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Lily×Monster ~モンスター娘と百合コメです!~  作者: 白猫くじら
続・ロリっ子ヴァンパイア×薄幸の(元)修道女
47/58

威厳瓦解し滂沱す幼王


 本当にお忍びにしたい、絶対誰にも知られてはならないほどの醜態をさらした、闇夜のデートから、しばらくして。


 エリザは、夜の森へとやってきていた。


 親友であるアルラウネの少女。

 その結婚式に出席するためである。


 隠れ小道を抜けた先、式場とされた森の広場は活気に満ち溢れていた。

 エリザを含む多くの招待客たちでごった返し、幸せムードを助長するかのように、祝いの花と呼ばれる白百合たちが見事に咲き誇っていた。


「にしても、あいつが結婚ねぇ……」


 数日前に招待を受け、実際、設営された式場に足を運んでいるというのに、エリザは未だに実感が湧かずにいた。


 親友である彼女。

 普通のアルラウネと違い、性質はとても穏やか。

 他者を害することを好まず、そもそも関わりを持とうとしない能天気。

 色気より日光。日向ぼっこが大好きなのんびり屋。


 自分だってそういうコトには最近まで縁がなかったのだが、そんな自分からしても、彼女が伴侶を見つける未来なんて、まったく想像もつかなかった。


「確かに最近、相談なんか受けたりしたけど……」


 初恋らしき相手と再会した。

 だけど、どうすればいいか分からない。


 ……などと、とっても甘酸っぱい相談に、正直きゅんきゅんした。


 親友が頼ってくれたのだ、恋の先達として、完璧な助力をしてやりたい。

 そう思ったエリザだったが、いいアドバイスをあげられなかった。


 結果、ただ睦まじいのを見せつけただけで、彼女には悪いことをしたなと思っていた。

 なぜか彼女は満足げな様子を見せて去って行ったのだが。


 そんな一件があったのだが、式を挙げるということは、上手くいったようである。

 急展開ではあるが、他ならぬ彼女の選択だ。応援せずしてなにが親友か。


 ヴァンパイアたちが次々に姿を消しているという重大事件の最中ではあるが、無二の親友の一生に一度の晴れ舞台、出席せずにはいられない。

 今日だけは不穏な空気を忘れ、心の底から最高のお祝いをしてあげようと、エリザは誓っていた。



 ちなみに、共に招待されていたはずのクリスは消えた。


「これは激レアなロリッ子の気配ッ!? 止めないでエリザッ!」


 と言い残し、止める間もなく秒で消えた。早業だった。怒る暇すらなかった。


 正直腹に据えかねているが、彼女のことは後回し。今は本日の主役を探し出し、挨拶することが賢明だろう。


「それにしても、広場一杯のまもののむれね。あいつ、こんなに知り合い多かったかしら……?」


 招待客たちは、いずれも人外のものばかり。

 アルラウネはモンスター。

 その結婚式なのだから、自分を含め招待される者たちが人外であることに疑問はない。

 

 だが、明らかにこの森の中では遭遇できないような、極寒地帯や火山地帯に生息するモンスターたちの姿も見受けられるのだ。

 日がな一日、森の中で日向ぼっこしているようなのんびり屋だというのに、一体いつの間に知り合ったのだろう。

 

 事実、エリザが彼女と出会ったのも、素材探しにやってきた夜の森で迷子になり、パニックに陥り、空を駆けて脱出できることも忘れ、わんわん泣きわめいていたときだったのだが。


「って、そんなことはいいのよ思い出したくもないッ!?」


 誰ともなく非難する。

 あんな黒歴史に気を取られている暇などない。

 今は親友の姿を捜さなければ。


 まもののむれの中へと目を向け、捜す。

 

 血濡れの巨斧を他の客たちに当たってはいけないと千年樹のケースに仕舞い、そのうえで縮こまって歩くミノタウロス。

 漂う腐臭に気づき、周囲に失礼だからと手当たり次第に香水を借り、一生懸命かけまくっている赤面したマミー娘。

 周囲のまものたちが気絶しているのにも気づかず、気持ちよさそうに絶やさず唱う、ぶりっ子っぽいマーメイドなどなど。


 数が多いのと濃いのが合わさって、なかなか親友に出会えない。


 類は友を呼ぶと聞く。

 確かに彼女もアルラウネでありながら正気を保っているという変わり者ではあったのだが、よくもまあ、こんな風変わりな者たちとばかり知り合いになったものである。


 いや、しかしそうだとしてもこれはアレすぎるのでは?

