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第六話 力量

※残酷な描写があります。


追記 ステータスを変更しました。

名前と年齢と性別の追加。

数値の変更。

→newの追加。


追記

※第七話と第八話を繋げました。

内容に変更はありません。

 ——ロステルラッテ城 訓練場——


「そういえばステータスは見たッスか?」

「え? ステータス?」

「あれ? ステータス知らないッスか? フィーア、教えてなかったんッスか?」

「はい、シュンさんには言語習得に専念してもらいたかったため、わざと言っておりませんでした」


(ステータスなんかあるのか・・・)


 ステータスはRPGの基本でもある。

 模擬戦で緊張していたシュンには、棚からぼたもちであった。


「じゃあ、説明するッす」


 フンフによると「ステータス」と心の中で念じれば見ることが出来るらしい。

 周りの人からは見ることは出来ないが、『覗き見』スキルが使えれば相手のステータスを見ることが可能らしい。


 フンフは諜報活動をしているため『覗き見』スキルも『盗聴』スキルも持っているらしい。

 ただフンフは親しい者の間ではこれらのスキルは使わないらしい。

 なんでも、昔それで後悔したそうだ。


 スキルは素質で決まる。

 後天的なものではなく先天的なものなのだ。

 才能があれば多くのスキルを所持しているらしい。

 異世界から来た者は強力なスキル持っているそうだ。


「——とまぁ、大まかにはこんなもんッスね。あと、無闇にステータスは教えないのも基本ッす」

「な、なるほど。早速使ってみます。ステータス!」




 ◇◆◇◆◇

 アベ シュン 年.16 男

<ステータス>

 HP 100/100


 MP 10/10

 

 攻撃 3


 防御 2


 速度 4


 的中 2


 幸運 50


<スキル>

『破者の手』→new


<補助スキル>

『挑みし者』→new


 ◇◆◇◆◇





(おお! すごい!!)


 シュンの眼前に基盤が現れる。

 HPは体力、MPは魔力らしい。

 攻撃、防御、速度、的中、幸運は文字通りだろう。

 スキルや補助スキルは念じれば確認可能だそうだ。

 因みに、スキルはMPを使用するが、補助スキルはMPを使用しないらしい。

 どちらも素質で種類が決まる。


(えっと・・・、『破者の手』か)



 ------------------------------------------------------------


『破者の手』

 使用MP 100

 人間界の生物に触れ、心の中で(破壊)と唱えると殺すことが出来る。

 直接肌に触れなければならない。

 魔界の生物には一切効かない。



 ------------------------------------------------------------



(・・・)


 あまりにも想像と違った効果で硬直してしまった。

 魔界には関係なくても、人間界の生物には殺傷能力が高すぎる。

 そもそもMPの値が高すぎて使うことすら叶わない。いや、使いたいとも思わないのだが。


(やっぱり、あの神(悪魔)の仕業だろうな。殺すことを前提としたスキルだし、封印しておこう。あともう一つあるけど、確認するか)



 ------------------------------------------------------------


『挑みし者』

 自分が訓練したことがスキルや補助スキルとして習得することが出来る。

 血のにじむような弛まぬ努力が必要。

 神に挑む〝破者〟しか持つことは出来ない。



 ------------------------------------------------------------



(・・・完全にユニークスキルだな、これ)


 このスキルの存在も神の〝暇つぶし〟の一つなのだろう。

 だが、利便性は高い。


(それでも、かなり便利だな。普通は素質で決まるスキルがいくつも手に入るんだもんな。その点はラッキーだったかも)


 これくらいのスキルが無ければ恐らく神は倒せない。これからも訓練し続ける必要がある。


「ステータスは見れたッスか?」

「はい。確認しました」

「弱くてもHPは500はあるはずッスからね。模擬戦で死ぬことはまず無いッす」


(・・・?)


 HPが500、しかし、シュンのHPは100しかない。

 これはどういうことだろうか。


「あの、HPなんですけど・・・」

「説明は後にするッす。戦いに言葉は不要ッす」

「!?」


 フンフはイライラしていた。

 いつまでも長話をするつもりは無い。

 ステータスなら後でも確認出来る。

 今は戦いに集中したかった。

 シュンも何となくだがフンフのオーラを察し、言いたかった言葉を飲み込んだ。


「それでは僭越ながら、審判をさせていただきます」


 そう言いながらフィーアが2人の中心に立つ。

 彼女の表情を見ると若干頬が緩んでいる。

 戦闘を観戦するのが好きなんだろうか?

