プロローグ それは闇夜を照らす、桃色シークレット
大分、創作から離れていた作者がリハビリの為に作りました))) 必ず一週間毎週更新目指します! PS.フォロワーさんへ、出来なかったら怒って下さい
「あぁ…… どうしてなんだ…… なんで俺が…… 」
一人の男が真夜中の道路で、真っ青な顔をして絶望に満ちた声で呟く。
彼の足下には、血まみれになって倒れる男と同じ顔の人物が倒れていた。
背中にはくっきりとタイヤの跡が付いており、右足は普段曲がらないような角度に折れ曲がっている。
「今…… 絶好調だったのに、なんで今死ななきゃならねーんだよ!」
そう、彼が慟哭している通り、男は死んでいる。
今、彼の足下にある死体も彼だ。
つまり、彼はこの道路で交通事故に遭い、死亡。そして、霊となってこの道路で佇んで居たのだ。
「この世に未練を残し、死ぬ事となってしまった哀れな魂よ……」
そんな自分の不幸に嘆き悲しむ男の霊に、ふわりと、軽やかに現れた巫女服の美しい少女が現れた。
「その嘆きは如何程か、あなたの果たせなかった望み、もし叶えられるものであれば、良ければ私が叶えましょう」
彼女は彼へ、優しく言葉を投げ掛ける。
すると、男は自分の前に現れた非現実的光景に口を開けてボーっとし、それからゆっくりと彼女へ問いかけた。
「あ、あんたは…… 巫女なのか…… ?」
「ええ、そうです。肉体を失い、地上に縛られる魂の貴方を救いに来ました」
「つまり?」
「貴方の望みを聞き、その望みを叶えて、貴方を安心して天へと還すのです」
彼女のその胸に染み渡るような、本当に天からの使いのような暖かみのある言葉を聞いた男は、先程の錯乱した表情から少しだけ、安堵した顔へ変わる。
「そうか…… じゃあ、一つだけ、お願いしたい事がある」
「はい、もちろんです」
「俺の死体から…… スマホを取り出してくれないか…… ?」
巫女の少女は少しだけ首を傾げるも、「分かりました」っと答え、男の死体のもとへ歩く。
死体を直に見て、少しだけ巫女の少女は「うっ」と顔を強張らせるも、男の霊の願いの為、しゃがんで恐る恐る男の胸ポケットからスマホを取り出した。
「ありがとう、じゃあ次にそのスマホを、全力で、絶対修復出来ないように壊してくれ」
男は真剣な表情で彼女へそう頼むと、余り表情を出さなかった少女は流石に少しだけ驚き、彼へ問い返した。
「何故です…… ? このスマホはきっと大切な写真や、貴方の証明となるものが沢山あるのですよ?」
「あぁ、それは分かっている。だが、壊してくれ。頼むから壊してくれ」
何度も懇願する男の霊に、少女は不思議に思うものの、彼を安心して成仏させる為に頷いた。
「分かりました、それでは今目の前で…… あ」
彼女が裾から何かの紙を取り出そうとした時、ツルッと彼のスマホが彼女の手から落ちる。
スマホは落下した衝撃で起動し、そして……
「「あ」」
画面いっぱいに二次元美少女のあられもないエロ画像が、二人の視界に飛び込んだ。
「「……」」
気まずくなる二人。
先に動いたのは巫女だった。
彼女はどこから持ってきたのか、刀を手に持つとそれで何度もスマホを突き刺して、彼の遺品であるスマホはエロ画像を映していた画面が真っ暗になり、やがて煙を出して壊れた。
「あははははは!!! 巫女さんありがとう!!!!!今回の事はぜっっっっっっっったい!!!! 記憶から消してね!!!!!!お兄さんの約束だよ!!!!」
男の霊はやけっぱちだがどこか、清々しい泣き顔で彼女に手を振り、そのままキラキラと綺麗な粒子となって消えていく。
巫女の少女は赤い表情で、壊れたスマホから刀を引き抜くと、それを先程取り出した紙に変化させて髪をかき上げた。
「フフ、今日もまた哀れな魂を天へと還せましたね…… ! えぇ、そう。結果が全てです。今までの工程は特に、問題はななな、無い。はい、無いです。良いね、私?」
彼女はそう自分へ言い聞かせると、月光に照らされながら颯その場から離れるのであった。