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「とある日の」

作者: 安藤翔

この作品は、とある中学の二年生がとある夏休みに経験した実際にあったノンフィクションの物語です。陸上の楽しさや、悔しさ、全てを感じ取っていただけたら幸いです。

七月三十日、港北区大会が開催された。自分はこの大会で百mと四百m、一年生二人と二年生二人で構成される低学年リレーに出る。

目標はもちろん男女総合優勝。その一つのみ。

朝九時、大会最初の競技でもあり、自分の出る最初の競技、四百m走が始まった。自分は一組目、第7レーン。良いとはいえないが、悪いともいえない。最初に走れることは、後の体力回復の面でもかなり良いかも知れない。

スタート場所現地十分前コール後スタートはすぐ来た。一組目だから当然。足が震える。体は高揚感に満ちていた。第七レーン。自分はコーナー。特に急なコーナーをとく意図する方だったから外側って言うのは正直悪い。まぁ、そんなんで走りが変わったらランナーとして失格だ。

「オン・ユア・マーク」

軽く挨拶し、軽くジャンプ。肩周りを良くまわす。そしてSBにはいる。一瞬緊張が体を過ぎる。しかし、それくらいは慣れている。体を落ち着かせ、スタートに備える。体の緊張も確実に取る。早く走りたい。心をこの一つにする。

「セット...」

今にも飛び出したい。早く走りたい。そんな気持ちを抑える。

「パンッ」

飛び出す。スタートが少し失敗した。足がすぐに落ちなくてスピード

に乗れない。後半どこまで追い上げれるかの勝負になってきた。二百メートルが過ぎ、足がつらくなる。さあ、ここからが普通短距離では味わえない自分がもっとも好きな意地と意地のぶつけあいだ。三百メートルを過ぎ、太ももが上がらなくなってきた。そこで味分は思った。おかしいと。だって着実に前より足が上がらないのだ。

体の故障とかは全くないし、つい先週の区民大会でベストを更新したばっかだったのに。

ゴールがやっと見えて、倒れそうな中、ゴールした。本当に突っ込むようにゴールへと。タイムは57秒。前より一秒落ちていた。軽くなきそうになってしまった。誰だって過去に負けたら、それはそうなると思う。ただ、ここでくじけている場合ではない。後二種目。自分には残っている。

テントに帰って次の自分の出る百mまで休むことにした。

九時50分。百m走の召集が始まった。自分の組とレーンは1組目の6レーンだ。百mでは、まず、自己ベストを出すことを目標とした。で、出来るなら十一秒台を出すことを目標とした。

男子一年百mが終わり、二年百m、自分の組になった。

SBより手前にある緑の線に立つ。声がかかるまで体をたたき、もみ、肩を回し、スタートに備える。

どこまで早く走れるか。自分自身もとても楽しみになってきた。コンディションは四百mと違い、かなり良い状態。百メートルは四百のようなミスはしない。心にぎりぎりまで言い聞かせる。

「オン・ユア・マーク」

風はない。グラウンドもいいコンディション。さぁいつでも来い。

「セット」

腰を上げる・・・とりあえず去年2位であったので、去年3位以下の人には絶対負けたくない。港北区の二年百mでは、篠原が速かった。とりあえずそれについてけるだけ着いてく。そんなことをスタート直前に考えた。が、すぐにもみ消した。そんな事考えている暇ではない。

「パンッ」

スタートした。二〇mまで体があがるのをなるべく押さえる。だんだんと上げていく。今は、2位。前3m~5m先に篠原の二年生が見えた。やっぱ早いな。ただ、自分のそばには他に人は見えなかった。後半も絶対速度を落とさないよう、むしろあげるつもりで走っている。ただ、篠原の二年生はどんどん離れていく。速すぎ。

「今年も負けるのか」

そんな事が脳裏に過ぎったがそんな悠長なことを言っている暇は0.一秒、いや0.0一秒もないのだ。思い立った瞬間頭から捨てる。そんな事思っちゃ、勝てるはずない。今は、無理に追うより、自分の順位をキープすることを重要視して走ろう。ゴールが見える。ゴールラインを超した。そのとき思わず声が出た。

