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■ 改版履歴
□ 2018/06/15
1. ステータスからRES及びLUCを削除
2. 最大HPを24から27に変更
3. 最大MPを22から23に変更
さて街に戻ってきました。
とりあえず、この毛皮をどうにかするか。皮革スキルでもあれば加工できるんだろうか。わからんな。
そもそも、今の所は皮革スキルを取得するつもりは無いし、売っぱらうか。となると、ドコで売ればいいかだが。ファンタジー的に考えれば冒険者ギルドかな。ダメだったらギルドで聞こう。よしいくぞ。混んでたらどうしよう。その時はその時だな。為せば成る。
空いているとは言い難い程度の混み具合だったが、妥協できる範囲と思い受付の列にならぶ事にした。
あー、早く進まないかな。暇だし魔力操作の練習しとこ。みぞおち、右掌、みぞおち、左掌、みぞおち、右足、みぞおち、左足。まえよりスムーズに動かせてる気が? カタツムリ速度がイモムシ速度になった気がする。
お、そんな事をしてたら俺の番だ。なんだかホンワカした雰囲気の受付嬢だ、眼福です。そう言えば、女性NPCはみんな可愛いな。クリエイターの趣味か?
リアルで美人さんや美少女と話す機会なんかないから、感謝しかないです。ありがたや、ありがたや。
これ買い取って欲しいんですけど。え、買い取りは行っていないんですか。じゃあ、どうすれば? 街の商会を利用しろですか、ちなみにどこで売れますかね? 個別の商会への利益供与となる恐れが有るため回答できないと、ほう。
がっくりだわ。これは、また露天で飯食いながら情報収取かな。
え、他に要件ですか。うーん、あ、クエストって受けれます? ギルド員じゃないとダメ、と。登録は無料ですか。なるほど。んじゃ、そのギルド員の登録をお願います。うっす、うっす。
最初はFランクから始まって、クエストをこなすとランクが上がっていくと。クエストにもランクがあって、自分のランクと同じクエストしか受けれないと。なるほど、よくあるテンプレってヤツですねわかります。ああ、いえなんでも無いです。
パーソナルカードよこせ? なんすかそれ。
またか、言いたげな顔で、トランプ大の半透明なカードをどこからともなく取り出した受付嬢。プレイヤーに何度も同じ事言われたんですかね。すみませんねぇ。
ところでいまどこから出しました? マジック? 手品? あ、もしかして魔法? 違いますか。
だせと言われましても、ねぇ。ポーチにそんなのありませんでしたし。
思考操作で出せたりするのでしょうかね。まあ、とりあえずやってみるか。
我が呼び声に応え、その姿を現世に表わせ! いでよ、パーソナルカード!
はいでたー! さっき受付嬢がだしたカードとは色が違うな。性差か? それともNPCとプレイヤーの違いだろうか。
どれどれ、カードには名前しか書いてませんな。もちろん帝国語です。
とりあえず出したカードをカウンターの上に乗せると、受付嬢が手をかざした。お、光った。
```
【NOTICE】
・ 冒険者ギルドに加入しました
```
え、登録終わりですか? あっさりしてますね。
お、カードに『冒険者ギルド:ランクF』の記載が増えてる。すごい。
登録は終わったわけですが、ちなみに今受注できるクエストってなにあります?
```
・ 【納入】ホーンラビットの肉 x 5
・ 【納入】薬草 x 10
・ 【納入】レッサーウルフの毛皮 x 1
```
おんやぁ? レッサーウルフでございますか。 もしや?
このクエストってもしかして、もしかします? そうですか、もしかしますか!
じゃあ受けます! そして納品です!
ありがとう、ござしましたー!
ちなみに報酬は500Gでした。あの激戦を考えると安いような。
なにはともあれ、初収入だ。やったぜ。
◆
ただいまの時間はっと。もうすぐ午後7時か。なーにすっかなーっと。
あ、居酒屋みたいなところは無いのかな。噂あつめでもするか、義賊っぽいし。噂あつめと言えば酒場だ。
ここは、仕事帰りらしきオッサンに聞くのが一番だな。
へいへい、そこいくヒゲが素敵なお兄さん! そうそう、お兄さんの事だよ! おいおい、そんなに睨まないでくれよ、チビッちまう。
ちょいと聞きたい事があってな! 美味い酒を出す飲み屋を教えてくれないか、お礼に1杯おごるぜ!
