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第四話 魔界

※追記 ロステルラッテの人口を増やしました。

50万→500万

 ——?——


(こ・・・、ここは・・・)


 今まで体感したことの無い感覚に襲われつつも、恐る恐る目を開ける。

 そこはとても広い空間で数多くの柱が立っていた。

 周りには頭に角を生やした人達が何人か存在した。

 レッドカーペットを基準に左右に別れて均等に4人ずつ並んでいる。


 目の前は壇上があり、どっしりと椅子に座っている男がいた。

 その男は体格がよく、立派な角が頭の脇から二本生えていた。

 無精髭を生やし、黒いマントを羽織っている。

 そしてニヤニヤとしながらシュンを見ている。


(誰だろう・・・、というか、ここは一体・・・)

「※※※※※※※※※※※※※!」

「※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※!」

「※※※※※※※※※※※※※!?」

「※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※・・・」

(!?)


 彼らはいきなり語りだし騒ぎ出した。

 しかし、聞いたことの無い言語である。

 おそらくこの世界の言語なのだろう、シュンはそう思った。


(どうしよう・・・、何を言っているのか全くわからない・・・)

「※※※!!!」

「「「「「・・・・・・」」」」」

(椅子に座った男の人怖ッ!! とんでもない声量だな・・・)


 あまりにも唐突なことに的はずれなことを考えてしまうシュン。

 すると怒声を放った男は手を前に出した。

 次の瞬間シュンの足元に紋様が浮かんだ。


(うわッ!なんだなんだ!!)


 紋様は禍々しい光を放っている。

 シュンはまた何かされると思い、かなり恐怖を感じていた

 神(悪魔)のドッキリは軽いトラウマとなっていた。

 だが次第に、紋様は消えていった。


(なんだったんだ?)

()()()()()()()()()()()!」

「ッ!?」


 先程まで紋様を出した男の言葉が理解できるようになった。

 これにはシュンも声を出してしまう。


「え? 言葉がわかる・・・」

「それもそうだろうよ、我が『言語統一(・・・・)』の魔法を使ったからな」

「な、なるほど・・・」

(魔法便利だな・・・)


『言語統一』、逐語的にそのままの意味だと解釈できる。

 だが言語は通じるようになったのでシュンは早速質問することにした。


「あの、ここはどこですか?」

「おい貴様! 何を勝手に質問しているんだ! 恥を知れ!!」

「ひぃッ!!」


 純粋に思っていることを聞いただけだったが、右列の一番奥にいる男がいきなり怒声を浴びせてきた。

 これにはシュンも怯んでしまう。


「おい、うるせぇぞ。ツヴァイ。」

「も、申し訳ございません!! 不肖の我が身には出過ぎた真似でした!! お許しください!!!」

(・・・・・・)


 目の前の男は威厳ある声でそう言った。

 あれほど怖かったツヴァイと呼ばれる男が、今では膝から崩れ落ちそうなほど震えている。


「まぁよい。今は黙っていろ」

「はッ!」

(軍隊かなにかなのかここは・・・)


 それほどはっきり上下関係がしっかりしていた。

 この世界は身分がはっきりしているのだろうと想像する。

 そして・・・


「今回、無事破者の召喚に成功したことを改めて諸君らに感謝しよう。大儀であった!」

「「「「「有り難き幸せッ!!!」」」」」


 なかなか古風な返しだと思ってしまうシュン。

 だがそんな呑気に考えてはいられない。


「破者よ、この度はいきなりの呼びたて、申し訳ない。」

「あ、はい。こちらこそ・・・」


 あまり大人と、ましてや偉い人なら尚のこと会話することが少ないのでしどろもどろに答えてしまう。


「まぁそんなに緊張するでない。我の名前はヌル。

 ヌル=ロステルラッテが正式な名だ。ヌルと呼んでもいいが、子奴らが煩いからのう。魔王(・・)とでも呼ぶがいい」

「!? ま、魔王ですか!?」

「あぁ、一応この魔界で一番偉いぞ。我は。ガハハ!!!」


 何が面白いのかよく分からないが、彼が放つ威厳から魔王で間違いないとシュンは思った。

 とりあえず当たり障りの無いよう魔王様と呼ぶことにした。


「あの、すいません魔王様。ぼ、僕の名前は阿部 俊と申します。シュンとお、お呼びください」


 震える声でなんとか言いきった。

 鼓動が鳴り止まない。

 顔も紅潮してゆくのが分かった。


「ガハハ!! そう畏まるな! よし分かった! お主はシュンというのだな? これからも仲良くしようぞ!」


 嬉しいことに魔王は非常におおらかな性格らしい。

 寛大な所にシュンは少しだけ安堵の息を吐くことが出来た。


「詳しいことはフィーアから説明してもらおう。フィーア、お前は今日からシュンの教育係だ!」

「畏まりました」


 そう答えたのは、右列の奥から2番目の女性だった。

 髪は長い緑色の長髪を後ろで結んだポニーテールで、頭の両脇から角が生えている。

 身長は160センチくらいでシュンより少し小さいくらいであった。

 メイド服を着用しており、一挙手一投足に無駄のない洗練された動きから〝仕事の出来る女〟といった感じが漂っていた。


(か、かわいい・・・)


