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■ 改版履歴
□ 2018/06/07
1. 錬金術師との会話でクエストの発生を追加
□ 2018/06/09
1. 錬金術で必要な素材を薬草からルナリム草に変更
□ 2018/06/15
1. ステータスからRES及びLUCを削除
絵本は「せかいの はじまり」というタイトル。いってしまえば、創世記の天地創造だな。
光、闇、木、火、土、風、水、の7柱の神が世界を作ったのか。ほーん。五行じゃないのか。
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【CONGRATULATIONS】
・ 帝国語 のレベルが上昇しました! (Lv: 0 => Lv: 1)
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お次は、「みんなの まちの はたらくひとびと」。
主人公のリック少年がとある街にたどり着いた所から話が始まっている。リック少年が街の中を探索しながら、職業を紹介して行くわけか。
紹介された職業は、商人、衛兵、騎士、治癒師、薬師、錬金術師、鍛冶、大工、神官、エトセトラ。
ふう、読んだ読んだ。帝国語のレベルが低いせいか、読み解くのに時間がかかったぞ。つかれた。
なんか、所々でリック少年の暗い過去が見え隠れするのは、何故だ。騎士のくだりで「あの頃の僕に力があれば」って何があったのリック少年。
```
【CONGRATULATIONS】
・ 帝国語 のレベルが上昇しました! (Lv: 1 => Lv: 2)
```
しかしやっぱりあるのね、錬金術。ファンタジーですな。
旅する聖職者ってのもロマンあるが、このリアリティだからな、聖書なり経典なりを勉強しないと詐欺師扱いされそうだ。最悪の場合は、捕まるか?
うーん、候補筆頭は錬金術師かな。
よし、読み終わったし本を返しに行くか。礼拝堂奥の部屋でしたね。お、この扉か? アンナさん向けのキメ顔を作って、ノックだ。
ごきげんよう、アンナさ…ん…。げえ、クソ神父!? アンナさんは!?
何の用かって? 麗しきアンナさんにお借りした本を返しに来たんです。ええ、この本です。ありがとうございますとお伝え下さい。
はあ、アンナさんの御尊顔を拝見する事はかなわなかったか。あ、ついでだクソ神父に錬金術について聞くか。
へいへい、クソ神父。錬金術を学びたいんだけど、どぅーゆーのー? 街に錬金術師がいるからそっちに聞け? いやいや、いきなり訪問しても門前払いでしょ。考えれば分かるでしょうに。え、あんたの名前だせば融通してくれる? ホントかよ。んで場所は? この路地の突き当りを曲がって、三本目の路地に入って…。なるほどな、サンキュー。あ、最後にアンナさんにお会いする事は、無理ですか、そうですか。
◆
つきました。つきました…?
どう見ても廃墟なんですが。外壁は苔むして、窓には蜘蛛の巣。クソ神父騙しやがったか…?
そっと扉に耳を当ててみます。うーん、音はしないな。チンピラのねぐらって事ではなさそうだ。ないよな?
扉を開けた先に、ファンタジー世界黙示録が開催されていたらどうしよう。
ええい、ままよ! 男は度胸! こんにちはー! どなたかいらっしゃいませんかー!
お、足音が聞こえるぞ。鬼が出るか蛇が出るか。ばっちこい!
扉が少しだけ開かれた。そこには、フードで目元を隠し口元だけを露出した、おそらく女性の姿。赤茶色の髪がフードから一房こぼれていた。
「だれ」
平坦なお声ですね。キュートです。ここは礼儀正しくいかねば。錬金術の為に。
「突然のご訪問で恐縮でございます。はじめまして、私はリュウと申します。エドガー神父に紹介されて参りました。錬金術師殿ですか?」
「そう。なに」
「私、錬金術を学びたいと考えております。誠に不躾ではございますが、お話をお聞かせください」
「むり」
その一言で扉は閉じらました。
取り付く島が、ねえええええ。
クソ神父の名前だせば、何とかなるんじゃねーのかよ!?
錬金術師への道はこれで終了…? うっそ、マジで?
呆然としていると、扉が再び開き、錬金術師殿が本を地面においた。
「やる。よめ」
そのお言葉だけで扉は閉じられてしまった。
何だこれ。文庫か? なになに、マリア著『ミジンコでもできる錬金術』? 尖ったタイトルだなー。
だれマリア。
```
【NOTICE】
・ クエスト「偉大なる錬金術師の教え」が開始されました。
・ 『ミジンコでもできる錬金術』を読破しよう!
・ 『ミジンコでもできる錬金術』に記載されている全てのレシピを練成しよう!
```
クソ神父に続き2つめのクエストだ。クエストって簡単に発生するんだな。そして、タイトルがめっちゃ壮大。
さっきの錬金術師殿が偉大なのか、著者のマリア某が偉大なのか。どちだろう。著者かな?
さてさて、どこで読むかな。初期位置に噴水あったな、あそこでいいか。
◆
全然すすまねぇ…。15分かけて3ページとは、まだまだ残りがあるぞ。まず、1ページあたりの文字数多すぎ。言い回しが難しい。三冊目に読むレベルの本ではないな。SP消費して帝国語スキルのレベルを上げるか?
