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第5幕 可哀想だけどこれも戦いなのよね

 扉をそっと開けたその刹那。

 

 赤いおかっぱの少女がこちらをニタリっとした不気味な笑みで見ると、すかさず私へ飛び掛かって来た。相手は私を掴まえようと右手を突き出し私の肩を掴もうとする。が、しかし……

 

「刃!」


 私は呪をすぐに唱えると手に持っていた札が刀へと変化し、私は素早くその刀の柄を掴むと、すぐに振り上げて襲い掛かって来た少女の右手を切り飛ばした。


「ぎゃああああああああ!!! 問答無用!!!!!??」

「幽霊だからどうせまた生えるでしょ?」


 無くなった右手の部分を左手で隠しガタガタ震える少女『花子さん』を、悪い笑みで見下ろす私。立場が逆転して、まるで私が悪役みたいになったけど、一応私は人助けをしています。


「今日はちょっと貴女に頼みたい事があって来たの」

「ねぇねぇ、これが人にものを頼む態度だと思いますか? ドゥ―ユーアンダスターン?」


 涙目になりながら抗議する花子さん。私はそれをスルーして笑顔で彼女にお願い(命令)した。


「貴女が襲っておかっぱ頭にした被害者達を今すぐ元に戻して欲しいの、良いかしら?」

「嫌と言ったら……?」

「その左手を次に落としますよ(はぁと)」

「いやあああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」


 私は満面の笑みで彼女の問いにこたえると、花子さんは恐怖で泣き叫んでしまう。隣でボソリッと「殺し屋というより魔王」っという戯言が聞こえたけど気にしない。


「分かりました!分かりました! すぐ! すぐに解呪しますから勘弁して下さい!!!」

「良し、分かれば……」


 花子さんの心が折れて言う事を聞いてくれたと思い、ホッと胸を撫で下ろしたその時。


「あ、右に避けて美優」

 

 今まで戦いを見ていた未来ちゃんが突然私に命令し、私はすぐにハッとなって言われた通り右に素早くステップした。

 すると……

 

 私の居た場所に向かって、唐突に花子さんの居る個室の便器から白い手が幾本も現れるや突撃したのだった。


「あぁ!? 何で分かったの!!?」

「何でだろうね~、分からないだろうね~」

「くそもういい!!! こうなったら厄介そうなあんたから引きずり込んでやる!!!」

「うわ、さりげなく頭良いね君。はっはっは、英断だよ!!!」

「言ってる場合かーい!!!」


 指を鳴らしてウインクしながらそんな事をのたまう彼女に、私は全力でツッコミを入れると、すぐさま私は別の札を五枚ほど未来ちゃんに向けて放った。


「行け!!! 私のリヴァイアサン!!!」


 花子さんは言葉通り、未来ちゃんへ向けてやたらかっこいいネーミングを付けられた気持ち悪い白い手達を突進させる。



 私はそれを見て、『刃』を唱えた。



「札が刀になるだけの術がなんだっていうの、ただ刀が地面に落ちるだけじゃ!!」

「ところがどっこい、この子のはね、少しヤバイ能力があるのさ」


 未来ちゃんが指をチッチッっと左右に振って、ドヤ顔で言い放つ。そう、私のこの札を刀にする能力には実はもう一つだけ仕掛けがあるの。

 それは……


 花子さんの白い手達が後数センチで未来ちゃんへ届こうとした瞬間、白い手達は突如動きを止める。

 それを見て、花子さんは訝し気な表情を浮かべたが、すぐに『それ』を見て驚愕(というより絶望)の表情に早変わりした。



 それはそうよね、だって誰が『刀が浮遊してまるで意思を持ってるかのように動いて斬りまくる』と思うだろう。



 私が現した五本の刀はそれぞれが独立に空間を動き回り、良い具合に白い手達を刺身にしていく。




「リヴァイアサァァァァァァァァァン!!!!!!!!!!」




 花子さんは目の前で戦友が散った感じに慟哭しながら、ただただリヴァイアサンの活け造りが完成されるのを見ているしかなかったのだった……


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