「シュン、重ね重ね大変だろうがこれから精進して欲しい」

「は、はいッ! ま、魔王様のためにもが、頑張ります!」


 フィーアに見とれていたためワンテンポ遅れてしまった。

 激励の言葉を貰ったはいいが、何を頑張るのかよく分からないため、とりあえず気に入られるような言葉を並べる。


「ガハハ! よいぞ、シュン! これから先が楽しみだ!!」


 なんとか上手くいったらしい。

 シュンの背中は汗でびっしょりである。


「それではシュンさん、参りましょう。」

「あ、はい。」

「ヌル様失礼致します」

「うむ」

「し、失礼致しますッ!」


 魔王様に一言声を掛けてからその場をフィーアと呼ばれる女性と共に後にした。


 ------------------------------------------------------------


 ——ロステルラッテ城 とある一室——


 魔界一の国ロステルラッテ

 国を囲うように石造りの壁が聳え立っている。

 人口は500万人で主に魔人や亜人、獣人が暮らしている。

 国の北が城であるロステルラッテ城が聳え、貴族の住む貴族区が存在する。

 反対の南は、国の入口でもあるため商業区である。

 東は鍛冶屋や防具屋などがある工業区である。

 西はスラム街で国で一番治安が悪く、奴隷取引所や色町などが点在してる。


 農業は比較的土の養分が高く肥沃であるため野菜類の産出量は、以外にも人間界の大都市より高い。

 また、武器や道具と言った物も人間界より質が高く高値で取引されている。


 しかし、治安の背景には一度国から離れると凶暴な魔物などが存在しており死亡者も多数見られる。

 それによって外界からは人があまり寄り付かないため対人関係が浅く、知識不足な輩が数多く居るため治安も悪い。

 恐喝、暴力、盗難、殺人などもあり枚挙に遑がない・・・


「——という風な感じです」

「ありがとうございます。フィーアさん」

「ふふふ・・・、どういたしまして」


(か、かわいい・・・)


 昨日の召喚から一夜明けて自室で勉強をしている。

 昨晩は晩餐会が執り行われたが告白や転移でそれどころではなく自己紹介くらいしか出来なかった。

 現在シュンは第4大魔人のフィーア=グルラージにこの国について色々聞いていた。


 因みに、第4大魔人とはいわゆる魔王の側近である。昨日見た八人がそうであり、左の奥が1番で、2番は右の奥である。

 左、右、左、右・・・というふうに整列していたわけである。

 そのため、シュン怒鳴りつけた人は第2大魔人ということになる。

 昨日軽く挨拶はしたものの第2大魔人の人とは馬が合わないと思った。

 そう思ってるとフィーアは思い出したように言った。


「そういえば、シュンさん今も『言語統一』の魔法がかかってらっしゃいましたね」

「そうなんですか?」


 フィーアによると、魔王が今もシュンに、魔法をかけ続けているらしい。

 魔王は膨大な魔力を所持しており、『言語統一』などの魔法くらいは何ら生活に影響を与えないらしい。

 それでも、微力ながら魔力は消費するのだとか。


「それって良くないんじゃ・・・」

「そうですね。ですからこちらの言語を覚えることを推奨します。」


 言語習得にはかなり時間がかかる。

 自慢ではないがシュンは英語すら苦手である。

 いきなり新しい言語など覚えられるのだろうか、と不安そうにしていると。


「ご安心ください。【知能の実】というものがございます。これを服用し一週間ほど学習すれば魔界(・・)の言語を習得することが可能です」

「そうなんですか? それなら安心です」


 確かにしこりは取れたが、人間界(・・・)の言語とは違うらしい。

 新たな悩みの種が出来てしまった。


「とりあえずシュンさんには一週間勉強してもらいます。よろしいでしょうか?」

「はい」


 そう返事すると、フィーアは席を立ち一礼して部屋を去っていった。

 どうやら、【知能の実】を取りに行ったようだ。


(やることは色々あるけどひとつずつ頑張ろう! それにしてもハルトとナナ大丈夫かな・・・)


 ハルトもナナも人間界に転移してしまった。

 今の所生存もわからない。

 それでも、神(悪魔)によれば王宮に転移したそうだ。シュンと違ってクラスメイト達で転移しているはずなのでそこまで不安では無いが・・・

 シュンが不安を抱きつつも時は流れていくのだった・・・


※サブタイトル変更しました


※追記 文量は話の区切りで変わるので長くなる可能性もあります。グダグダですみません・・・


面白い、続きが読みたいと思われた方はぜひ評価のほどよろしくお願いします。

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