人間的機械
夜が明けて、目を覚まして、本起動に移る
なんとなく頭に引っかかるような気がするといういかにも人間らしい動作をかましてみる。
ただ、これは感情表現機能……一種のまがい物。
などと言われた記憶はあるのだけど、結論、思考型という時点で私という個人がとらえることが出来るなら
それは、人間の機能を機械に置き換えたに過ぎないのだから、人間でいいはず。という考えに至った。
……昔の自分はずいぶん難儀なことを考えて遊んでたのね
吐く息が重く感じられた。それとともに、目覚めに良くある
もやもやとした闇をはらしつつ。
そういえばと思い出して
なぜか記憶に残らない夢にいやな気分を覚える。
本来ならば記録に残り
夢として分析する予定なのだけど、それもできない。となると?
その中身が分からないこともさながら
その原因もわからないという恐さ
やはり未知は恐怖。私の記憶外に消えてしまったものはまた戻すのは出来るとしても
そもそも知らないモノは対処のしようもないのだ。
そんなことを、さておいて。普通の考え方をしよう。
とりあえず、休憩場所から待機場所までゼロ秒移動を行い、
……私はキョロキョロと周りを見渡した
見渡すまでもなく見えてはいるのだけど、その方がより見えるような気がしたから。
「あれ……?今日はいないのかな」
そもそもこないはずもないのだけど、なぜなら私たちは兵器だから。
戦わない兵器なんてない。戦うからこそ兵としてうごく武器なの。
それにしても、おきる時間のタイミングぐらいは大体同じはずなのだけど。
長すぎても問題あると判断して、昔に一律にされたはず。
ただ、それにしたって、誰もいないというのは不思議……などというのは毎日の出来事
ただ、いまはすこしさびしく感じて思わずつぶやき、ふと気づく。
まだ、アルスとあってから二日とたってないことに思い出す。
……三日目にして、私、墜ちる。
ちょろすぎにもほどがあるんじゃないかな。うん。
一応にして、私以降の機械は感情という概念がとりつけられているから
時たま―数的な問題で少ないだけだとは思うけど―兵器の間でもあったらしい。
から、決して異常なことではないけど、それにしたって早い。
と、思ってから思い直す
単純に信頼してるだけなら、ちょろい。なんてありえない。か。
うーん。あわてていたのね……
すこし、人間的な部分だけ取りすぎてしまったのかな。と、後悔する。
ただ、私の本能(根幹部分)がもう残りわずかだと察してとっさに保存拒否したのだけど。
それと同時に人間性だけもう一度とってきた。
つまり、その部分は再び保存しないといけなくなる。
もっとも、またすぐに別部分から保存が始まって結論私はデータに収納されるわけだけど。
……よく考えればどうして、保存の拒否したのかもわからないわね。
しばらく待てば完全に保存が終了して、データの複製が完成するからかつてのように動けるんだけど。
ふむ、エラーかな。私の思考回路。
そんなこと言ったら、あの日にさっさと全データ消滅しとけばいいんだけどね。
やはりどうしてか、人間的すぎる……
今からでも保存を先に回した方がいい気がする、なんて思うのだけど
それでも…………?一体私は何を気にかけているというのかな。
――――ッッッ!!?
ザザザッと音がして空気が揺らぎ、アルスが
いきなりに出てきた。素知らぬかをして、髪をゆらしてきた。
少し、少しだけびっくりした……。
「どうかしたのか?」
ふと、アルスが私の前に現れて尋ねる。
何もないんだけどね……と小声で返し、このどうも私以上にでたらめな気のする人……じゃない
兵器のことをさておいて。思った。
何もないけど、突如とされるのはとっさの武装展開を招くんだよ?と言っておきたかった。
突如として現れて奇襲するタイプの影兵器など多くいた。
確かに、ワープはありふれた技術だけど。
ただ、それは兵器系統のみの話で。
それを可能とする技術はもう戻っては来ない。
唯一出来るとすれば、あの人だけ。……のハズ。姉さん……
兵器ならば余裕こと。ただ、エネルギー消費が激しいはずなのだけどね
光、影としていることのエネルギー。
……影と光の行動の差異から生まれるもの。
あの事件から始まった行動、意思の乖離それに基づく科学の発展方法の異なり……。
人間が本来生きる、死ぬはおおよそ確定していたけど、
裏と表で徐々に変わってしまった。
前に影は神隠しの原因ではないかとされていたのは分かるとは思うのだけど、
その際影は光の人間を吸収していたと考えれるのね。
だから、影は光を、エネルギーとして吸収できる、と考えたらしくてね。
であるならきっと逆のこともできるだろうと、開発者は考える。これは当然。でしょ?
