第7幕 他所から見ると美味しい展開……ですよね?
※9/3追記。 登場人物の名前を一人だけ変えました\(^o^)/
スマホのチャットアプリ、RAILで私は事の顛末を幼い頃からの友達であり、花子さんを受け入れてくれる(かもしれない)お金持ちお嬢様の藍ちゃんに話す。
すると、やっぱりというか予想通りというか、彼女はすぐに「無理無理無理無理(以下略)」っと同じ単語をログいっぱいにするぐらい返信した。
「久しぶりに心優ちゃんからRAIL来たと思って嬉しかったのにいきなり知らない人を住まわせろだなんて…… ! わたしを殺す気なの!?」
「そんな殺すだなんて大袈裟よ、ほら、貴女の家って凄く広いし使って無い個室が何個もあるし、花子さんが住んでも十分過ぎるじゃない? 勿論タダで住まわせないで雑用でも何でもこき使っちゃってもいいし」
「もう使用人は間に合ってるから……」
「そこを! 何とか! お願い藍ちゃん!」
私はおねだりスタンプと一緒に必死に彼女へ頼み込むと、藍ちゃんはしばらく逡巡する素振りを見せて、それから私に返事を返した。
「うぅ…… 本当は嫌だけど…… でも、心優ちゃんの頼みだし……」
「受け入れてくれたら貴女が花子さんに慣れるまでしばらく私も泊まるから!」
「え、本当…… !? それなら全然大丈夫!」
藍ちゃんはハートマークのスタンプと共に、OKの返事を私へしてくれた。フッ、ちょろい。
私は花子さんと未来ちゃんにOKサインを出すと、未来ちゃんは「どんな感じだったんです?」っと興味津々に私のスマホを覗き、花子さんはほっと胸を撫で下ろした。取りあえず未来ちゃんはプライバシーという言葉を覚えよう。
「相変わらずと言うか何というか、彼女って君に対してマジLOVE10000%行ってるよね」
未来ちゃんは苦笑しながら冗談めかして言うけれど、本当にそうだから困る。どういう経緯でそうなったのか分からないけれど、幼馴染だからといって、私に対して親愛し過ぎてる感が……
「親同士が友達で、その繋がりで幼い頃に藍ちゃんと仲良くなったのだけど、その頃からずっと私にべったりだし。彼女は私や身内以外の人にはすぐに逃げる人見知りな性格だから、友達は未だに私だけっていうなかなかに困ったちゃんなのよね」
「やばいね、依存してるね~」
「絶対楽しんでるわよね、未来ちゃん~?」
「いえ、おかげ様で敵視されてるので割とシャレになりません」
「ですよねー」
未来ちゃんは真顔で言い、私も悲しいかな肯定するように頷く。
「その藍ちゃん…… ?さんは学校の生徒じゃないの?」
花子さんはおずおずと手を上げて、私になかなか鋭い質問をした。私は「えぇ、そうよ」っと彼女の問いにすぐに頷いて答える。
「そんなにあなたの事が好きなら何で生徒じゃないの? 普通、一緒に入学するんじゃ……」
「本当は私も一緒に居たいとは思ってるの、だけど…… それは出来ないわ」
「確実に冷凍庫になっちゃうね」
「えっ…… どういう事? 何でなの?」
私が乾いた笑いで花子さんの問いを否定すると、笑顔なのだけど目が笑っていない未来ちゃんが、代わりに答えてくれたのだった。
「何故なら、彼女は『雪女』だからさ」
「え゛?」