拒絶
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草原を歩き始めてすぐに空腹を感じた。本当ならばもっと早くに空腹感を感じていてもおかしくはないのだが、きっと命の危機が去ったことで緊張が解けたのだろう。
「こんな所で何か食料は見つかるのかな…」見渡す限り草原が広がっていて、木の実がなっていそうな木は見つからない。「せっかく生き残ったんだから空腹で死ぬのは嫌だな…」
空腹を我慢しながらしばらく歩くと、何か視界の端に白いものが映った気がした。
「あれは…ウサギか?」それは真っ白なウサギだった。あれを捕まえて食べれば空腹も消える。そう思ったが、「思いっきり殴ったりしたらあのバッタみたいに爆散しそうだな…」
何か武器があれば爆散させずに殺せるかもしれない。そう思った。
「でも、武器代わりになりそうなものは森を出る前に持ってきた透明な木の枝2本くらいしかないな…」だが、仮にこのまま投げても痛みを感じるくらいのダメージしかなさそうだ。「リミットブレイクを使って投げれば何とかなるか…?」物は試しだと思い、とりあえずリミットブレイクを使いながら枝をウサギ目掛けて投げてみる。すると、枝は凄まじい速度で飛んで行き…勢いよくウサギとは離れた場所に突き刺さった。「やっぱり最初からうまくはいかないか…」その後何度も挑戦し、ウサギに気づかれて何度か逃げられたものの、14回目にしてやっとウサギに枝が突き刺さった。ウサギを見に行くと、既にウサギは事切れていた。罪悪感が胸の中を渦巻くが、これも生きるためだと自分の心に言い聞かせる。そしてふと気づく。「これどうやって食べれば良いんだ…?」流石に生で食べるわけにもいかないが、焼いて食べるにしても火を点けるものがない。何か手持ちの物で火を付けられないかと思い、持っているものを全て地面に出してみる。その時、偶然透明な木の枝同士がぶつかり合った。すると、一瞬だが火花が散った。「これなら火が点けられるかもしれない…!」そう思い、枝同士を思い切りぶつけ合い、そこから出る火花を集めた草に当てると、やっと火を点ける事に成功した。しばらくしてウサギを食べ終わり、また草原を歩いていくと、目の前の方に大きな街のようなものが見えてきた。「街だ…!」嬉しい気持ちを抑えられなくなった僕は走って街に入るための門に行った。すると、門番のような男性に呼び止められた。「街に入るには身分証が必要です。身分証を見せてください」当然そんなものは持っていない。「あの…身分証は持ってないんですが…」すると、門番は申し訳なさそうに、「残念ですが、身分証を持っていない人は入れることは出来ません…」と言ってきた。まさか街に入れないとは思ってもいなかった僕は失意の中来た道を戻るしかなかった。
「これからどうしよう…」この街に入れないのなら、他の街にも入れない可能性が高い。僕は頭を抱えながら草原を歩いて行った。「もういっそのこと草原で暮らすか…」そんな事を言いながら歩いていると、森の方から悲鳴が聞こえていることに気が付いた。
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