そんでもって、光でも影をエネルギーとして吸収することが出来るようにした。ってところ。
感情的なエネルギーではなく、物質的に存在していることのエネルギーを吸収してる。から、本当はこっちも触れれば相手が吸収されるはずなんだけど、
お互い兵器同士で人間ではないから回収できない……。
ただ、駆動の中心となるエネルギーのコアは兵器ではあるけど、破壊してしまえば回収できる。ってお話し。
もっとも、相手はゴースト……幽霊のように無質量物体――それを物体と呼べるかは別として――で構成されてるから、触れることは出来ず、
回収を防ぐための装甲があって、エネルギーを奪い取っての戦闘勝利が出来ない……
けど、コアだけはエネルギー漏れを防ぐために無質量では出来ないから弱点になる……
弱点を叩き斬るなり、壊してしまえば私たちの勝ちということね。
こんな複雑なエネルギーとは別に、単純な電気的なもの。も一応エネルギーではあるけど、いわゆる緊急用エネルギーではある。
「無駄使い、よそうね?」
驚きを隠しながら前に現れたアルスに問いかける。
転送は何せ空間を飛ぶんだから、機械がない状態だと結構エネルギー食うの。
さっきも言ったけど。
「なにを驚いておる、今更だろう?」
……ずいぶんと割り切ってらっしゃいますのね、いいですわ。別に。
「それに、余には回復が本来とは別にあるからの。……いや、最近できた機体ならだれでも持っているはずだが…?」
待った、そんなもの知らない……私は……
おかしいわね。その機能は最近なら私は一番初めでしたっけ。
うーん…?
撃破以外に何かありましたっけ。
あいまい…どうして機械のくせに記録の破棄ができるのです……?私は。
……ダメ。ね。さっぱりわからない。次の夢に設定してゆっくり考えておきましょう。
私の疑問と、夜から感じる気味の悪さに
「そろそろ、行かない?アルス」
勧誘をかけ、そして、いかにもな理由を立てる―どうせ行かないといけないことは変わらないのだけど―
「昨日のではまだ足りてないよ。いくらエネルギーがあるとは言え、速めに狩って補給しないと大変じゃないの?」
……あっ、と気づいた風のアルス。
「もしや、お主。それが別の回復方法とは知らなかったのか?」
へあぁっ!?
