‥‥‥‥はやっ‥‥行っちゃった‥‥」


喋りながら通過しました。


「あの、今の子通して良かったんですか?」


「良かったも何も通り過ぎた後だからな。それにあの方は辺境伯様のご息女だ。大丈夫だよ。」


「そうなんですか!?」


と、兵士が後輩と話てるとふと思い出した様に‥‥


「待てよ?最近盗賊の被害が増えてたよな‥‥?まさか、マリン様!‥‥おい!急いで檻の準備だ!」


「へ?檻ですか?」


「ああ。マリン様なら我々が着く頃には制圧済みだろうからな。」


「マリン様ってそんなに強いんですか?」


「ああ。マリン様は今12歳だがな、冒険者になったばかりでいきなりBランクだ。」


「天才じゃないですか!」


「そういうことだ。‥‥他のやつらも手伝ってくれ!」


『はい!』


と、マリンの知らないところでランクがバレていた。


◇◇◇◇◇


「くっ!もう少しで着くところだったのに!」


「でもなんとしてもリリ達を守らないと!」


「ああ。アクア、クリス。すまないが、頑張ってくれ!」


「「はい!」」


そして、3人それぞれに盗賊が纏めて襲ってきた。思わず身構えるが一向に衝撃がくる気配がない。恐る恐る目を開けるとシールドが張られていた。


「「「え?」」」


◇◇◇◇◇


そして、ラルク達に危機が迫っていた頃。


もうそろそろのはず‥‥‥あ!いた。

って!もう戦ってるじゃない!

やばっ!戦ってるけど、父様達既に疲れて‥‥あ!まずい!お願い!間に合って!


「【シールド】」


身体強化を掛けて走りながらシールドを張ったけど‥‥

良かった‥‥‥間に合った‥‥


安心した私は既に近くまで来ていたので、身体強化も纏っていた風も解除しながら話し掛けた。


「良かった!間に合いましたね!」


「ま」


「「「マリン!!」」」


「はい!お待たせしました。後はお任せください。」


私は話ながら家族に近づいた。


「でも‥‥」


「姉様、怪我してるじゃないですか!ちょっと待っててくださいね。すぐ終わらせますから。」


と話していると、別の不愉快な人達から話し掛けられた。


「お?なんだ?可愛い女の子が増えたぞ?今度は嬢ちゃんが相手してくれんのか?」


盗賊の仲間達も笑って好き放題言葉を発していた。


その言葉に私は振り向きながら怒りを声に乗せて返した。


「ええ。私がお相手しますよ。‥‥姉様達に怪我をさせておいて、無事で済むと思わないで下さいね?」


『え?』


今の私の顔は黒い笑顔だろう。


「さあ、お覚悟はできてますよね~?」


『え?‥‥え!?』


「マリン、殺すなよ!」


「分かってますよ、父様。‥‥多少の怪我ぐらいはして頂きますけどね。」


『ひっ!』


「ふふっ。では。いつもは殺傷能力を消して魔法を使ってましたが、この方々にそんな気遣い必要ありませんからね。遠慮なくいかせて頂きます!」


私は槍だと本当に殺しかねないなと思ったので、魔法は水、氷、土、岩でバレットのみお見舞いした。


‥‥‥数十分後。

そこには盗賊達全員が気絶している光景が広がっていた。


「ふぅ‥‥。っと、このままは駄目だな。【水牢獄(ウォータープリズン)】‥‥‥‥これでよしっと。」


他、いないよね?潜伏してたり‥‥‥はなさそうだな。

全員で来たのかな?この人達。‥‥‥馬鹿なのかな?