「くっそ」

あまりにも悔しかった。去年と同じ人に同じタイム差で負けていたからだ。一位が11.66。自分が12.31.ベストは出ていた。ただとても悔しい。そして、幾度も練習したがそれでも足りなかったことに気づかなかった自分に怒りを覚えた。

「来年こそは。来年こそは篠原の人に勝つ」

と思った。去年も思ったんですけどね。

百m終わった後、次の種目まで六時間もあっる。この間に、ハードル、二百m、八百mがあった。当然応援をした。そして、この長い時間の間に何回かアップした。足がよく動くようにするためだった。

そして、スタート一時間前になった。腕の確認やスタートの確認。全てサブトラックで行った。

同じことを一年生にも指示しておいた。自分だけができても意味ないからね。

そしてボーットしていたらいつの間にかリレーの召集時間になっていた。今回の構成は、一走者目がうちの学校で二番目に早く、スタートに特化してるやつ。二走、三走が、今年入ってきた一年生だ。正直、練習はかなりやってもやはり、大会でリレーを走るのは二回目の一年生はどうしても心配する。自分たちの学校は1組目4レーン。シードレーンだ。最高。召集も終わったので付き添いの後輩に荷物を預け、軽くアップをする。ジャンプとか軽くジョッグとか。体を暖めながら一〇分間を過ごす。この一〇分は、正直三時間ぐらいに相当するんじゃないかな。走りたいって気持ちとミスしたらという緊張とのハザマに揺れるからである。そんなこんなしていたら一〇分がたっていたらしい。1走者目の二年生がSBを用意している。で、自分もレーンに入ってチェックマーカー用のテープを指定の歩数分あけて張る。で、全員の準備が終わった合図に、係員がなにやら信号を出していた。とうとう始まるんだ。今年で走ることが最後になる低学年リレー。このメンバーで走る最後のリレー。二年生として迎える最後の区大会。最後の低学年リレー(二回目)。心が高まる。高揚感が凄い。一走者は二年生で、スタートが抜群に上手い人だから心配ない。

「オン・ユア・マーク」

四走目の自分のところまで聞こえる。ついに始まる。絶対一位でゴールする。そして、学校の相互優勝に貢献する。自分の低学年リレーとして今までやってきたことを全て出す。一気に。

「セッート」

くる。ついにくる。いつでも来い。どんな順位で着ても一位に踊りださせてやる。

「パンッ」

一走がぱっと飛び出す。高中は2位?1位?いい位置。走りも悪くない。というか最高に近い。二走者にバトンが渡ろうとする。少し詰まった様子だ。ただ一応渡った。やっぱり二走者目には二年を入れている学校が多くて、一年生を二走者目に入れているうちの学校は速さ的に四位まで下がってきていた。それでも、一走の人が結構な差を作ってくれたので、そこまでの差はない。こののままの順位、差で自分の所まで来れば絶対全員抜かせる。三走に渡ろうとする。

「ハイ」

四走の位置にいる自分のところまで確かに聞こえた。がしかし、上手く渡らない。

と思った瞬間叫ぶような声かなにか。

「止まって」

うちの二走の人の声だ。確かに聞こえた。止まれって。三走が出るのが速すぎたのか。二走が渡し方を間違えたのか。何にしろ、直に見ていない自分にはどちらかわからない。ただ、最下位で自分のところに着てることはわかる。途中で止まってしまっているから当然だ。ただ、一応バトンは渡っている。差は結構広めだけど、自分と相手の走力を比べると、バトンパスさえ上手くいけば、最低限入賞、運よくば、優勝が狙える圏内だ。