「い、いや……知って……ないです。」
「それでお主を戦闘狂のように感じたのか」
「戦闘強とは失礼なっ……補給のためだからね?」
バトルジャンキーなのは認めなくはないけど、主な理由はほとんど補給であって、
戦闘に快楽もとめてるわけではないんだけどね。
まったく、ひどい誤解……かもしれない。
それより、他に回復法なんてあったかしら……
「そうか、お主、知らないのではなく、その機能がないのだな。了解したぞ」
「さてや、もう、エネルギーが少ないのか?」
又、何か読まれた。ちょっと不気味に感じてきたよ……。
確かに少ないけど。なぜ知ってるのかな……
「もちろん、それは様子を見ればわかるぞ。夜に何かあったんだな?それで使ったのだろう」
夜・・・?なんもなかったはず・・・。
「何もなかったと思うけど。それより、早く、掃討戦行かないの?」
何か恐怖を感じてそう誘った。
さっきよりより強く感じた気味の悪さに。
それ以降、何もない。
小学生の日記よりひどい発言だけど、
何もないものはないんだからしょうがない。特筆することが一切ないの。
言うとすれば、
ただ、影を狩りまくっただけに過ぎない。
そろそろ一拠点の制圧回復が完了しそうになると
「ねぇ。アルス、今日はどこに行く?」
と切り出した。
影は消えつくすことはない……
全てが復活するわけではないけど
光側の人口が極端に減ったせいで影側は極端に増えた。
理由なんて簡単。シーソーで片方だけ乗ってれば片方だけが沈むように。
そして、そこに地面がなければどんどん加速しながら最終的には限界値を少し超えてから一定値にとどまる。
それと同じように、
光側が減ったら影は増えて、それを繰り返して、徐々に加速して、いまが丁度限界値でとどまろうとしている頃
だと、思う……。
どれほど、人間が残ってるかは知らないけど、エネルギーが減ってるなら多分光側は相当少ないのだろう。とはわかる。
結果影があふれて、消しても消してもすぐに出てくるわけだけど。
一応復活するまでに時間がかかるから制圧する価値はある。ということみたい。
その制圧の瞬間に基地に情報を渡して
基地施設の再起動を行う……それとともに、現在の基地の防衛もしなくてはいけないから
あそこにいる彼ら……彼女らは大変なものね……。
っと……
どこに行くのかな。
まぁ、多分、適当に回って影を消していくだけだろうけど。
「今日は……――へ行こうか」
……?何といったの?
き、きこえてな……
「とりあえず、余の後に付いてくるといい。」
そういって私の手を握り、歩き出した。
「ちょ、ちょっと……どこにいくというの!?」
っ――
「多分、ロミィに大きな関係のあるところだが?」
わけがわからないわね。
そして、歩き始めた。
もっとも、人間に視覚することはできない。普通に歩くこともできるけれども、ここでの歩くというのはいわゆる
その地点に向かうという意味しか表していない。速度は、そこに、関係していない。
そういうわけで、おそらく人間としての常識を外れて目的地につく。
……私の記憶の保存地……?
記憶(録)にのこる、わずかな断片から考え付いた。
土を盛ったような小さいドームに少し上に植わったスカビオサ。
私の記憶の保存地でもあり、兄さんの……
「どういうつもり?」
「何か気に障るか?ロミィ。ただの、溜まり場だろう?影の」
何か知ってるということね。私の過去。いや、知ってる内容が記憶関連なのは確実だけど、誰から聞いたのかしらね。
それ以上に、それは気にする必要がない。ってところね。
まぁ、いいわ。
「そ、なら片付けますか。それで、良いんでしょ?」
「もちろんだ。さっさとここ一帯を掃除するのだ。」
どんどん掃討しないと私の場合補給が出来ない。正確には私の回復方法はすでに、それしか残っていないらしい。
記憶も残ってないから、断言することすら許されていない。
うーん……どんどん私の機能が落ちている……
当然のことではある。
保存という名の封印だ。だから、本来はバックアップ取るだけなら、データ。私の機能は残るけど、
どんどんと減っていく。機能が。
だから、どうしても……限界がある。どんどん無力になっていく。
っ……と!?
殺気のない気配に飛び跳ねて回避する。
殺気がないわけではないのだけど、何せ相手が兵器だから気づきにくいからこそ。
また別の方法で察しなければならない……その別の方法というのは……いわゆる何となくというものだ。
ほぼ自動化されてるけど、あえて言うなら音。
なっ……もう一個いたかっ!!