 もしかしたら、彼女ではなく、その結婚相手というヤツが、あのロリコンに負けない異端者で、その知り合いたちが……。


 と、エリザの思考が的を射ようとしたときであった。




 むれの中、エリザは妙な感覚を覚えた。




 すべてを見透かされているような。

 憐れんでいるような。



「ッ!?」



 思わず立ち止まり、振り返る。


 活気に包まれる魔物たち。

 そのむれの中、冷や汗を浮かべるエリザの視線。

 

 あるモノに釘付けにされる。





 少女がいた。





「……」





 言葉なく立ち尽くす、少女がいた。




 

 幸せに溢れかえるムード。

 そんな中で、彼女の周囲だけ、まるで時が止まったかのように。

 すべてを拒絶しているかのように。


 身に纏うは純白のセーラー服と呼ばれる衣装。

 祝いの席に花を添える。

 膝下までのスカートは、はしゃぎ揺れれば愛らしくもあろう。


 だが、幼い容姿に似合う躍動を、彼女は発さない。

 ただ、こちらを視ていた。

 

 肩口で、鎌首をもたげるようにカールした、衣装と揃いの純白の髪を、夜風に揺らして。

 降り積もる新雪に滲む鮮血を思わせる、マフラーが口元を隠して。

 

 

 ただ表情なく、こちらを視ていた。

 

 

 エリザを視ていた。

 

 

 極大の違和感に、周囲の者たちは気付かない。

 他のものに気付かせないとでもいうように、エリザしか気付けていない。


「お前は……」

 

 突然の異様を真に受けて、硬直するエリザ。

  

「……」


 光のない瞳で、彼女はただエリザを視る。

 

 まるで、それしかできないと訴えるように。

 それだけしか許されないと、訴えるように。

 

 じっと見据えることしかできないエリザ。


 だが、視線の先で、変化が起こる。

 

 まもののむれの先、通り過ぎる人外の先。


「……」


 鮮血から覗いた薄桃が、微かに震えた。

 動いたか動いていないか、わからない程度に。

  

 その唇は、形を変えていた。

 

 じっと目を凝らす。


「……」


 繰り返される動きは伝える。

 エリザにだけ、言葉を伝える。




 後悔しないで。





 そう、無表情の彼女は繰り返す。





 後悔しないで。





 エリザの胸にある、一つの決意を揺らそうとするように。

 あるいは、その決意を固めさせようとするかのように。



 彼女は再び繰り返す。


 彼女自身、噛み締めるように。

 ただ、その言葉を繰り返す。





 後悔しないで。





 後悔しな――イヤアアアアァッ!?

 



「……へ?」


 思わず、きょとんとする。


 視線の先、純白の彼女が、感情を露わとしていた。

 無表情に驚愕を乗せ、混乱を乗せ、動揺していた。

 

 先までのミステリアスさは露と消え、体をぶるぶる震わせていた。

 周りの誰もがそのことに気付けていないのが、なんとなしにシュールである。


 エリザだけを視ていた視線。

 それが、エリザの後方へ向かっていた。


 そういえば、なにやら騒がしい。

 未体験の感覚を教えた謎の少女に背を見せる愚行を犯しながら、エリザは振り返る。






 ……幼女ラミアに絡みつく、変態ゴスロリ女が、いた。






「し、真実のテンプちゃん、だと!? どうも! あなたに絞め殺されるのを、指折り数え、夢見てたものです!」

「ひゃああんッ!? なんなのですかこの女ッ!? にゅるにゅるいやらしく絡みついてぇえぇッ!?」


 正しく記述するならば、いとけない面持ちのラミアに、欲望駄々漏らしで巻き付く、エリザの妃、クリスの姿があった。


「……ほおう」


 シリアスさを霧散させ、背後で体をかき抱いている少女にも気づかず、エリザの視線は醜態を晒す妃へロックされる。


「さあッ! さあ早く、その幼さに似合わぬ、そそり立ったモノでッ! 思うがままにわたしのことを弄んでくださいッ! 玩具と蔑み、ぼろ雑巾のようにしてみなさいッ! さあ! さああぁッ!」

「いやあぁッ!? なんでこんなに死にたがるのッ!? 命は大事に……はやあっんっ!? らめっ! しっぽはらめなのにいぃっ!?」


 はあはあしながら畳みかけるクリスに、甘い声が漏れ始めるラミア。


「……さてと」


 いっちにーさんしっ☆ 拳は、ばっちり☆ 岩石だってこーなごな☆ と、手近にいた巨岩型モンスターに八つ当たりし、入念にウォーミングアップを重ねるエリザ。


 しかし、周囲のものたちは、傍らで引き起こされる惨劇など意識の外。


「お、おぉう……」

「ま、まぁまぁ……」


 命よりも、突如繰り広げられ始めたアダルト展開にご執心であった。


 招待客たちは固唾を呑んで、ただただ、それを視る。

 それしかできぬというように、目を凝らして、視る。



「……(ドン引き)」


 伝播するロリコンに、もはやガクブルとなって膝をつくミステリアス(過去)な少女。


 そんな彼女が安堵とともに人知れず姿を消すのは、入念なウォーミングアップを終えたエリザが、全身全霊の拳を炸裂させ、人様の式場でさかり散らす大馬鹿者を完膚なきまでに叩きのめしたのを見届けてからのことだった。



