君を愛すコーヒー
せんでええ苦労、慣れた会社やめてもうて
慣れへん東京で営業などしていた日
暑い夏、夏は暑いねんけど、喫茶店に飛び込んだ
「レイコー」と注文したら
「ハァー?何でしょうか」とウエイトレス
「冷たいコーヒーや」と答えると
「アイスコーヒーですね。」と言いやがった
慣れた言葉はつい出てしまう。英語にも方言があるんか!
懐かしの関西に帰って来て暑い夏
喫茶店で「姉ちゃん、レイコー」と言ったら
「アイスコーヒーですね。」と念おした
通じてるやんか!可愛い顔していけずやなぁー。
「本当はcold coffee云うんや。『ローマの休日』の中でヘップパーンの相手役の男はそう喋っている」と言ってやったら
「ほんなら、アイスクリームはコールドクリームですか」
ほんまに、可愛ない女やなぁー。
「コーヒー牛乳とミルクコーヒーはどう違う」と訊いてやった
「ええ~、違うんですかぁ~?」と丸い目がひっくり返った
「ミルクにコーヒー味をつけたのがコーヒー牛乳。コーヒーの苦味を消すためにミルクを入れるのがミルクコーヒーや」わかったか!
そんなことで、なんだかまいど通うことになり
『君を愛すコーヒー』になってもうて
それからと聞くのですか?
妻は昔ウエイトレス嬢でありまして
僕は寒い冬でもまいにち『アイスコーヒー』!
ある日、「砂糖もミルクも入ってない、薄いコーヒーやなぁー」と申しますと
「愛がないから、素コーヒー」とおっしゃいました。
それから…? もう~、聞かんとって下さい!
*初めてコーヒーを挽いて店で売りだしたのが、明治7年、神戸は元町「放香堂」。喫茶店までしたかは定かでないが、今もあります。今は、コーヒーは売っていなくて、宇治茶の専門店です。