異世界に飛ばされた! 神様助けて! ~助けてほしいのはこっちです!~
ある日のこと
「あ~、つかれた~。ホント、最近、時空を缶ビールのようにパカパカ開きよって。開くのはいいが、開いた後には閉めていけつーの。」
「これこれ、愚痴るのはいいが、ちゃんと仕事しろ。」
「そうは言ってもやってられっかー。」
「そう言うな。あっちなんかもっと大変だぞ? こっちはまだ召喚と転移の後始末だけだからな。」
「そう言われるとねー。あっ、また誰かが時空をこじ開けた。閉じないと。」
「いつもいつも後手の対応になるからなー。どうにかして前もって分かるようにならないかなー。」
「ホントそうよね。そう考えると、あっちは開く前に予兆があるからいいよねー。」
「それはそうだが、あっちはな・・・。」
「まあそうよね。あっちは数がこっちとは比べ物にならないからね。」
「ホント、人って何するか分からないよねー。」
「争う相手なんて、せいぜい自分と同じぐらいか少し力が強いぐらいなのにねー。わざわざ時空を切り裂くような兵器を使うなんて『おーばーきる』なのよ。」
「それはそうよね。彼らはいったい何と戦うつもりなのかしら?」
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同じ日の別の場所
「そっちはどうだ?」
「今修復中。あと0.005秒ぐらい。」
「あと少しか。これなら何とか・・・。ん? またか!」
「また誰かアレ使ったの?」
「そうみたいだ。」
「また仕事増やしよってー。」
「仕方ないだろ。我らがどうこうできるような問題ではない。」
「そうだけど~。」
「しゃべってないでさっさと作業しろ。」
「はーい。」
「しかし、なぜ人はあんな兵器を使うんだ? 効率悪いだろ。」
「そういうのを『ろまん』て言うらしいよー。ホラ、人が使っているというナンチャラ百科にも書いてあるし。」
「だからと言って、時空を切り裂くような兵器を使うな。こっちの身にもなれ!」
「それは同意見。」
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同じ日のさらに別の場所にて。
「分けるのめんどー。」
「仕事なんだから真面目にしてください。」
「でもさー、種類が多すぎるんだもん。」
「ですが、この分類分けによって事前に時空の被害が予測できるようになるんですから。」
「でも多すぎるよー。ナニこの『はどうほう』とか、『ちょうじゅうりょくほう』とか、『ぐらびてぃ・ぶらすと』とか、『わーぷ』とか・・・。」
「一応、彼らが使用している兵器の名称ですが。」
「なんでこんなに多いのよー! あんたらは何と戦っているんだ!」
「我に言わないでください。」
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ある日のある時間
「あー、なんでよりによってこの短時間にこんなにも召喚やら転移やらをするかなー!」
「今日はやけに修復箇所が多いぞ! 何があったっていうんだ!」
「今日は何なんですか! おんなじ時間になんでこうも一緒にあんな兵器を使うんですか! 被害予測ができないでしょ!」
「ヤバすぎる! 同じ時にいろいろ重なって変な影響が出始めてるぞ!」
「何! 何が起きてる!?」
「関係のないところまで時空に穴が開いているぞ! 修復を急ぐんだ! 早く!」
「こっちも色々あって手が回せない! 誰でもいいから手の空いている者は手伝ってくれ!」
「穴が開いている時間が1秒を超えたぞ! 早くしないと何かが落ちるかもしれない! 早く!」
「こっちも1秒を超えたところがある! 助けてくれ!」
「こっちは何とか済んだ。今から手伝う。どこだ?」
「ここと、ここと・・・。」
「分かった。」
「こっちもお願いする。」
「そこは我が。」
・・・・・・・・・
「ふ~、何とか終わった。にしてもなんでああなったんだろう。」
「偶然じゃない?」
「それ以外に考えられない、か・・・」
「それはいいとして、確認はしたの?」
「今からします。」
・・・・・・・・・
「・・・・・・」
「何かあったの?
「・・・誰か人が穴に落ちている。」
「・・・ゑ?」
「人が穴に落ちた! どうすればいいんだ!」
「とりあえず上に報告! 対策はその後!」
「何? 人が時空の穴に落ちただと! どこの世界に落ちた!」
「おそらく、ここです・・・。」
「その世界の管理をしているのはアイツだな。よし、分かった。何とかしておこう。」
「ありがとうございます。」
「・・・・・・・本当に、人はろくでもないことをしてくれるな。」