六章:「えーっと、何なされているのでしょうか?」
ようやく書くことに慣れた今日この頃。
こんなところで挨拶はかなり可笑しいですがさせて貰います!
初めまして夜桜です。
処女作なのでかなり読みにくいですが今後とも宜しくお願いします。
高校三年間僕はずっと図書委員だった。
本と言う存在そのものが好きだからという単純明快な理由。
それを桐に言えば「本の虫かよ…」と呆れられたことがある。
仕方がない、親が小説家ならだいたいそうなってしまう。
五月が終わり六月。
……僕の中で一番嫌いな梅雨の時期がやって来た。
ジメジメとするこの時期は苛立つことも多いが何より本が傷む!!
この学校の図書館は古いから所々部屋の端にカビが生えており、前に古い貴重な本がカビだらけになっているのを見て思わず絶叫してしまったのは記憶に新しい。
なので本の為に僕は自主的に図書館の掃除にやって来たのだが……。
「えーっと、何なされているのでしょうか?最上さん」
「何って掃除ですけど?」
何を当たり前なと言いたげな瞳に僕は思わず「成る程」と呟いてしまう。
彼女の手には雑巾とバケツが握られているというのに僕は間抜けな質問をしてしまった。
自分だって掃除しに来たと言うのにこの残念感はなんだろう…。
だが僕の記憶が正しければ彼女は図書委員ではない。
放課後は家の用事で早めに帰らないといけないから部活も委員会も入っていないと桐(最上って言ったら睨まれたから呼び捨てにしました)が顔をしかめながら言っていたことを思い出した。
因みに今は放課後で彼女は本来いないはずだ。
「桐が赤点すれすれの点数を取るから先生に呼び出されたいて、私はそれを待っているだけですよ」
「成る程……て、僕声に出しました……?」
「いいえ」
そう言って綺麗ににこりと笑う最上さん。
あまりにも作り物めいた笑顔に僕は口許をひきつらせてしまう。
恐ろしいまでにも綺麗で自然な作り笑い。
何よりもそれを自然出来てしまう彼女が凄いと思う。
そんなことを考えている僕には気づかず彼女は「そう言えば」と言って話始める。
「桐と仲良くして下さりありがとうございます」
「え?あ、いいえ」
「弟は少し疑い深い性格で中々友達を作ろうとしないから心配してたまして……」
さも困ったという風を装うがどことなく嬉しそうだ。
だが、一つ言わせてもらいたい。
あれは疑い深いじゃなくてただのシスコンだと僕は断言出来る!
桐の話す内容の大半が姉自慢だ。
しかも感心するのは毎回同じ内容……ではなく違う内容を延々と話せるから余程姉を慕って(もしくは崇拝して)いるのがよく分かる。
最後には「姉貴に手を出したら殺す」と殺気つきで釘を刺してくれてる。
今まで友達が出来なかったのは姉に虫と言う名前の男を寄せ付けたく無かったのじゃないかな?