***




 なんやかんやありはしたが、式は無事に終了した。

 招待されていたモンスターたちはお祝いムードの余韻に浸りながら、幸せそうに去っていった。


「い、いやぁ。本当に素晴らしい式だったわね。白百合どもから感じるピリピリした感触、我慢して出席し続けた甲斐もあったってものよ。そ、その、本当にめでたいわ!」


 残っていたエリザは、ウエディングドレス姿の親友、アルラウネへと祝いの言葉を贈る。

 しかし、その顔つきはどうしてか気まずそうである。


「……」


 言葉を受けたアルラウネは、明らかに不満顔。

 ぶすっと頬を膨らませ、親友からの祝辞を完全に無視していた。


 そのご機嫌を取るように、エリザは式の感想をさらに続ける。


「しょ、招待客たちも、すっごく幸せそうだったわよッ!? あのマンティコアとか、またも息遣いも荒く、目なんて無様に蕩け切っててッ! はぁはぁする姿なんて数百年生きたあたしでさえ初めて見たわッ! 見たくなんてなかったけどねッ!?」

「……ウチは再視聴してないの。その点は、良かったと思うの」

「そ、そうよッ! あんなのまた見たら、お前、目どころか根まで腐っちゃうわよッ! いやもう本当、隠れていて良かったと――」


 失言に気付き、ハッとするエリザ。

 彼女が顔を青くすると同時、アルラウネは恨みがましい視線を向ける。


「……どうしてそうなったと思っているの?」

「そ、それは……」

「そうなの。ウチは引き籠ったの。一生に一度の晴れ舞台。幸せのお裾分けをする舞台。式の主役たるウチたち。なのに、お客さんたちの視線の前から、ウチは姿を隠したの。お嫁さんと二人っきり、蔦で編んだ籠の中にこもったの」


 どんよりとしたオーラを放ちながら、アルラウネは口元を歪める。


「うふふっ。ごめん、間違ったの。訂正するの。ウチたちが姿を隠す前から、視線はこっちを見ていなかったの。式場の中のある一組。そこにガンギマッていたの」

「あ、あわわ……」


 ガタガタ震えるエリザへ、アルラウネは光の消えた目で訴える。


「親友のフリしたアバズレと、貞淑なフリしたロリコン女。はばかることなく睦み合い始めたソイツらが、式の主役に名乗り出たから……!」

「ご、ごめんなさいッ! 本当に悪かったと思っているわッ! これだけは信じてッ! あれはわざとではなく、気づいたらいつの間にかッ!?」

「なら尚更、頭湧いてるのッ! 無意識に人様の式でさかるとか、いったいどんな神経してるのッ!?」

「うふふ、いずれ分かります。衆人環視の状況だからこそ、感じられる背徳感というものがあってですね――」

「「お前は黙っていろッ!」」

「ロリっ子妻とロリっ子人妻の容赦ない腹パン大好きパートツゥウウッ!?」


 救えないネトラレ好き(ツェペシュ)のようなことを言いながら口を挟んできた変態に対しては、不和の状態でも息の合った連携を見せる親友たちである。


「ふっ。その鉄拳、ナイスなの」

「ふふっ。お前こそ――」

「でもなの。今のお前、コイツを糾弾できる立場なの?」

「うッ!?」


 軽蔑の視線に、エリザは怯まずにはいられなかった。



 アルラウネが怒るのも無理はない。

 式の直前こそ、エリザは邂逅した親友と、その妃に彼女なりの祝いの言葉をかけてあげた。

 親友も、その妃も喜んでくれた。


 だが、問題は式の最中の行動である。


 幸せムードに感化されたエリザは、同じく雰囲気に高揚してしまったクリスからの熱烈アプローチを断り切れず、一目憚らず吸血(いちゃいちゃ)してしまったのである。


 最近、母親やその他のロリッ子ばかりにクリスは目移りしており、あんまり構ってもらえなかったのもあり、行いはヒートアップ。


 首筋やら太ももやら好き勝手なところに吸血いちゃいちゃしてくるクリスに対し、お前ばっかりずるいわ、あたしにも感じさせなさいと、駄々をこねる子供のように主張した。


 しかしてクリスから、だーめです。愛を感じるあなたの血液、ずっと堪能し続けたいんです。感じられるものなら、感じてみてくーださいっと、甘い声で囁かれ。

 

 上気しきったエリザが、ふふん誰にモノを言っているの、夜の王を甘く見ないでっ☆ と、クリスへ飛びつき、クリスがきゃあきゃあ黄色い声を上げて、その牙をあしらいつつ隙をついて吸血いちゃいちゃしてきて。

 