まだ未使用で進めれているのに、なんだか負けた気がするな。やれる限りは自力であげるか。
しかし、表音文字だけなのは助かったな。これが漢字のような表意文字あったらアウトだった。
頑張ろう。
………
……
…
```
【CONGRATULATIONS】
・ 帝国語 のレベルが上昇しました! (Lv: 2 => Lv: 3)
```
アナウンスが流れた。ふー、集中が切れた。読めたのは、12ページで、トータルで15ページか。時間を見ると、1時間ほど読んでいようだ。
総ページ数は、300ページってところかだし、読破率5%ですか。まだまだあるな。
しばし休憩しようか。
俺が着ているボロ服の上に革鎧をつけたキャラがけっこういるな。というより、ボロ服オンリーなキャラが居ないな。まさか俺だけ…?
そういえば、プレイヤーかNPCかを識別する方法ないのかな。設定は、っと。
あれ、表示に関する設定項目なにも無いぞ。ログアウト、掲示板、問い合わせ、ヘルプ、以上。設定ですら無いじゃないの。
ふむ。ま、いっか。
さて続きを読もう。
………
……
…
やっと導入の章が読み終わった。1時間で15ページか。スキルレベルが上がったからか、読むスピードが心持ち早くなった、かな?
錬金術とはざっくり言えば、『魔力を用い、物質を変質させる技術の総称』って感じみたいだ。魔力という謎ワードが、さも当然のように幾度となく登場する。なんとなく嫌な予感がするが、読み進めていく。
次の章からは実際に錬金術を行って基礎を学んでいくようだ。
『図に示した錬金陣を錬金盤にチョークで描き、陣の中央にルナリム草を配置し、錬金陣に魔力を循環させよ』
錬金盤? ルナリム草? 魔力?
やっぱりねー! 嫌な感じしてたんだよねー! 一筋縄じゃ行かない気配っていうのー? そういうのがねー、分かるんだよねー!
落ち着け、俺。錬金盤とチョーク、さらにルナリム草はまあ良いだろう。多分買える。金で解決できるハズだ。
問題は、『魔力を循環させよ』だ。まず魔力ってなんだよ。MPの事か? 循環って事はどうにかして錬金陣とやらに流さないといけないよな。
どうやって?
はーい、つんだー! むりー! 錬金術むりー!
諦めるか? いや、ない。それはない。
錬金術師殿に聞くのはおそらく無理だろう。じゃあ、クソ神父か? ないな。あいつにこれ以上の借りをつくるのは、なにか危険な感じがする。
どうする、なにか解決策があるはずだ。
本、か?
錬金術の入門書があるんだ。魔法もしくは、魔力についての入門書もあって然るべきだろう。
よし、図書館を探そう。
◆
やって参りました図書館。場所は露天で野菜を売ってたおばちゃんに教えてもらいました。りんごうまい。150Gでした。串焼きより高いとは。
あ、ちなみに、入館料はタダらしい。やったね。
入ってすぐの受付に、神経質そうなあんちゃんが居た。美女じゃないのかよ。
どもども、こんにちは。魔力の操作について知りたいのですが、いい感じの本ありますか? できれば分かりやすいヤツで。入門者向けの。ふむふむ、あっちですか。『猿に教える魔法基礎』ですか。ありがとうございます。あ、筆記用具とか売ってたりしませんか? メモ取りたいんですけど。300Gですか。買います。
- - -
魔力とは、生きとし生けるもの全てが持つ力です。
もちろん、あなたにも魔力は存在します。
心を落ち着かせ、体の内側に意識を向ければ魔力を感じとる事ができるはずです。
さあ、やってみましょう。
- - -
ふぁ?
お、おう。やったろうやないか。
試しに、目を閉じて深呼吸でもしてみるか。図書館という静謐な環境もあって集中できそうだ。
ゆっくり吸って、ゆっくり吐いて。内側に意識を向ける。
みぞおちあたりに、なんかこう、モヤっとしたのがある、ような? これ…か?
よし、とりあえずコレのモヤっとエナジーを魔力って事にしよう。
- - -
感じ取ることが出来ましたね?
次は少し難しいです。魔力を動かして見ましょう。
- - -
動かす。どうやって?
まあ、まずは深呼吸。モヤっとエナジーを、動かす。動かす。動いてる、か? ヘソの方にわずかに移動したような。いや、動いてる動いてる。よしよし。仮称モヤっとエナジーはやはり魔力だな。
やばい、順調。
- - -
動かせましたね?
続いては手のひらに魔力を動かし、「ライト」と唱えて見ましょう。
- - -
お、ついに魔法の発動か。
魔力を、手のひらに、動かしてっと。カタツムリの移動速度と同じくらいにしか動かせないから、そこそこ時間かかるな。
動け動け、はよ動け。
よし、手のひらまできたぞ。初魔法発動だ、気合を入れるぞ。
いくぞ、いくぞ。
クワッ!