出る目標のチェックマーカーを3走の一年生が踏んだ。見えた。良く、ミスに対応してここまで持ってきてくれた。後に顧問の先生に言われて知ったことだが、二、三走のバトンミスは、落とすレベルのミスだったらしい。ただ、それを落とさず持ってこれたのは三走の一年生の臨機応変さが合ったかららしい。nice一年生。三走の人がチェックマーカーより一足前に出た。独特だがこれが自分のスタートのやり方だ。瞬間で出る。隣の人たちは全員もう出ている。五~一〇mは前に出ているかな。どこまで追えるのか。楽しみでしょうがない。ただ慌てない。練習通りやるだけ。本番も練習も何も変わらない。走る、貰うという行為については。

「はいっ」

声が聞こえた。手を後ろに出す。手に渡った。その瞬間手を前に出し、大きく振る。

6位。最下位できたバトンをどこまで上にあげれるかが勝負だった。当初の目標とかなり代わってしまったけど、そこは臨機応変にするしかない。自分の力でどこまで追えるかな。さあ、責任を取ろう。

スタート10mで5位を抜く。抜かしながら思う。遅いとね。3位と4位はほぼ横に並んでいる。抜かしやすい。というか、見えるって事はだいぶ追いついてるんだ。後少しで追いつく。一気に追いついて抜かしてやる。ついてこう、とされない位の速さで。ゴール間際残り15mの地点で一気に追い抜いてく。とりあえず入賞圏内確定。まだ、まだ、一五mある。最後まで諦めない。一、二位を狙い続ける。もうあと少し。目の前にいる。スピード的には完全に1位と2位より速い速度で走っていた。追いついてきていたから確実にそうだ。ただ、四百、二百メインの自分にはあまりにも残りの距離が短すぎた。二走はあと少しで抜けそうだった。が、もうそのときにはゴールラインを踏んでいた。

結局最後は3位でゴール。入賞圏内だけど、一生思い出す悪夢のような悔しさと、トラウマのような物に襲われた。というか本当に悔しすぎて、水道の所に腰をかけて、付き添いの同級生の女子に荷物を持たせてるのに号泣した。本当に、本当に悔しすぎた。後10mあれば絶対絶対一位になれていたもう、自分の目前まで迫っていたのに。もし二、三走のバトンのミスがなくきていたらどうなっていただろう。確実に一位でここ。スタートでもあり、ゴールでもある所に戻って来れたはずだ。いや。二、三走のせいだけでこの悔しさが出ているわけではないだろう。何よりも悔しいと思う原因は六位で来たバトンを一位まであげることの出来なかった自分自身の走りの弱さと、臨機応変さにとても悔しいのだろう。その後付き添いの女子に引っ張られながら、押されながら部活のテントに戻ったけどそこでも泣いていた。反省のミーティングをするまで。ずっと。何で二、三走がバトンミスしたのか。正直これは自分がやっぱり良くわかるんだと思う。自分も一年生のとき三走を走った。そして、バトンをミスした。やっぱり、緊張とか、先輩に渡すって言う使命感による緊張や、周りの人をどうしても気にしちゃうって言う一年生独特の悩みとかがあるんだと思う。だから、自分も二、三走のミスを決して追求しないし、他の人も追及しない。全員がわかっているからだ。そして先生がこういった。

「もう、低学年リレーはこれで最後だ。後はない。が、絶対個人個人の役に立つ。とりあえず、今回は三位で我慢しろ。来年共通と低学年リレーで一位とって見返してやろう」

そうだ。来年。絶対見返す。今回の悔しさにかけても。絶対。絶対。今度は一位を取り、誰にも追いつかれないようなさでゴールラインを踏んでやる。そんな気持ちになった顧問の先生の一声だった。

全ての種目が終わり、閉会式並びに結果発表が行われた。

最初はリレーの結果発表から行われた。

低学年女子の一位はうちの学校。男子の低学年は三位。一応二つとも賞状圏内だった。共通リレーは男女4位だった。3年生にとっては辛い結果。と思った。今年最後。部活で最後のリレーだったから。自分の数倍くらいの悔しさが先輩たちにはやっぱりあったんじゃないかなって思う。