 愛する人に捧げられる嬉しさに、やめなさいと嫌がる振りをしつつも、緩む口元は隠せず、エリザは吸血いちゃいちゃさせ続ける……などという所業を見せつけた。

 

 

 歯に衣着せないなら、ただのバカふーふ。

 それも、公序良俗に反したと、問答無用で牢にぶち込まれても文句の言えないレベルであった。

 

 

 普段ならば周囲の目を気にするのに、式場の中に完全に二人の世界を作り出してしまい、さかり上がってしまった。


 そして一通りいちゃいちゃした後、結局クリスに一度も吸血できなかったのに気付いたエリザは、そもそも最近吸血させてもらっていなかったことを指摘する。

 

 対しクリスから、大好きなあなたにもっともっとわたしを求めてほしいから、もうちょっとだけお預けですっ、と言われ。

 

 受けたエリザは、ばかっ、などと言い捨てながらも、結局ご満悦でクリスの片腕を抱いて頬を染めて寄り添って……。

 

 そんな恥ずかしすぎる所業すら重ねてしまったのである。

 衆目を集めない訳がない。


 招待客たちの関心を奪い去ったエリザたちに、アルラウネの怒りは収まらない。


「そもそもハナっからアレだったのッ! ウルフ夫妻との合同結婚式とかになっていて、そっからカオティックだったのッ! それでもウチ、なんとか頑張ろうって思ってたのにッ! 頼みの綱だと思ってた親友が、まさかまさかのラスボスでッ!? 客の視線も感動も総ざらいしてッ!? 発情までさせてッ!?」

「そ、それは、その……」

「招待客のヤツラだってアレなのッ! 帰り際に立ち寄ったのはウチたちにじゃなくて、お前たちにばかりだったのッ! お幸せにねってなんなのッ!? おめでたはいつかしらってなんなのッ!? お前らはウチたちの結婚式に来たのッ! 今日の主役はここにいるのーーーッ!」


 無念の咆哮をあげるアルラウネ。


 おかしい、彼女はのんびり屋のアルラウネだったはずなのに、どんどんツッコみ芸が上手くなってきている。エリザのように。

 結婚とは、人どころか魔物すら変えてしまうものなのねと、心の片隅でエリザは、ふと冷静に思った。


 そんな風にしていると、アルラウネはゴミでも見るような目で、幸せそうに気絶しているクリスを睥睨へいげいする。


「はんっ。そもそも、よくこんなの相手にいちゃらぶできるの。その神経がわっかんないの」

「なッ!? 確かに今回のはあたしたちが悪いわよッ! でもお前、いくらなんでも言っていいことと悪いことが――」

「式の直前、風の妖精にはぁはぁしてたけど、その前にも幼いラミアににゅるにゅるしてたらしいじゃないの。赤の幼女へはぁはぁしたばっかりの体で、愛をささやくような変態とか、それホントどうなの?」

「……い、いぐさくとりぃ」


 まったくの正論にぐぅの音もでない。

 小さくなるエリザに、今まで怒っていたはずのアルラウネは瞳に心配の色すら浮かべて肩を叩く。


「……ねえ。お前、本当に大丈夫なの? 甲斐性と甘さ、混同してないの? このままじゃきっと、将来とんでもないことが起こると思うの。愛人とか、隠し子とか……」

「そ、そんなことないもんッ! 未来なんて分かんないもんッ!?」

「それはそうだけど、現状から明らかに予測がつくことはあると思うの。親友の不幸なんて、ウチは絶対望まないの。……だから、いっそこの手で――」

「突然消えるハイライトッ!? だめッ! だめだもんッ!」


 光の消えた瞳でクリスを定め、極太の蔦を構えるアルラウネに、幼女化しながらもエリザは必死で制止をかけた。


「うふふっ! 大丈夫なの。痕跡なんて残さない。血も肉も、ぜーんぶぜんぶ、森に散らして養分になるの。養分にするの。腐りきった性癖だって、きっと浄化してくれるから……」

「どこもだいじょうぶじゃないからッ! そんなのもりにめいわくだからっ! おもすぎてしょーかふりょーおこすからぁーッ!」


 涙目で震えながらも、エリザは気を失ったクリスを守ろうと覆いかぶさる。


「とっちゃだめッ! くりすのぜんぶ、えりざのだもんッ! やぁだーっ!」

「ドレス姿でダンスするのも、ハードな分燃えるものよねぇ。ごめんなさい、ちょっと残っていたみんなと、だんしんぐしていて……って、あらあら? やっぱり親友同士、仲良しさんなのねー」

「どこがッ!? ヤンデレてるのッ! おまえのきさき、ヤンデレてるのッ! てつだってッ! とめるの、はやくてつだってえええぇッ!?」



***



「あうぅ。い、生きて帰れそうだよぉ……」


 どうにかアルラウネを落ち着かせてから、その帰り道。

 エリザは安堵混じりに言葉を漏らした。

 