「光よきたれ、『ライト』!」
ペカ、っと豆電球ほどの光の玉が手のひらから浮かび上がった。
おお、魔法か! これが魔法か!
```
【CONGRATULATIONS】
・ 魔力操作 (Lv: 0) を習得しました!
・ 光魔法 (Lv: 0) を習得しました!
```
きたあああああああああああ!!!
俺大歓喜!
刀剣スキルや錬金術と違って、すごい順調!
「お客様、他のお客様へのご迷惑となるため、館内ではお静かにお願いいたします。また魔法のご使用はご遠慮ください」
あ、はい。ですよね。すみません、気持ちが高ぶって周りが見えてませんでした。以後気をつけます。
◆
さすがに恥ずかしくなったので、『ライト』以降に出てきた魔法をノートにメモして図書館から離脱した。
錬金術を試すためには、『錬金盤』、『チョーク』、『ルナリム草』が必要だ。さーてどこで売ってるのかな。
錬金術師ギルドとかないのだろうか。
ん、視界の端で『!』マークがチカチカ。なんだこれ。
```
【WARNING】
・ 満腹値が 5% を下回りました。
* 満腹値が 0% となった場合、全パラメーターが 30% 低下します。
* 満腹値が 0% のまま一定時間が経過した場合、状態異常『飢餓』となります。
* 状態異常『飢餓』のまま一定時間が経過した場合、死亡します。
* なお、就寝中及びログアウト中には満腹値は減少しません。
```
なんだと!?
………
……
…
```
満腹値: 75%
```
ホットドッグおいしいです。なんとか危機は脱したな。あせったわい。7時間で満腹値が尽きかけたのか。外出る前には回復しておかないと、支障がありそうだな。あとは携帯食料も用意しておくほうが無難か。
さて、出鼻を挫かれたが、屋台の親父に錬金術師ギルドの場所も聞けたし、よしとしよう。
こんちわーっす。
おお、頬杖をついた気怠げな美女がカウンターに。ぐっとです。
「どうも。錬金術を学ぶために、錬金盤とチョーク、あとルナリム草が欲しいのですが、購入する事は可能でしょうか?」
「あー、あるけど、あんた異人だろ? ちょっとなぁ」
「もしかして、異人には売れないなどの規則があるんですか?」
「いや、ないんだけどさ。ま、とりあえず見せるよ」
ドンとカウンターに置かれたのは、50センチ四方、厚さ10センチ程の器具。
音から察するに重さもそれなりにありそうだ。
なにが問題なんだ? あ、高いのか?
「これだよ、値段は5000G」
初期の所持金の半分だが、買える。問題は値段じゃないのか。
「こいつは基本的に家や工房に置いて置くもんでね。異人ってのは、探索なり狩猟なりするんだろ? あんた、これ持ち歩いて歩きまわんの?」
そこかー。そこかー。
「貸工房もあるけど、アレはギルド員のためだし、錬金スキルがないとギルド員になれないよ」
おうふ。心が折れそう。
SPで錬金術スキル覚えるって手もあるが、俺は逃げない!
「錬金盤を使う以外に、方法はないんでしょうか」
方法がなければ逃げます。
「あるっちゃあるけど。たぶん無理だけどね」
あるなら、やったろうやないか!
「まずね、錬金盤なんだけど、これ言っちゃえば魔力操作の補助の為にあんの。表面が魔力伝導率の高い金属のメッキで、魔力を流しやすくなってるわけ。で、チョークで錬金陣を書くのは、魔力を誘導するため。つまり、高度な魔力操作技術があれば、錬金盤もチョークも必要ないって事。まあ、高位の錬金術になると複雑な錬金陣を使うし、魔力操作だけじゃほぼ不可能なんだけど。わかった?」
つまり、気合で出来るって事か。
「やる気に満ちた顔してるとこ悪いけど、ホントに難しいよ? ミジンコ本に書いてあるゴクゴク初歩の錬金陣でも、魔力操作だけでやるとなると、中位の魔法使い程度の技量は必要なんだからね」
けだるげな美女は、一つため息を漏らすと、指を一本立てた。なに掴めばいいの?
おお、指の先から光の帯が! そして、ハートマークに!
「とりあえず、これが出来るようになりな」
合点承知!
あ、もうリアルで11時か。切もいいし、ちょっと早いが昼飯食おう。
ログアウト、っと。
1日目 16:30 (6/1 11:08)
```
【EQUIPMENT】
LV: 1
HP: 20
MP: 10
ST: 10
STR: 10
VIT: 10
INT: 10
MND: 10
DEX: 10
AGI: 10
スキル (SP: 11)
・ 刀剣 (Lv: 2)
・ 不屈 (Lv: 3)
・ 帝国語 (Lv: 3)
・ 魔力操作 (Lv: 0)
・ 光魔法 (Lv: 0)
装備
・ 粗末なショートソード (ATK: 5)
・ 粗末な布の服 (DEF: 0)
・ 粗末なアイテムポーチ
所持金: 9,570
```