7
■ 改版履歴
□ 2018/06/15
1. ステータスからRES及びLUCを削除
2. 最大HPを24から27に変更
3. 最大MPを22から23に変更
さて、北門にきました。騎士団の人に手紙を 渡せば良いのだろうか。お、金属鎧を身にまとったキャラが集まっている一角があるな。あそこかな。
うーん、みんな厳ついな。鎧もお揃いって訳じゃないし、本当に騎士団か? もしかして、傭兵団とかそういうのだったりするんだろうか。
だが、あたりを見回してみても他にそれらしい集団もいないし、とりあえずぶつかってみるか。ヒゲもっさりゴリラにはちょっと話しかけづらいので、端っこにいる比較的細いあんちゃんに話しかけるとしよう。
よし、にこやかにいくぞ。一緒に稽古するかもしれないしな。
挨拶は元気よく。騎士団ってくらいだ体育会系なんだろ、たぶん。口を大きくあけて、ハキハキと喋れば、不快には思われまい。
ちょろいぜ。
「おはようございます! 少々お時間頂戴したいのですが、いまよろしいでしょうか! 皆様は騎士団の方々でしょうか!」
「ん? ええ、騎士団の者ですが。なにかありましたか? 我々はこれから調練をはじめるため、急ぎの用件でないのなら、詰め所に向かって頂きたいのですが」
「鍛冶工房鉄の工房長ロプス様より紹介されてまいりました! ぜひ私を、調練に参加させてください! よろしくお願いいたします!」
スッと、ロプスの兄貴から預かった手紙を差し出す。完璧だな。我ながら惚れ惚れするほどの清々しさだ。
「それはロプス殿からの手紙でしょうか? お預かりします。これは、副長宛ですか。ふむ、封蝋は確かに鉄の物ですね。わかりました、副長に取り次ぎますので、しばしお待ちを」
めっちゃ怪訝な顔をされたが、とりあえずは手紙を受け取ってもらえたぞ。あの手紙は、副長宛だったのか。副長って言うと、たぶんお偉いさんだよな? 元農民で、局長の昔なじみだったりするのだろうか。
お、さっきのあんちゃんが、ゴリマッチョなオッサンを連れて戻ってきたぞ。あれが副長か?
鬼ってよりは、オーガって感じだな。あ、筋肉つけるとSTR増えるかな? 検証してみたいが、時間がないな。
「お前がこの手紙に書いてあるリュウか? 手紙は読ませて貰った。お前は異人との事だが、エドガー殿に挑むなど、ずいぶん無謀な事を考えるものだな。異人はみなそうなのか?」
腹に響くような重低音ボイス。羨ましいな。
「皆がどうかはわかりませんが、私は挑戦したいと思っております。たとえその道が険しくとも、逃げ出す事など考えておりません! ですので、何卒ご指導をよろしくお願いいたします!」
背筋を伸ばしたまま腰を起点として、60度のお辞儀!
伝われ俺の熱意! 届け俺の殺意!
「ほう。ふむ、部外者を調練に参加させるなど、本来ならばありえない話なのだが、ロプス殿からの頼みであれば致し方あるまい。それに、ロプス殿には借りが多すぎて困っていたのだ、負債が減らせると思えば歓迎ではあるな。刀剣スキルのスキルレベルはいくつだ?」
「昨日、2にあがったばかりです!」
「うーむ、低いな。話にならん。そのまま調練に混ぜても鍛錬になるまい。まずは上から下に振り下ろす唐竹の素振りをして見せろ」
わかりました! 私めの渾身の素振りをご覧下さい!
えい、えい、えい!
どうでっしゃろ、エドガー神父に教わった通り出来ているつもりなんですが。
おや、副長殿が眉間を揉みほぐしていらっしゃるぞ。なんでしょうね。
あまりにもスタイリッシュな素振りで痺れちまったかい? へへへ。
「全くダメだな。なんだそれは、なんて部族の踊りだ?」
ですよねー!
「いいか? こうだ」
ヒュンと風を切る音。おお、すごい。キレイだ。
「わかるな? やれ」
うん、うん。うん? え、それだけ?
くっそ、指導下手なのか? 見よう見まねでやるしか無いか。
そい、そい、そい!
「ちがう、こうだ」
違うのは確かにわかるんだが、とは言えどうすれば良いかはわからん。
「わかったな? やれ」
いいえ、分かりません。まったく分かりません。
この人、アカン気がしてきた。
どうしろと。
「はあ。足はもっと、こう、肘はこうだ」
戸惑っていると、膝と肘を剣でぶっ叩かれた。
ちょ、真剣で叩かないでくれよ、怖いわ。
ったく、この位置でいいのな。
ふん、ふん、ふん!
お、さっきよりいい感じかも。
「手だけで降るな、足腰、背中、腹、体の全部を使え」
そんな事を、素人に言われましても!
ふん、ふん、ふん!