 アルラウネとは狂気に染まったモンスターとは聞くが、異端の彼女にもあのような一面があったとは。

 次からは彼女の前での行動には特に気を付けようと、エリザは心底から誓った。


「はふぅ。すっきりしましたー。今回は本当にお花を摘んできましたよー。暗喩的な意味で。ちゃんと河で手も洗ってきましたので、ご心配なく。いやぁ、せせらぎが冷たくてほど良かったです」

「いや、気にするのはそこじゃないでしょ……? それに、本当にとか、いちいち強調しなくていいから……」


 茂みの奥から戻ってきたクリスに対し、口を尖らせる。

 年頃の乙女的にそういうことを平然と言ってのけるのはどうなのかという思いもあったのだが、なによりそのお花を摘む云々は、あの屈辱塗れの夜を想起してしまうので、本当にやめてもらいたかった。


「……ん? ちょっと待って。お前、今――」

「いやぁ、それにしても意識を失っていたのが残念でなりません。親友を想う行動で、わたしには気持ちが向いていなかったとしても、やっぱりヤンデレ幼女に襲われるなんてレアシチュエーションですものっ! 今もこの肌に残る、堕ち切った幼女のどろどろした殺意……ッ! はあぁぁんっ! その姿、しかとこの目に焼き付けたかったですぅーっ!」

「……は?」

「ま、まあ、命尽きてしまえば、エリザともういちゃいちゃできなくなりますからねッ!? いやぁ、本当に助かってよかったぁッ! ええ、本当にッ!」


 望みの殺意を込めて睨みつけてやれば、クリスは冷や汗を浮かべながら誤魔化した。


 鬱蒼と茂る森の中、二人並んで道を歩く。

 エリザの居城を目指し、帰路についていたのだが、夜闇の中を飛び立つにしても、夜空を覆い隠す枝葉が鬱陶しい。

 それらが少なくなるところまで歩いて行こうということになり、二人は歩を進めていたのである。

 

「それにしても、彼女たちには悪いことをしてしまいました。幸せにもらい泣きするエリザが艶やかだからって、あれは流石にやりすぎでした」

「……そ、そうね。反省してるわ」


 自然と照れることを言ってくるクリスに、動揺を隠しながら相槌を打つ。


 あの後、親友の妃の女性は、


「ずーっと後に二人で振り返った時に、あんなおかしなこともあったなぁって、いい思い出になってるから大丈夫よ? わたしは今でも楽しかったけど」


 などと喜んでくれていた。

 暗喩な添い遂げる宣言に、アルラウネは頬を染めていた。

 

 あのポジティブな天然さで、きっとこの先も親友と面白おかしく、そして幸せに生きて行ってくれることだろうと、自身の不始末をおいて、嬉しさを覚えたことを思い返す。


 今宵もなんやかんやありはしたが、大切な親友を祝う場に同席できて、本当に良かったと、エリザは改めて思った。

 クリスの性癖の露呈を恐れ、親友を自身の挙式に招待しなかったのは、本当に惜しいことだったと一人悔悟の念に包まれる。

 プライドなどという洒落た装飾物、あの時だけは脱ぎ捨て、裸になるべきだった。



 さておき、今宵の挙式、喜んでばかりはいられない。

 気にするべき点が、エリザにはあった。




 純白の幼子。

 



 なんやかんやに気を取られ、今まで失念していたが、あの存在は明らかな異常だった。

 クリスの変態行為に蒼白となっていた姿に、知らず警戒心が薄くなってしまった感も確かにあっただろう。


 だが、あの存在、決して看過していいものではない。


 纏う感触、発する雰囲気。あの場でなくとも、明らかな異物。

 一瞥いちべつせずとも、強張こわばらずにはいられないモノ。


 だのに、エリザ以外、誰一人として気に留めなかった。

 あれだけ魔物たちが集まっていたのだ。ならば、気配感知に長けたものだっていたはずである。

 だというのに、まるで、彼女がそこに存在しないかのように、誰一人気付かなかった。

 

 ……エリザ以外は。


 害を成すのか、益をもたらすのかは現状不明。

 であるからこそ、余計に気にせずにはいられない。


「ねえ、聞きたいのだけれど」

「はい。貞淑の純白ですよっ? エリザ色に染めちゃってくださいっ!」

「し、下着の色を問うたのではないわッ!?」

「あら、そうなのですか? にしては、よく分かりましたね?」

「ッ!?」


 自分の方こそ彼女の色に染められていくことにひどい頭痛と、少しの高揚感――など断じて覚えていないと強く頭を振った後、エリザは質問を続ける。


「そのね? 挙式の前。真っ白い幼女、見なかった? なんというかこう……不思議な雰囲気を纏った感じの……」



 まるで、この世のものとは思えぬような。


 