「アルスッ!援護ッお願いィッ」
こちらにもコアというものはあるし基本装甲で囲われた私達は一発で終わることはないけど
それでも余り被弾はよろしくないのね。
そんなことより、
私の思考回路も危ないようね。知らぬ間にデータがどんどんと飛んでいってる様子。
同時的な平行思考も厳しくなってる……予測は無理……無双はできない……
通常モードの剣でほとんどやらないといけない……複雑な操作は無理ってところ。
「あわてずとも良いぞ?」のんびりと戦場を感じさせない風に声をかけてくるアルス。
「ず、ずいぶんっと……余裕だね……っ」無理やりに回避をはさみ強制存在消去的な攻撃をかわし、
――当たっても終わるわけじゃないけど――
貰った剣を自分用に改造した剣をフルに活用する。
そんなに落ち着いてる場合じゃない……精一杯だよ。辛い所があるね
「展開ッ!!」
剣を散分させ、範囲攻撃をはさみ、影を破散ッ
即座に収縮、原型を戻し一時離脱っっと
「展開、ワイドレンジ!」
ひとまず、さばけない影には武装を変形させて盾となるように再び展開させた。
とりあえず、剣が攻撃を防いだから大丈夫。
そしたらっ
生成できたフィールドで影をアルスに寄せる……
行けるねッ!?やちゃって!
言葉に出せなかったけど、きっと伝わったはず。
にやりと笑うアルスを見たら確信した。その振り回した鈍器でいつものように叩き潰して、
制圧を完了した。
記憶保存地の周辺にしばらくは復活はしないでしょう。
「早かったね。いつにもまして」
「お主こそ、良かったぞ。しかし、大丈夫か?損傷はないのだな?」
さっと見て、無いことを確認した。
ないようね。よかった。私はそう返した。
一方で急激に落ち込んでく私の性能に嫌気と失望をしつつ。
今回の戦闘は開始してから
たかが3分で終了した。
されど3分、私の機能ではぎりぎり……
ということなのね、情けない限りだわ。もうすこしまともに
っと。そもそもさっさと保存を終わらせれば復帰したときに再び元のような性能は出せると思うのだけどね。
なんか、まだ、未練がある。
ってことなのかなぁ……
それより、アルス、そちらは問題はない?
もちろんだ。目で答える。各個たる信頼関係というものではなく、ただの文字表記機能を使っている。
問題……ないようね。
なによりだわ。
さて、と。
「今日の目的はこれだけ?」
わずかな期待とかすかにおびえをかもしながら聞いてみる。答えは予想できていた。分かっていた。
すでに、アルスが私に異変を感じていることぐらい。
でも、何と比べてるのかが分からない。
どうして、知っているというの。
「これだけなわけ……あるはずがないだろう?」
笑いを深めてアルスは私に近寄る。
お主、実力発揮していないんだろう?そういわれた。
「まぁ、そうよ。ここで何をするつもり?まさかとは思うけど。」
「少し、リミッター解除。したいだけだが。お主の」
「リミッター?なぜ?」
「ただの……興味と……特にない。」
なぜかはぐらかして、答えた。
「……そう……」
興味に値しないと思った。
いや、興味じゃない。それ以上に聞く必要はないとこの私は判断した。
「そもそも、方法、分かってるの?」
……何も言われなかった。
答えてくれなかった。音声以外で何かを伝えようとしているのか、それとも単純に
知らない。のか。
きっと後者だと思っう、けれど。
私ですら知らないのだから、ほかの人が知っているはずもない。
封印――保存の解除方法なんて。
そもそも、そんなことしたら、私の目的が果たせないのではと思っているけど……
そう、行くのね。封印した場所に。
いいわ、行くだけならね。
そう思って、アルスについて行った。
そこの、ドームに気を付けているようだった。何か、私の大切なものがあると知っているかのようだった。
知ってるはずだった。分かってるんだと思う。
もう、そんなこと、考える間もなかった。
当然だった。
だって、ドームが開いてしまったから。もう、確信するしかなかった、きっとこの人は
あの人の記憶消去を受けていないんだって。そう思えた。そうとしか、思えなかった
だって、それ以外にどうして……
アルスは暗闇に溶けて行った。追いかけた。意味が分からなかったなんて、思考の片隅にも置きたくなかった。
ちょっと、こっちで書くのやめる。
違う話にする。思いついたら追加する。
追記編集終了。
もしかしたら前までの光陰の方も書けるかも。