 なかなかの戦闘狂と伺える。


「よろしくッす」

「お、お願いします」


 互いに準備は整った。

 あとは合図のみである。


「それでは、参ります」

「・・・」

「・・・」

「始めッ!!!」


 彼女がそう口にした刹那、眼前のフンフが姿を消した。


 ゴキッ!


(あれ?)


 シュンが不思議に思った時、右腕が熱く感じた。

 熱い以外の感覚が全くないのである。

 それもそうだろう。

 今、シュンの右肘より下が無くなっていたのだから。


(!?)


 見てしまった。

 気づかないままなら良かっただろう。

 しかし、目にしてしまった。

 右腕に意識が行く。


「ぁぁ・・・あぁぁ・・・あああああ」


 痛い。

 痛いという感覚が脳天を突き刺す。

 そして、シュンは叫ぶ。


「あぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁ!!!痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い熱い熱い熱い熱い熱い熱い痛い痛い痛い熱い熱い熱い痛い熱い!!!!!」


 叫び続けても尚、止まらない血。

 止まらない赤い液体は滝のように流れ落ちる。

 あまりの感覚にシュンは吐瀉物をぶちまける。


「うッ、うぇぇぇぇ、ごはッ!!」


 そこまで来た時シュンは白目を向き、意識はフェードアウトしていった。


「ま、不味いッす!! フィーア!!!」

「・・・!!! ハ、『大回復(ハイヒール)』」


 フィーアの回復魔法は魔界でも随一である。

 シュンの右腕がみるみるうちに修繕されてゆく。

 後一歩遅かったら帰らぬ人となっていただろう。

 しかし、意識までは戻らず実情は地獄絵図だった。


「なんとか一命は取り留めました・・・」

「これは酷いッす・・・、手加減してこれッスよ」


 そう、彼は手加減していたのだ。

 普段の彼ならスキル『隠密』を使用し、得意の速さで一気に首を掻っ切るのだが、今回はスキルは使わず、力や速度を弱め、後ろから右腕を切ったのだ。

 これくらいなら止めるだろうと踏んでいたのだが、それは叶わなかった。

 いくら模擬ナイフでも膂力の弱いシュンは包丁で豆腐を切るが如く、あっさりと切断されてしまった。


「これはヌル様に報告ッスね・・・、あぁ、頭が痛いッす・・・」


 そう言いながらフンフは姿を消したのだった。


「このままにしては置けませんね。シュンさんを部屋まで運びましょう」


 そう言い、見た目とは裏腹にシュンを抱え上げその場から去るのだった。


 ------------------------------------------------------------


 ——ロステルラッテ城 謁見の間——


「フンフよ、先程の話は真か?」

「は、はいッす・・・」

「そうか・・・」


 現在、魔王と魔王に仕える大魔人達が訝しい表情をしていた。

 魔王の表情がさらに険しくなる。

 現在彼らはシュンについて話し合っていた。

 理由は簡単である。

 シュンが弱すぎたのだ。


「正直に言うと、僕の隊の新人より酷いッす」

「ッ!? それは本当か! シュン!!」


 そう言うのは第2大魔人のツヴァイであった。

 ツヴァイ=ラストルは紫色の髪を七三分けに燕尾服を着ている。

 年齢は50歳中頃のような顔をしており、ちょび髭が印象的だ。

 身長はあまり高くなく160センチで細身である。

 彼は魔神なので額に小さい角が生えている。


 性格はかなりキツく、自分の気に入らないものはとことん排除するきらいがある。

 しかし、魔王への忠誠心は誰よりも強く能力も高いため、魔王補佐としての立場を有している。

 そんな彼は転移してきたシュンのことをなかなか信用出来なかった。

 性格に難があっても人を見る目は確かである。


「フンフの隊は諜報活動が主であるため、戦闘に向く奴らでは無いはずだ」

「そうッスね。どちらかと言うと隠れたり足が早かったりとかそう言うタイプッす」


 大魔人一人ずつの下には隊がある。

 大魔人を筆頭に、上級魔人、中級魔人、下級魔人とランク付けがされている。

 上級魔人は3人、中級魔人は10人、下級魔人は500人と編成されている。


 フンフの隊は「第5魔隊」と呼ばれ、主に諜報活動や暗殺がメインである。

 そのため、情報収集はお手の物だが戦力としてはお世辞にも優れているとは言えない。

 そんな「第5魔隊」の新人、つまり、何もかも訓練していない者よりも弱いというのだ。

 これは、由々しき事態である。


「だから言ったではないか! あの男は全く覇気を感じないと!!」