アジトがあるなら誰もいなくなった隙を狙うやつだっているだろうに。まあ、私には関係ないからいいや。


と自己完結した私は父様達の方に振り返り、今度はいつもの笑顔を向けて言った。


「姉様、兄様、父様。ご無事で良かったです。」


「ま、マリン~!」


「わっ!‥‥‥と。姉様?」


姉様、私に飛び付いてきました。


‥‥‥姉様‥‥震えてる‥‥


「遅くなってすみません。姉様。もう大丈夫ですよ。」


「うん。‥‥‥ありがとうマリン。」


「はい。‥‥怖い思いさせてしまいましたね‥‥【気分鎮静化(リラックス)】」


「!‥‥‥‥マリン?」


「震えていたみたいだったので。」


「え?‥‥‥あ。」


「気付いてなかったんですね。」


「うん。‥‥‥‥ごめん、マリン。もう落ち着いた。」


そう言って姉様は私を離した。


「いいえ。‥‥姉様。傷、見せて下さい。」


「うん。」


そして、化膿しないように魔法で水を出し、傷口を洗ってから治した。


「姉様、他に痛いところとかありますか?」


「ないよ。大丈夫。父様達もお願い。」


「勿論です。」


そして、父様と兄様も同様に治していると、盗賊達が起きて騒ぎだした。


「ああ~もう!うるさいな!ちょっと黙ってて下さい!【麻痺(パラライズ)】」


『っ!!』


水牢獄に直接麻痺掛けたから、全員痺れて動けないだけだけど、ようやく静かになった。


「全く。邪魔しないでもらえます?」


『‥‥‥』


ほんの少しだけ盗賊達が可哀想に見えたラルク達だった。


そして、父様と兄様の怪我も治し終わった私は、馬車に近付いて扉を開けるとにっこり笑った。


「リリ様、マリア様。お待たせしました。」


「「マリンちゃん!!」」


「はい。お2人もご無事でなによりです。」


「うん。‥‥‥ありがとう。マリンちゃん。」


「また助けてくれたんだね。」


「当然ですよ。未来の姉様達。」


「「!」」


「でもまだ震えてますね。‥‥遅くなってすみません。‥‥【気分鎮静化(リラックス)】」


「「っ!」」


「「‥‥‥‥ありがとう。」」


「どういたしまして。」


すると、今度は私が通ってきた方から馬に乗った人達が来た。


「ん?なんだ?」


「私が呼んだ訳ではないですが、兵士さん達のようですね。」


父様に近付きながら答えた。


少しして。


「マリン様!」


「あ。先程の。すみません、ギルドカードも見せずに出てしまって。」


「いえ。マリン様と分かってましたから大丈夫ですよ。‥‥っと、やっぱり盗賊でしたか。」


「はい。今は私の魔法で動けなくしてますが、一時間ぐらいで動き出せる様になるかと思いますので、気をつけて連行してもらえますか?」


「分かりました。‥‥‥辺境伯様。ご無事で何よりです。」


「ああ。見て分かっただろうが、娘に助けてもらった。」


「そうでしたか。‥‥‥この者達は辺境伯様方を?」


「ああ。狙われた。馬車にはリリアーナ王女と公爵家のマリア嬢もいる。相応の罰を受けて貰わないとな。」


「畏まりました。一先ず詰所の牢に連行します。」


「ああ。頼む。」


「マリン様、この魔法を解いたらどうなりますか?」


「えっと、元々このまま運べる様に浮かしてたので、単純に中の人達が落ちてくるだけですよ?」


「そうですか‥‥。落ちた瞬間、動き出す可能性は?」


「あります。そろそろ麻痺が解ける頃ですから。もう一度麻痺してもらいます?」


「‥‥お願いします。」


「はい。分かりました。‥‥では盗賊の方々。もう一度麻痺して頂きますね。【麻痺(パラライズ)】」


『っ!』


「‥‥‥少しだけ可哀想に見えてきましたね‥‥」


「自業自得ですよ。それで、水解いたらいいですか?それとも一人ずつ出しますか?」


「解いて頂いて大丈夫です。」


「分かりました。」


水牢獄を解くと、前回と同じく盗賊達が落ちてきた。


そしてすぐに兵士さん達が拘束を始める中。


「ふふっ。麻痺してるから痛みは感じないでしょう?」


『っ!!』


「悔しいですか?私みたいな小娘にやられて。」


『‥‥‥』


「盗賊なんてやってたら、いつかやられる日が来ると分かっていたことでしょう?あなた方はそれが今日だっただけです。あなた方にも家族がいたでしょう?逆の立場ならどうしますか?許せるんですか?盗賊を。」


『!‥‥‥』


「あなた方はそういうことをしてきたんです。きっちり反省して下さい。」


「「「マリン‥‥」」」「「マリンちゃん‥‥」」


そして、盗賊達の拘束が完了したところで。


「ではマリン様、辺境伯様。我々は先行して盗賊達を連行します。皆様はゆっくりお戻りください。」


「はい。よろしくお願いします。」


「マリン様。ありがとうございます。我々の代わりに言って頂き、感謝します。」


「なんのことですか?」


「!‥‥‥いえ。では失礼します。」


そして、兵士さん達が盗賊達を連行して行くと。


「マリン。改めて助かった。ありがとな。」


「いいえ。間に合って良かったです。」


「しかし、よく分かったな。」


「去年は今ぐらいに屋敷に着いてたなと思ってゲートで帰ってきたんです。でも、父様達が帰って来てないのを母様達も不思議そうにしていたのでサーチで探しました。そうしたら人の塊が見えたので、母様に確認したら盗賊の被害情報が上がってると聞いたので、間違いないなと急いで来ました。」


「そうか。相変わらず判断が早くて助かる。」


「マリンちゃん、シリウス達は?」


「一緒に帰ってきましたが、屋敷に置いてきました。」


「そう。‥‥ありがとう。」


「いえ。父様、帰りましょうか。母様達が待ってますよ。」


「ああ。そうだな。」


そして、今回は父様と兄様の馬車に乗った。

屋敷に着く前に確認しないと。


そして、馬車が出発すると。


「それで、どうした?マリン。」


「え?」


「話があるからこっちに乗ったんだろ?」


「さすが父様。‥‥‥父様。私が浄化しに行ったところに誰がいたか、ご存知ですよね?」


「!‥‥‥ああ。」


「この話、セレス母様、ヒスイ兄様、フレイ兄様、姉様にもしますか?」


「‥‥ああ。マリンが見てきたこと、全て教えてくれ。」


「‥‥分かりました。一応先にディアナ母様にも同じ確認をしてから話しますね。」


「ああ。そうだな。」


「なあ、マリン。今の様子だと俺は確実に聞けるんだよな?誰がいたんだ?」


「アポロ伯父様の弟さんでディアナ母様のお兄さん。‥‥つまり私達のもう一人の伯父様ですよ。」


「え!?」


「‥‥‥マリンは皇帝陛下から聞いたんだな?」


「はい。それだけではありませんが。‥‥話すことが沢山あります。帰ってからみんなと一緒にお話します。」


「ああ。分かった。」


はぁ‥‥気が重くなる話ばっかりだからなぁ‥‥

何から話そうかな‥‥


そう考えている間も、馬車はゆっくりと辺境伯邸へ向かって進んでいった。


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