そして女子総合の結果発表が始まった。

女子総合三位...日吉台。これが言われた瞬間うちの学校は駄目だ。とほぼ全員が思った。毎年、その学校には勝てたことがなかったからだ。大体うちは四位っていう微妙な位置にいる。そして次に一位が二校あったので発表された。一校目は、大綱。強豪中だ。全国に駅伝やら長距離で何人も言っている。この時点で、うちの学校はは諦めていたが次の瞬間、歓喜に湧いた。

「一位。高野中」

まさかの一位を取ったのだ。みんなが騒いだ。女子も男子も関係なしに、部活全員が喜んだ。ありえないくらい大きな声で。そりゃ歴史的快挙だから。しかし、喜びは一度ここで止まった。

男子の結果が発表された。結果から先に言うと

高中は三位だった。これはこれでみんなが喜んだ。入賞したからだ。男子が入賞したのは20年ぶりくらいのことだ。しかし、この後どちらの喜びも越える出来事が起きた。

男女総合優勝発表が最後に行われた。うちの学校は絶対今年は無理だな。と思っているものだ。しかし、

「一位。高野中」

まさかの総合優勝をしたのだ。あまりにも驚いて声が出なかった。そして、その瞬間が終わった瞬間全員が歓喜に湧いた。ありえないほど喜んだ。泣く三年生も居た。うちの学校が総合優勝を勝ち取るなんてこの大会で始めてた。四十何回目かの初優勝。悲願達成。先輩たちも成し遂げれなかったことを自分達がとうとう成し遂げた。ありえないぐらい喜ぶ、というか、そんなんじゃ足りないくらい。悔しさも多くある。が、この喜びはそれの代償には丁度いい。というか、悔しさが足りないくらいだ。確かに辛いときや悔しいときも本当に多くある。陸上というのは。ただ、団体であっても、いずれ、その練習が実を結び、こういう目に見える、団体で勝ち取った、大きなものとして見えるんだ。と本当に感動した。地道な練習をみんなでずっとずっとずっとやってきたかいがあった。ずっとサボらず。こうして、夏の一大大会は幕を占めた。

自分たちには来年もこれを続ける役目がある。そのためにも今後も練習をサボらず、着実に積まなければならない。そう強く思った。そして、区大会の連覇はもちろん。次は中学総合体育大会陸上の部で一位を取る。これが部全体の目標となった。これは、自分たちが成し遂げた快挙によって進み、設定されたものだ。まだまだ、市では、一位どころか三位県内にももちろんは入れていない自分たちの学校だが、いずれ、区大会のように、こつこつ細かいことや基礎練習をしていけば、何十年かかっても、優勝できる年が来るのだ。それまで、自分たちはやはり、凄い細かいことや基礎のこと。そして何より、幾ら悔しくても、幾ら投げ出したくても、自分が嫌になっても、練習をし続けることが絶対大切なんだということを心の中で思うと同時に、全員にこの考え、思想を共通したくなってきた。これは、とある中学校の陸上部の二年生のとある夏のとある日のとある大会のときの出来事である。




どうも筆者の翔です。今回は、「とある日の」を読んで下さり誠にありがとうございました。ちなみにこれは、ノーフィクションです。先述しますと。全て実際にあったことを短い小説にさせて頂きました。主人公の悔しさや喜び、その心情に秘める思い、終わって考えたことまでをギュッと小さく圧縮しましたが楽しんでいただけましたでしょうか。そして、それが読み取っていただけたでしょうか。それと同時に、陸上競技という、誰でも出来るようなスポーツが、どんなものか、そのワクワク感をこの小説にて、少しでも味わっていただけたり、知っていただけたりしたのなら、私としてはこれほどうれしいことはありません。今後、随時書け次第、出していこうと思っております。どうぞ。ご期待ください。

そして、再度言うことにはなりますが、「とある日の」を読んで下さり誠にありがとうございました。


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