あ、STが尽きたな。体が重いぜ。ふー、回復するまで休憩しよ。
リアルでは、運動なんてまったくしないから新鮮だ。
「どうした、何を休んでいる。誰が休んでいいといった。素振りを続けろ」
え? いやST切れたんで、自然回復待ちです。
「それがどうした、スタミナが尽きたとしても動けるであろう。やれ」
ふぇ? 体めっちゃ重いんですけど、STが回復するまでまって下さいませんか?
「はやく再開しろ」
ぐすん。
………
……
…
「休んで、よし」
その言葉を聞いた瞬間に、座り込んでしまった。
やばい、つらい、何これ。なんでゲームで俺こんな辛い思いしてんの。バカなんの。だけど続けちゃう!
```
【CONGRATULATIONS】
・ 最大ST が 1 上昇しました。
```
お、STあがった。もしかして、スタミナが底をついた状態で、さらにスタミナを使用する動作をすると上がるのか? もしそうなら辛すぎだろ。
さては、苦行推奨ですかな?
「お前はアレだな。剣術以前にスタミナが低すぎる。体力強化も平行してやるぞ」
さいですか、まあ今上がって21ですからね。副長殿がいくらなのか知りませんが、低いでしょうね。
え、移動ですか、回復するまで待ってくれたりは、しませんよね、わかってました。
城壁から5分程歩いた所でオーガ副長が止まった。コッチのスタミナをガン無視して、スタスタ歩くから付いてくのに必死でしたわ。
ココが目的地ですか? 妙な杭が刺さってますけど。あ、さてはコレにむかって打ち込みですか?
「全力疾走で城壁にタッチして、戻ってこい。もちろん戻ってくる際も全力で走れ。戻ってきたら30秒の休憩を許す。手を抜いたら、覚悟しておけ」
ふむ、ここから城壁まで、とな。分速100mとして、500mやろ。
おいおい、おいおい。500mってのは全力ダッシュする距離じゃないぞ、ジョークだよな。
それも、往復?
「では、始め!」
ちっきしょおおおおおお!
うおおおおおおおおおお!
あ、ST尽きた。息が、苦しい。
………
……
…
```
【CONGRATULATIONS】
・ 最大ST が 5 上昇しました。
```
死ぬ、マジで死ぬ。HP減ってないけど、精神疲労で死ぬ。もうやだ、動きたくない。
「さて、素振りをもう一度だ」
まだやるんかい。おうおう、やったるぞ、やったるぞ。
「今度もまず手本を見せる。ゆっくりとやるから、しっかり見ておけ」
ハエが止まりそう程にゆっくりとした素振り。しっかりと目に焼き付けるぞ。
クソ神父をぶん殴るためにな。
そして、この間にSTが満タンまで回復してくれるとありがたい。
「よし、みたな? では始め!」
………
……
…
```
【CONGRATULATIONS】
・ 刀剣 のレベルが上昇しました! (Lv: 2 => Lv: 3)
・ 身体操作 のレベルが上昇しました! (Lv: 0 => Lv: 1)
・ 最大ST が 4 上昇しました。
```
んごお、アカンて、流石にもうアカンて。素振り、ダッシュ、素振り、ダッシュ。アカンて。
ああ、刀剣スキルと身体操作スキルが上がった。やった、うれしい。素振りだけでも上がるのか。身体操作はダッシュも影響したか?
「ふむ。話には聞いていたが異人ってのは面白いな」
何がですの。この苦しんでいる姿がですかね。ハハハ、さぞ滑稽でしょうね!
「いやいや、馬鹿にするつもりはまったくないぞ。関心しているんだ。最初のダッシュでは100mも行けばスタミナが尽きていただろう? それが、最後には中間地点あたり、250mは持ったんじゃないか?」
ええ、ST上限増えてますからね。というか、やっぱり500mあったの。
で、それが何か。
「異人にはわからんだろうが、スタミナなんてそう簡単に上がるもんじゃない。日々の積み重ねで上がるんだ。毎日、毎日走り込みをしてやっと1上がるんだ。それがお前はその日のうちに客観的に分かる程度は上がった。どうだ驚異的だろ? お前、今日でスタミナはいくつ上がった? ほう、10も上がったのか。いやはや、凄いなまったく。なるほどな、これが異人か。鍛え甲斐がある」
ふむ、この口ぶりだと、NPCと比べてプレイヤーはスタミナの上昇に補正がかかっているのか? というより、NPCはリアル仕様で、俺らプレイヤーはゲーム仕様って事か?
まあ、現実準拠されたらスタミナの強化や維持の為に、毎日ランニングする日々になりそうだしな。そんな仕様だったならば、ランニングオンラインって揶揄されそうだ。
俺は苦行オンラインだけどな!
「それにしても、よく音を上げなかったな。ロプス殿の紹介だから付き合ったが、すぐに逃げ出すかと思ってたぞ」
逃げたかったわい。本当に、投げ出したかったわい。
だけどなぁ、せっかく兄貴に紹介してもらったし、兄貴の顔に泥を塗るような真似は出来ねぇわ。
俺は義賊になるんだからな、義理人情は大事にしないと。
「とりあえず今日はここまでにするか。よし、朝7時にここに来れば、稽古をつけてやる。本当ならば、毎日来いと言いたいところだが、異人だからな。まあ、来れるときに来い」
今後も付き合ってくれるのか。スキル上げの為にできる限り参加するようにしたい。明日の朝7時は、リアルだと何時だろうか?