………
……
…
案内された店は、なかなか面白い店だった。着席するなり、すぐに木製のジョッキでお出迎え。頼んで無いんだけど、って思ったが、ヒゲおやじことロプスによると、この店では酒のメニューは1種類しかないらしい。
昔はそれなりに品数があったらしいが、店主がめんどくさくなったそうだ。それでいいのか。
俺のリクエストは美味い酒なんだが。飲んでから考えればいいか。
よっしゃ、なにはともあれ、かんぱーい!
あ、ウェイトレスのオネエチャン、ロプスが飲んでるコレは俺につけといてくれ!
どれどれ、酒のお味はっと。ぐいっとな。
ごっふぁ!? おいおい、度数つよくねぇか!? 10%以下ではないだろ!
しらん、ってなんだよ。え、うまくて酔えればそれでいい?
なるほど、至言である。
強くてビックリしたが、たしかに美味いわ。動いた後の酒は暴力的に体に染み渡る。生きててよかった。
度数は高いが不思議とグイグイ飲める。うまい。
おい、ロプスさんよ、ツマミはなにがオススメなんだ? まずは、腸詰めと塩もみサラダ?
おっしゃ、オネエチャン! 腸詰めと塩もみサラダくれ!
あと、酒をもう1杯、ん? ロプスもか? 2杯だ!
塩もみサラダを食って、酒を飲んで、腸詰め食って、酒を飲んで。
あかん、止まらんぞ!
………
……
…
のんだぞー! 俺は自由だー!
どうした、ロプス、いや兄弟? さっきの店の代金を払うって? なあに、きにすんな! 美味い酒を教えてくれた礼だ!
ああん? 兄弟って何かだって? 一緒に飲み明かせばもう兄弟分だろう! 俺が弟で、ロプスが兄貴な!
そんな事より、この後はドコで飲み直すんだ? だまって付いてこいって? オーケー、オーケー、おいらついて行っちゃうぞ!
とことんまで飲むぞ、なあ兄弟!
そうだ、歩いている間に酔いが覚めるといけないと思って、さっきの店から酒瓶もらってきたぜ!
おいおい、金なんて言いこなしだ、のもうぜ、兄弟!
ん、ここが目的地か? 飾り気のない石造りの建物だけど、めっちゃでかい、わらう。ここで飲むの? ホントに? 入ったら捕まったりしない?
気にすんなって? 兄弟がそう言うならな、おっしゃ、気にしないわ!
のむぞー!
ロプス、ずいぶん寛いでいるじゃないか、まるでココの主みたいだな、まじわらう。酒はまだかー!
高い酒と安い酒どっちがいいって? どうしたんだ、兄弟。俺を見くびってもらっちゃ困るぜ。
お上品な酒なんて、今はお呼びじゃない! 俺が求めているのは、下品で粗野な酒だ!
そうだろう兄弟! のむぞーー!
………
……
…
知らない、天井だ。
本日二回目。
あー、昨日はたしかロプスと、酒場で飲んで、その後に屋敷みたいな所で更に浴びるように酒のんで。
あかん、記憶が途中から飛んでるわ。ロプスの娼館品評を聞いて、ゲラゲラ笑ってた記憶がある。その後は、うーん。
そういえば、今何時だ、朝の6時、現実だと15時か。最後に記憶があるのは、たしか現実時間で13時だったような。うーん、飛んだ2時間はどういう扱いになってるんだろう。
で、ここドコだ。四畳半くらいの部屋。まあそれなりのベッド。酔って宿屋にでも入ったか?
あ、宿代とかあるよな? 所持金はっと、1000Gちょっとか。わぁお。あれまー? 冒険者ギルド出た時は1万超えていたはずなのに、あわわー?
これだから、アルコールはっ!!
