前線撤回
ためしがき
「ゲームモード0、試行。」
機械音声が響く。
二人組がいままさに機械によって消えていく。
そして後に残るのは音声による波と。
灰色の部屋
もうすでに、
どうやらここには何もないようだ。
3315年
地球上にいるのは人間ではない。
別の生物
私たちはそれをスキアと呼んだ。
影のようにとらえどころがない……。
人間を光とするなら
スキアを影とする。
一対一の関係のように目に映る存在こそがスキア。
現状何もしてこない。
危害を加えては。こない。
もっとも、自分から攻撃すると反応して反撃にでてくる
とっても、強烈な奴。
「痛い」という表現を図示するとちょうどこうなるだろう。というような状況に、なるのが
結論と、現状まとまっている。
だから、不干渉の状態でいよう。と。人間は決めた。
「ゲーム、戦争。試行」
二人組が機械音声とともに現れる。
かつての世界の技術を利用した粒子転送技術。
すでにその残滓しかなく、一度に運べる重量やサイズはかぎられてしまい。
もはや、人間以外は運べない。
たぶん、もっと運べるとは思うが
そのように設定してしまったらしい。
全く。こまった先人だ……。
おかげさまで、転送先ではいつも面倒なことになる……、ものなのだ。
しょうがないので、装飾品系統はすべて転送先で入手する。
転送前と、後で対して変わらない様に
立体コピーの技術もあったのだが。
すでに機械は死んでるらしい。
かつて。といっても、10年前までは利用できたとか。
そんなふうに、ロメリアは言っていたかな。
「さて、準備はいいかな。ロミィ」
「ん。問題なし。いつでも、いける。そっちこそ大丈夫なの?その貧弱そうな装備で。」
「ひ、貧弱いうでないぞ。これが一個あれば大体倒せるんだ。」
「ふーん?」
「……。なんじゃ?」
余の名はアルス。上級クラスリアンとあることでロメリアとは行動を共にしている……が。
いまだに彼女のことはつかめていないのじゃな。
……もうすこし自分のことを語ってもいいとは思うのだ。
「戦闘プログラム。始動。対スキア練習試合、開始。」
スキア殲滅部隊の上級クラス。リアン所属ヨハネ義姉妹のアルスとロメリア。
彼らはたった200人に満たない対スキア兵
人間自体が数を減らしているこの時代において戦闘など無意味どころか
損失にしかならないと思われるかもしれないが。
実際のところそうでもない。
確実に、スキアが与えている影響があるからだ。
現状わかっているスキアについての概要
二つ目として。
それこそが人間が減少しているということ。
何気なく過ごしている日常の中で不自然に人が消えていく。
町からでたわけでもない。
死んでしまったわけでもない。
ただ、そこにスキアがいただけ。
でも、人が消えていく。
町で見るスキアの増加にともない。
人の減少スピードは上がる。
それでも、原因不明となっていた。
スキアがあらわれたときから既に研究は始まってはいたが
ついぞ原因はわからなかった。
どうしてか、スキアと人間減少はつながらなかったらしい。
理由こそ不明だ
もっとも、過去のことなどこれ以上に詳しく知る手段は残されてない。
情報管理される衛星コンピューターは二つしかのこっておらず。
現在残る機械、
思考型、志向型機械は残っていない。
そのために、理由もほぼわからない。
そもそも、スキア自体が見えない人のほうが多いことを含めて考えれば
無理もない。
研究できたのはすこしの人間だけで。
つまり、見えてしまった人達だ。
そ、よくあるお決まりの展開として、信用されなかった。その人たちは。
だから、一人研究をした。
写真にも写らない。
重量もない
質量自体がないのではないか。という風に研究結果は出ているがそれ以上に細かいことはあずかり知らない
話を戻そう。
すくなくとも、かろうじて繋がっている思考共有型ネットワークでは、スキアについて、知っているものが複数いる。
それが、つまりは200名だったわけだ、
もとから。
戦争で人間はへっていく方面にあった。
それでも30億人はいた。
それが今じゃ。1億にも満たないだろう。
とある一人の人間が言った内容にそって、
かくとある地に今は全員が過ごしている。
それによりある程度は生活が可能となってはいる。
もとより、かなり進んでいる文明だ。
ほとんど人がいないとしてもしっかり居住できるようにはなってしまった、世界だ。
そんなに人がすくないことには問題ない。
だがしかし、人間が減りすぎて絶滅なんていう落ちはみんな避けたいらしい。
種の保存能力がかなり働いているようだ。
しかし、根本的な解決にはつながらない。
それが、スキアの討伐。だ。
スキアを見ることができる我々にとって。。。スキアは害悪でしかない。
スキアに触れた人間は末端であっても即座にその存在をなくし、
記憶からはなれはじめる。
どうやって行っているかはわからないが。
ともかく
スキア討伐隊、通称ステラにおいて、スキアという存在は人間という存在を消滅させる存在。としてとらえ
討伐対象となっている。
そして、現状。この区域に残っているのは。
人の隊員だけだ。
もう、ここにいた、人間は消えた。
消えたというと縁起が悪いといって
せめて神隠しと呼べとされているが今更気にすることもあるまい……。
二人組はゲートを超えて、スキアを狩り始める。
一度も触れさせず、一方的に。まるでゲームのように。