「白い幼女? はて……。来場していたすべての幼女、幼女型含め、32体を容姿、性格、声色、スリーサイズに弱いトコロなど、全霊賭して記憶してはいますけれど、そのような方はいらっしゃいませんでしたね」

「……色々とツッコみたい所はあるけれど、今だけは容赦してあげる」


 無意識の内に大木を拳圧で砕き割り、目撃したクリスが、「よ、容赦とは……」と、恐怖を漏らして石になるのを尻目に、エリザは考える。



 まず、前提としてだが、クリスは幼女を見逃さない。



 ……ひどい前提だが、どうか容赦してもらいたい。

 

 自身の嗜好に誇りすら持った、この手の負えないロリコン。

 幼女好きを辞めること即ち、生の喪失とまで思っている節すらある、この救いようのないロリコンが、幼女を見逃すわけがない。


 その点においては、彼女のセンサーは本物である。

 日夜エリザが悩まされているのがなによりの証拠。


 たとえ気配遮断かなにかの特技の効果だとして、こと相手が幼女、もしくは幼女の姿をしているのなら、きっとクリスは血反吐を吐いてでもその目に焼き付けようとするはずである。

 なんといっても、あれほどの雰囲気を醸し出す、不思議系幼女なのだから。


 ……考えていて本当にどうかなってしまいそうだが、今はこの点も重要なので仕方ない。

 

 ともかく、あんな超ド級のレアさを放つ幼女を、クリスが逃すはずがない。

 たとえ他の幼女にご執心中だったとて、最低限、視界には納めているはずである。


 頭の痛くなりそうな名推理。

 これより導き出されるQED。


 それはつまり、あの幼女はそこにはいないはずの存在。

 エリザの妄想の産物だったということである。

 

 違和感しか残らないが、そう結論付けなくてはならない。

 そうでなくてはならないのだ。





 だが、もしか。





 もしか、あの場にあの幼女がいたのが真実であったのなら。

 

 

 

 そして、それを確認したのが、エリザだけ、というのならば……。

 

 

 

 

 きっとアレは、先触れで――

 

 



「……エリザ。あの、エリザ?」

「……!」


 声を受け、我に返る。

 心配そうな顔で、クリスがのぞき込んでいた。


「あの、大丈夫ですか? なんだか顔色が悪いですよ?」

「え、ええ。大丈夫だから、気にしないで」

「……本当、ですか?」


 案じるが故の追及の視線。


「本当よ。心配してくれて、ありがとう」


 胸が痛むのを覚えながら、笑顔で仕切りなおす。


「さて、歩くのももう疲れたわ。ちょっと面倒だけれど、枝葉の群れを抜けて、我らの夜空を舞うとしましょう」


 誤魔化すように構える。


 その手が、掴まれた。


「……ありがとう、なんて。あなたは言いません」

「……!」


 真剣な面差しで悲哀を浮かべる妃がいた。


「照れ屋なあなたは、そんなこと簡単に言えません。……なにか、隠していますね?」

「そ、そんなことないわよ!」


 鋭い追及に、再度顔を背ける。

 いつかも思ったが、この観察眼、馬鹿にできたものではない。


 普段、幼女にフルパワーを注いでいるが、いざ別の用途に向けられれば、――特に、今の自分に向けられれば脅威でしかない。


 だが、いくら追及されようと、口にするつもりはない。

 悪戯に彼女を心配させるのは望むところではないのだ。


「いいえ、隠しています。ふーふだから分かります」


 互いの関係性をここで出されると、罪悪感がさらにのしかかってくる。

 自白したい念に駆られるエリザを、浮気の証拠をつかもうとする伴侶のような目で、クリスが追い詰める。


「言ってください。ふーふですよね?」

「そ、それは……そうだけど」

「大丈夫です。ちょっとやそっとじゃ、わたしは動じません」


 迷いを見せるエリザに、クリスは一転、圧を弱め、柔らかな表情となる。


「喜びも悲しみも分かち合うのがふーふだって、エリザは言ってくれました。この先なにがあっても、わたし、あの言葉ずっと忘れません」

「……ぐぐ」

「わたし、悲しいです。隠し事、しないでください。わたしだけはあなたの味方。だってふーふですから。どんな罪咎の道でも、一緒に渡っていきましょうッ! だってふーふなんですからッ!」

「……ん?」


 違和感に、思わず首を傾げる。

 なんというか、エリザが悪事に手を染めようとしているかのような言い回し。

 いや、確かに罪悪感は抱いているが、それはそういう類のものでなく、心配させじと案じているからであって。


「ああ、でも大丈夫ッ! だってここには、愛があるッ! ……ん? どうしました?」

「お前、あたしが一体何を隠していると思っているワケ?」

 