念のために、ポーチの中身を確認しておこう。
```
【ITEM】
・ 初心者ポーション x 1
・ 空き瓶 x 4
・ 解体ナイフ
・ ミジンコでもできる錬金術
・ ノート
・ ペンセット
```
なんで、ポーション減ってんだよっ! 飲んだの!? 酔っ払って飲んだのか!?
「おう、起きたか、リュウ」
ん、この声はロプスか?
よお、ぐっどもーにーん! ところで、ここは一体どーこ!
「昨日は、お前が酔って寝ちまったからな。空いてる部屋に放り込んだんだよ」
そいつは、迷惑かけたな。かたじけない。という事はココはロプスのハウスか。あの屋敷からは移動したのかな?
「んな事は後ででいいだろう。とりあえず、飯だ。食えるだろ?」
二日酔いってわけでもないしな、よろこんで。あ、でも出来るなら軽めのモノでお願いします。
「よし、ついてこい」
………
……
…
現場のリュウです。現在戦場の只中におります。
筋骨隆々のオヤジの群れがひしめき合い、競うように食い物を胃に詰め込んでおります。
ロプスに部屋から連れ出された俺は、長い廊下を歩き食堂と思われる場所に来ていた。
でかいテーブルが3つあり、それぞれのテーブルには山盛りの食料。
はて、ここはロプスのハウスじゃないのか?
入り口で呆けていると、ドンっと背中を叩かれた。なんだよ兄弟、ちょっとは気持ちを整理する時間くれよ。
空いてる席に座って適当に食えって? お、おう。見てるだけでお腹いっぱいなんだが。
まあ、満腹値も30%だし、お言葉に甘えて回復させてもらうか。
あ、とりあえずサラダで。朝からその分厚いステーキはちょっとご遠慮いたしたく。
では、いただきます。
………
……
…
ごちそうさまでした。
サラダ、スープ、サンドイッチを平らげ満腹値は100%です。美味しゅうございました。
食事で現実逃避したが、ここは一体どこだ。
なあ、兄弟、そろそろ教えてくれよ。
「ったく、細かい事が気になるんだ。んじゃ、改めて自己紹介するか。鍛冶工房鉄の三代目工房長ロプスだ。よろしくな。ここはうちの工房だ、まあ俺たち全員の家だな」
ロプスはそういって、ギラつくような笑みを浮かべた。
やーん、なんかすごそー! だが、どの程度すごいのかはまったく分からんので、反応ができない。
「まあ、異人に言ってもしかたねぇな」
ん? なんで異人ってわかるん? NPCとプレイヤーを識別する方法でもあるんかね。
初対面で言われたのは、クソ神父、錬金術ギルドの受付嬢、そしてロプス。アンナさんは最初は分からなかったよな、たしか。
「錬金術ギルドの? そいつはたぶんミネバだな。聞いた話で悪いんだが、魔力の質が違うらしいぞ。ミネバもあんななりだが高位の錬金術師で、熟練の魔法使いだからな。それに、エドガーの旦那だろ? あの人ならさくっと分かるだろうさ。たいていの事なら、まあ旦那だしで理解できる」
クソ神父が謎の高評価。やつは一体何者。
「んだ、なんにも聞いてないのか? はあ、あの人らしいっちゃ、らしいが。まあ、とりあえず凄い人だって覚えとけ。詳しくはいつか分かるんじゃないか」
クソ神父が重要NPC疑惑とか、マジ勘弁。あのドS神父が、凄い人だと? どんな冗談だよ。マジ勘弁。
「とりあえず、その話はいい。なんで俺がリュウを異人だと思ったか、だったな。俺を知らないヤツなんてこの街にはまずいない。鉄のロプスって聞いて、間抜け面のままなのは子供か異人だけだ」
おいおい、兄弟、まさかの有名人?
「武器に困ったら顔出せ。ほかにも相談事があれば聞いてやるぞ、解決できるかはまた別だがな」
相談事ねぇ。あ、刀剣スキルのレベルあげたいんだけど、どうにかならん?