「うるせぇぞ、ツヴァイ!!」

「黙れッ!!、ゼクス!!」


 第6大魔人のゼクス=サージは鬼人である。

 つまり、フンフと同じ亜人であり、彼女もまた能力を買われてこのポジションについている。

 髪は明るいオレンジ色のミディアムヘアーで、ツリ目である。

 身長が高く175センチと女性の中でもかなり大きい。また、露出度が高いチャイナ服を来ているため、世の男性を虜にするのは言うまでもない。


 しかし、彼女の胸はあまり大きくはなく、引き締まった体をしている。

 そのため、一部の界隈では「貧乳鬼」とも呼ばれ、隠れファンも多い。

 本人はこの名前を聞き一週間手がつけられなかったとか・・・

 性格も短期で、よくツヴァイと取っ組み合いになることも多々あり、大魔人の中では一種の風物詩でもある。


「ふ、ふた2人とも、お、落ち着いてくださ〜い!」

「「・・・・・・」」


 2人を止めたのは第7大魔人のズィー=オルミーだった。

 彼女もフンフやゼクス同様魔人では無い。

 彼女はサキュバスである。

 髪型は藍色のボブで、タレ目な彼女は大きめのメガネをかけている。

 身長がゼクスに対して低く、155センチしかない。

 性格は臆病で、いつも怯えている。

 しかし、発言する時は発言するので、肝は据わっている。


 彼女は他の女性より胸が大きいためそれを隠すためにサイズに合わないローブを着ている。

 しかし、出ているところは出ているのであまり効果はない。

 嫉妬する女子からは「双子山」と呼ばれ、男子からは「桃源郷」と呼ばれている。

 どちらも、不名誉な2つ名である。

 幸いなことに本人は気づいてない。


 実の所、2人の喧嘩を止めるのはいつも彼女である。だが、2人とも彼女には甘く止められた場合は渋々降参するのだ。


「ほっほっほ、いつ見ても飽きんですのぅ」

「「「・・・」」」


 そう言ったのは第8大魔神アハト=サハトである。

 60歳くらいの好々爺で、ふさふさの白髪と白髭からはまだまだ現役だと伺える。

 背は高く175センチほどで、背骨も曲がっていない。筋肉が隆起しているため、服の上からでも逞しいことが一目瞭然であった。

 また、執事服を着ているのだがそれには理由があり・・・


「・・・」

「ドライ様、寝てはいけませんよ?」

「・・・ん、分かった。——Zzz・・・」

「ほっほっほ、これはもう起きませぬな」


 彼は第3大魔人ドライ=ギャリーの執事なのだ。

 ドライ=ギャリーは身長150センチのお嬢様だ。

 彼女も魔人ではなく、吸血鬼であり亜人である。

 一日の大半を寝て過ごしているため、身の回りの事は全てアハトに任せている。

 今回の話も終始聞いていない。


 長い黒髪と真っ黒なドレス、真紅の瞳と鋭い犬歯を持つ彼女は寝ていれば「眠り姫」と呼ばれ、起きている時には「禁物姫」と呼ばれている。

「眠り姫」は文字通りだが、「禁物姫」はあまりに彼女の能力が高いためこのような名前になったそうだ。


 アハトが、ドライの説得を諦めていると・・・


「シュンには根底から変えねばならぬな」

「ですが、どうすれば・・・」

「あれを実行しようと思う」

「「「「「!?」」」」」

「いけません! あれだけは! 下手をすれば彼の心が持ちませんぞ!!」

「いや、〝破者〟と呼ばれる男なのだ。あれくらい耐えねばならん。ましてや、彼は弱い。これくらいせねば時間が足りぬ」

「「「「「・・・・・・」」」」」


 場が静寂に包まれる。

 魔王はある方法を考えていた。

 しかし、その方法は極めて危険で、普通の人ならだいぶ堪えるものだった。

 それは、魔界の人ならまだしも、悠々自適に生活してきたシュンからすれば生き地獄のようなものなのだ。


 今回の模擬戦でシュンの実力を知った彼らはシュンが如何にるい弱で、ひ弱で、脆いのかは理解した。

 だからこそ、その方法をするのはいただけないと考えたのだった。

 しかし、魔界の未来のこともある。

 正直、いくら魔界の戦力が強いといっても数では劣っている。

 今更数を増やすことは出来ないのは明瞭であり、戦力を強化するのはやむを得ないことだったのだ。


「・・・わ、分かりました。魔王様の命に従います。」

「うむ。宜しく頼むぞ。我が同胞たちよ!」

「「「「「はッ!、仰せのままに!!」」」」」


 シュンはまだ知らない。

 これから先今まで味わったことの無い地獄が待っていることを・・・


痛そうですね・・・


面白い、続きが読みたいと思われた方はぜひ評価のほどよろしくお願いします。

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