 演技派な舞台女優もかくやといったノリで、悲劇のヒロインモードで瞳うるうるなクリスへ、エリザは問いを向けた。

 すると、クリスは恥ずかしそうに頬を染める。


「もう、わたしに言わせるんですか? 仕方ない、お、ひ、と☆」

「……チッ」


 苛立ちを隠せず舌打ちするエリザへ、クリスは頬に手を当てながら嬉しそうに言う。


「エリザも目覚めてしまったんでしょう? 無垢なる蠱惑の煌めきに」

「……は?」

「だから、幼女好きになってしまったんでしょう?」

「はあぁッ!?」


 意表を突く妄言に目を丸くするエリザに、クリスは小躍りでもしそうな様子だ。


「わたし、嬉しいですッ! 大好きな人と、大好きなコトについて語り合える日が来たことがッ! 大好きを共有できることがッ! うぇるかむとぅー、ろりわーるどぅッ!」


 硬直するエリザを尻目に、クリスの妄想はめくるめく幼女世界へと旅立っていく。


「ロリっ子とロリっ子の良さについて語り合えるとかなにそれ最高。話し合う内に高まる熱。溢れる未発育への羨望。やがて、抑えきれなくなった欲望は爆発し……。え? 待ってください。ということはもしかして、わたしがロリっ子同士の不倫で振られるパターンもワンチャン……ッ!? ……幼女×幼女ふええぇ……!」

「なに嬉しそうに言ってんのよッ!? そんな可能性ありえないわよッ! 絶対にッ!」

「……え? そうなのですか?」

「悲しさと嬉しさを器用に同居させるな腹が立つッ! そもそも、そんな妄言どっから飛び出したッ!?」

「だ、だってエリザが幼女に興味ある風なこと言ってくるから。わたし、てっきり……」


 露骨に肩を落とすクリスに、エリザの感情は収まらない。

 心配してもらっていると思った分、尚更である。


「お前ねぇッ!? ホントふざけないでよッ!? このあたしが幼姿なんかに焦がれるわけないでしょッ!? 未成熟の何がいいのよッ!?」

「な、なんかッ!? なんかと吐いて捨てましたかッ!? 今エリザは、全世界のロリコンを敵に回しましたよッ!? 毒舌ロリ姿はとても愛らしいですけれどッ!」

「うるっさいッ! そんなの喜んで敵に回してやるわよッ! 一人残らず殲滅してやるわよッ!? どーせ生きていたって仕方ない、どうしようもない変態ばっかりなんでしょッ!?」

「変態じゃないです淑女ですッ! ロリコン淑女と訂正なさいッ! あとドSロリとかそれはそれでかなりいいですちょっとそのままわたしのお尻を蹴り飛ばしてみてくださいませ右のほうが弱いのでそちらをこうこするような感じで――」

「だあああぁッ!? 怒るのか発情するのかどっちかにしなさいよッ!? いや、どっちもやめてほしいけどねッ!?」


 ロリコンとはまともに口喧嘩すらできないのかと辟易する。

 エリザは怒りに任せて普段から思っていたことを爆発させた。


「そもそもねぇッ!? お前、あたしの妃なんでしょッ!? なのに他の女にうつつを抜かすとか何事なのッ!? あたし、そんなに魅力ないわけッ!?」

「あるに決まっているでしょう怒りますよッ!? 妖しき月光湛えし銀髪くんかくんかしつづけたいおぐし悪逆非道に煌めく紅眼すいこまれちゃいそうなおめめ残酷微笑を湛える薄紅ちゅっちゅしたいおくちに居並ぶは、凍てつく氷山顕現しにゅうしみたいにちいちゃい牙たちッ! 躊躇なき断頭暗喩し胸(つるぺたちっぱい)に、昏き邪悪を孕む腹(イカばらぽんぽん)ッ! そしてとどめの純潔蠱惑な絶対象徴(つるつるなお)――」

「ああああッ!? もういいやめろおぉぉぉッ!?」

「やめるわけないでしょまだ全部言ってませんッ! お気に召しませんか、じゃあ性格から言ってあげますッ! 威厳瓦解し滂沱す幼王(すぐようじょになる)のが可愛い、虐姫宿し一筋の慈愛ほんとはやさしくてめんどうみがいいところが素敵、恥辱に濡れし寝室濁流こわいゆめみてしっぱいし、絶対秘密の屈辱掃除かくれてシーツやネグリジェなどをきれいにしているのが、見た目相応の感じで――」

「だからやめろと言うにぃいいいッ!?」


 夜の王的に胸に刺さる字面を、変態で浸食されているような気がするのはなぜだろう。

 ともかく、好意を抱いているところをあげつらわれたのと、醜態を知られていたことを理解し、エリザはかつてないほど動揺し、もんどりうつ。


 