「剣術の指導がほしいって事か? お前は旦那と知り合いなんだろ? 旦那からの指導はまず無理だろうが、せっかくだし旦那に紹介をたのんでみたらどうだ」
いやー、あのクソ神父をぶちのめすためにスキル上げたいわけで、それをクソ神父に頼るのはちょっと。
本末転倒というか、気に食わないというか、腸煮えくり返るといいますか。
「はあ? 旦那を? おいおい、正気か? この街はもとより、周辺の国であの旦那より強い人なんぞおらんぞ。お前、まさか、死ぬ気か?」
おいおいクソ神父、どんだけだよ。なんだよ周辺諸国最強って。初期街にいていいNPCじゃねぇだろうが。
教会所属で最強戦士って、勇者かなんかの? あの外道が? ないな。それはない。堕ちた勇者とかならありそうだが。
「何をしたらあの旦那に挑むような話になるんだよ」
何って特に…。鼻の下を伸ばしながらアンナさんとお話した位だっての。やましい気持ちはてんこ盛り満載だったけど、なにもしとらんわ。
「かーーー、よりにもよって、アンナの嬢ちゃんに…。嬢ちゃんはな、旦那にとって子供、いや孫同然の存在、ようは旦那の逆鱗だ。あの嬢ちゃんの為なら旦那は何だってするだろうさ。それこそ国落としだろうが、古龍討伐だろうが、だ。実際あの旦那ならその程度造作もないだろうさ。しかし、お前もよく死ななかったな。ああ、いや異人は生き返るんだっけか? 何回死んだ?」
いや、死んでませんけど。そもそもデスペナはまだ貰ったことないです。
古龍ってなんやねん。俺は、ドラゴンスレイヤーに挑むのかよ。くっそ。クエストやめるか? いやしかし、キャンセル時に一部NPCの好感度が最低値になるんでしょ。クソ神父の身内にアンナさんが居る事を考えると、その一部NPCにアンナさんが含まれている可能性は捨てきれない。というか、多分にある。
「ったく、はあ。どこまでスキルあげたいんだ? あ? 10? 10!? 10っつったかお前!? 10ったら、中級者レベルじゃねぇか、うちの工房なら仕事を一人で任せる水準だぞ。ああ、もうしかたねぇな。ちょっとまってろ」
ロプスはそう言うと、サラサラと手紙を書き、封蝋をした。
「ほれ、コレ持って北門に行って来い。まだこの時間なら騎士団の調練に間に合うだろう。そこで鍛えてもらってこい。レベルが上がるかは、お前次第だがな。まあ、気張れや」
```
【NOTICE】
・ 『ロプスの手紙』を入手しました
```
あざっす、兄弟。この借りは必ず返す。
「ああ、そうだリュウ、カードだせ」
ん? カードってパーソナルカードの事だろうか。ギルド員登録ってわけでもなかろうに、なんで?
まあ、兄貴が言うことだ素直に出しておくか。
んで、出したけどどうすれば? お互いのカードを触れ合わせるの? なんの為に? いいからやれってか。わかりました。
それじゃ、ごっつんこ、っと。
```
【NOTICE】
・ ロプスとフレンドになりました。
```
はー、こうやってフレンド登録するのか。なるほどな。
祝初フレンド!
今後とも宜しくお願いしますぞ、兄貴。
あ、ちなみにロプスのカードは、受付嬢とも俺とも違う色でした。深まる謎。
2日目 06:30 (6/1 15:08)
```
【EQUIPMENT】
LV: 2
HP: 27
MP: 23
ST: 20
STR: 11
VIT: 12
INT: 11
MND: 10
DEX: 10
AGI: 11
スキル (SP: 12)
・ 刀剣 (Lv: 2)
・ 不屈 (Lv: 3)
・ 帝国語 (Lv: 3)
・ 魔力操作 (Lv: 0)
・ 光魔法 (Lv: 0)
・ 忍び足 (Lv: 0)
・ 身体操作 (Lv: 0)
装備
・ 粗末なショートソード (ATK: 5)
・ 粗末な布の服 (DEF: 0)
・ 粗末なアイテムポーチ
所持金: 1,120
```