ありがとうございました!
◆
3時間の苦行をこなした結果、100%だった満腹値が30%まで低下していた。
これは、あれか? STを使い込む程に満腹値の減少が早くなるのだろうか。調練に参加する時には100%にしておいた方がいいだろうな。
昨日と同じでホットドッグでいいか。70回復したしな。値段は、たしか350Gだったか? うーん、今の所持金が1,120G。
ゲーム内で2日目でコレは不味い。非常に不味い。恐るべし、アルコールの狂気。
そもそも、このままでは、宿代やばそうだな。
昨夜はロプスに泊めてもらったが、連日はさすがにな。騎士団にツテを作ってもらったし、これ以上の迷惑はかけれぬ。第一、今夜も泊めてくれなんて言ったら、なんで金ないのかの話になるだろう。その理由が酔っ払ってロプスの分も飲み代を払ったからだと告げるのは、あまりにもかっこ悪すぎる。
ならやることは、金策だな。冒険者ギルドにあった受注可能なクエストは、薬草採取、兎狩り、そして狼ハンティング。
兎狩りはどうなんだろう。まだプレイヤーによる乱獲が行われている可能性が高いか? 時給換算すると安くなりそうだな。
狼ハンティングは、ポーションの残数が1な状況ではリスクが大きい。前回は死にかけた。レベルアップによりHPも増え、刀剣スキルのレベルが上がったから、もしかしたら可能かもしれないが、不要なリスクは避けるべきだ。さらに言えば、前回は狼さんからご登場いただけた訳だが、偶然に頼るのは時間がかかりすぎる。となると、探し出して仕留める必要があるが、あの森のなかで見つけられるだろうか。厳しいな。
なら、薬草採取か。薬草採取しか選択肢ありませんがな。兎狩りは状況を見てだな。
薬草採取といっても、俺には薬草の見た目なんぞ分からん。薬草について学ぶ為にはどうすればいいか。図書館で図鑑か?
いや、そんな簡単な事だろうか? 薬草にも品種があって、特定の品種じゃないと受け付けないとかありそうだぞ。
とりあえずギルドでクエストの詳細を聞いて、さらに欲を言えば図鑑なりがあればそれを借りるか。
………
……
…
俺ちゃん、マジで冴えてる。さっすがー!
ソフォラ、ブプレ、ルブルムってのが対象で、各種10個単位で納品可能だと。ソフォラ5個、ブプレ5個は不可って事だな。
なんで最初からそう記載しないのかについて聞いた所、クエストについて知るのも冒険者の必須技能だからだそうだ。なお報酬額は150G。
最安値の宿屋を聞いたが答えられないとの事だった。しかし、粘ったところ相場については教えてもらえた。3000Gで個室、1300Gで大部屋、そして馬小屋なら300Gってところらしい。
さらに夕食の事を考えると、薬草をがんばって集めなければ。このままでは、かなり不味い事になるだろう。
資料室があり、そちらで薬用植物図鑑と採取入門という本を借りて読むことができた。剥ぎ取り入門って本も気になるな。後で読みにこよう。
図鑑によると、ソフォラとブプレは根、ルブルムは茎に薬効があるとの事だ。挿絵があり、スキルレベル3の帝国語スキルでも容易に読める程度には、とても分かりやすく書かれていた。すばらしい。
根と茎となると、園芸用スコップのような物と、ナタかナイフ類の刃物が必要だな。あとは、採取した物をつめる袋か鞄。刃物はショートソードで代用できないだろうか。
ギルドで売ってたりしないだろうか? 錬金術師ギルドは錬金盤を売っていた事を考えれば、採取に必要な道具を冒険者ギルドで販売している可能性もあるな。
あ、この図鑑の写しをもらえたりしないだろうか。記憶に頼るのは不安だし、メモに挿絵を写しとるのは、画力に自信がない。
もろもろ買えました。スコップは400G、コーヒー豆でも入れそうな麻袋が50G、そして図鑑の写しが1ページで100G。計750G。
残金は20Gとなりました。やばい。
ああ、金が欲しい。
2日目 10:10 (6/1 16:11)
```
【EQUIPMENT】
LV: 2
HP: 24
MP: 22
ST: 30
STR: 11
VIT: 12
INT: 11
MND: 10
DEX: 10
AGI: 11
スキル (SP: 12)
・ 刀剣 (Lv: 3)
・ 不屈 (Lv: 3)
・ 帝国語 (Lv: 3)
・ 魔力操作 (Lv: 0)
・ 光魔法 (Lv: 0)
・ 忍び足 (Lv: 0)
・ 身体操作 (Lv: 1)
装備
・ 粗末なショートソード (ATK: 5)
・ 粗末な布の服 (DEF: 0)
・ 粗末なアイテムポーチ
所持金: 20
```