「わ、分かったッ! 分かったからッ! それだけあたしに首ったけなら、尚更聞かせなさいよッ!? どうして他の女にちょっかいかけてるのよッ!?」

「そんなの……」

「そんなの?」



「そんなの、ロリに失礼だからに決まっているじゃないですかッ!?」



「ッ!?」


 迫真の表情で叫ばれ、思わず気圧される。


「きゃっきゃうふふと、未成熟が故の煌めきを、はち切れんばかりに溢れさせているんですよッ!? 発育が終わり、本来失うはずの麗しさを湛えたままでおられるんですよッ!? そんな奇跡を目の当たりにして、はぁはぁしないなんて失礼じゃないですか常識的に考えてッ!?」

「そんな常識あってたまるかああぁッ!? そもそもそれこそ失礼でしょうが常識的に考えてッ! その子たちにも、あたしにもッ!」

「安心してくださいッ! わたしが愛するのはエリザだけッ! 愛情を向けるのはエリザにだけッ! その他の人は、ただの体目当てですからねッ!」

「どこが淑女だこのボケがああああッ!?」

「ひねりのないツッコみもそれはそれで最高ですううぅッ!?」


 いい笑顔で親指を立てるクリスに対し、エリザ渾身のアッパーカットが炸裂。

 クリスはあたり一帯の樹木と共に宙を舞う。

 草木を愛する親友が後に卒倒することとなる、彼女へさらに失礼を重ねる一撃であった。


 空高くへ飛翔させられ、巨木たちと共に雪崩打って地面へと落下するクリス。

 痙攣する彼女へと飛びついたエリザは、いまだ収まらぬ怒りを彼女へぶつける。


「このあたしの妃なら、誰も不幸にするんじゃないッ! この手で粛正してやるわよッ!?」

「ご、後生な……。せめて、さきっぽだけでも」

「さ、さきっぽってなによッ!?」


 きっと卑猥な何かなのだろう。

 妄言に真っ赤になりながらも、エリザは聞かなければならない疑問をぶつける。


「そんなことより聞かせなさいッ! じゃあどうしてお母様にあんなことしたのッ!? お母様、ロリじゃないでしょうッ!?」

「……ッ!?」



 何を大人の女に目覚めているのか。


 数日前、挙式の直後に母と不貞に走るクリスに辟易し、その後出会った見知らぬメイドへと様々な愚痴と共に叫んだ言葉だ。

 だが、あれからクリスがきゃっきゃうふふと舌舐めずって飛びついた相手は、今までと同じく幼女や合法ロリばかり。

 つまり彼女の主義主張、嗜好は変化しておらず、あの時のアレだけが埒外なのである。


「そ、それは……」


 ぶつけた疑問に、問われたクリスの表情が固まる。

 その雰囲気が変わったのを、エリザは感じた。


「言い逃れは聞かないわよ!? さあ、白状しな――」


 そうして自白を強要したときだった。




「「ッ!」」




 同時に、二人はその場から飛び退った。

 直後、殺到する闇色の炎。



 息を合わせるように、隣同士に着地するエリザたちへ、茂みの中から声がかかる。



「完全に不意を突いた形だと思ったのですけど。流石、といったところですね?」



 そして、進み出てくる者たち。



 目深にローブを被った人型たちが、口元を歪めながら姿を現した。

 そして、口を開く。





「女王の一人娘、エリザ様。……その命、我らが貰い受けます」








のんびりしていられなくなった妖花「……ハッ!? ウ、ウチは、一体……?」

我が道を行く踊り子(職業レンジャー)「あ、気が付いたー?」

のんびりしていられなくなった妖花「お、思い出したのッ! 疾風怒濤の結婚式が終わり、二人っきりでのんびりお散歩してたのに、木々がぶっ倒れてるのを見つけてッ!? 局所的にハリケーンに襲われたみたいになってるのに気付いて、その衝撃で意識を……」

我が道を行く踊り子(職業レンジャー)「大変よねー。植え戻してあげようかしらー」

のんびりしていられなくなった妖花「んなの無理に決まってるのッ! 親の仇みたいに極太の幹、ど真ん中からへし折られてるのッ! ああ、きっとこれもあのノロケふーふの仕業に違いないのッ! 一言もの申しに行ってやるのッ!」

我が道を行く踊り子(職業レンジャー)「まあまあ。決めつけるのはよくないわよー。それに、そういうコト、してる場合ー?」

のんびりしていられなくなった妖花「? どういう意味なの?」

我が道を行く踊り子(職業レンジャー)「やっと二人っきりになれたんだしー。ふーふになって初めての夜なんだしー。……ゆったり過ごしたいなーって、思うんだけど」

のんびりしていられなくなった妖花「ッ!? そ、それもそうなの。ま、まったくもう。アイツら、ウチの奥さんに感謝するがいいの」

我が道を行く踊り子(職業レンジャー)「うふふー。寛大なあなたも、わたし好きだわー」

のんびりしていられなくなった妖花「も、もう。いきなりそういうこと……言っても、いいけど」


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