脱出
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僕はあのバッタを倒した後すぐに、あの嫌な音のしない方に向かって歩きだした。しばらく歩き続けると、あの嫌な音はしなくなった。「とにかくこの森を出ないと…」あんな怪物がたくさんいる森にこれ以上留まっていたら命がいくつあっても足りない。
「どっちに行けばこの森から出られるのか全く分からない…」目の前には透明な木が広がるばかりで、森が途切れる気配が全く無い。「それでも前に進まないとこの森を抜けることはできないんだ…!」そう自分に言い聞かせながら前に進み続ける。1時間程歩き続け、やっと開けた場所に出る。だがその場所は決して森の出口などではなかった。
「嘘だろ…」そこには大量のバッタがいた。あの嫌な音を避けてここまで来たつもりだったが、きっとバッタ達はそれを知っていて自分をここに誘い込んだのだろう。
―——————————キチキチキチ―――――――――バッタ達が牙を鳴らしている。これはもう逃げられない、戦うしかないと覚悟を決める。バッタ達が少しずつ脚に力を込めていくのが分かる。そして―――――――———————————————————全てのバッタが一斉に飛び掛かってきた。「—————ッ!リミットブレイク…!」今回は意識してスキルを発動させる。そして目の前にいるバッタ目掛けて殴りつける。————————パァンッ―――――そんな音と共に拳に触れたバッタが爆散する。だが、1匹倒したところで何も状況は変わらない。目の前にはまだ数え切れないほどのバッタがいるのだから。迫りくるバッタ達に向かって殴り続ける。何度爆散させてもバッタ達は怯むことなく迫ってくる。そして、体中に激痛が走り続ける。だが殴るのをやめてしまえばその瞬間に殺されるのは目に見えている。だから拳を止めない、止められない、止めるわけにはいかない。そう頭の中で思い続ける。そして…1時間、2時間、3時間と時間が過ぎていく。そしてついに5時間を超えたころ、バッタ達は最後の1匹を残して全滅した。最後の1匹…既に自分の体はボロボロ、それに対して相手は自分以外の味方が全滅。だが、どちらとも戦意を失っていなかった。緊張が走る中、先に動いたのはバッタの方だった。凄まじい速度で目の前に迫る。遅れて自分も相手に向かって拳を突き出した。
そして…生き残ったのは僕だった。なんとかバッタの牙が自分に突き刺さる前に拳を当てられたのだ。「生きてる…」リミットブレイクの影響で体は最低でも1時間は動かないだろう。だがそれでも生きている。そう、生き残ったのだ。
「そろそろ行こう…」持続回復のスキルを持って体が回復してからすぐに出発する。
そして30分程歩き続け、ついにその時が来た。「草原だ…!」目の前には草原が広がっていた。「やっとあの地獄を抜け出せたんだ…!」僕の胸の中に感動が沸き起こる。「よし、行こう…!」そう言って僕は草原に向かって歩き出した。
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