五章:「どこにそんな要素ありました?」
「なんだよ、そのシスコン!」の続きです。
はっきり言うと1組はボロ負けだ。
人並みの運動神経しかない僕なんて数にいれてはいけないが、それを抜きにしても最上桐の運動神経は異常だった。
まず動きは豹のように早くライオンのように威嚇、圧力を放ってくるからこちらの動きは鈍ってしまうし追い付けない。
そして体力は20mシャトルランさえも意味がなさないぐらいの底なし。
異常だし規格外過ぎる!
ぜぇーぜぇーと荒い呼吸で汗だくの僕とは違い彼も汗だくだが呼吸は乱れていない。
あれだけ……野性動物顔負けの動きをずっと続けていたのに……!?
天才の弟も天才なのかな……?
「お前……貧弱だな…」
「う、うるさい……
あれだけ動いてたのに息一つ乱れてない最上くんが凄いよ…」
「……」
ホントに尊敬するし羨ましい。
恵まれた体格を有効に使えているのだから素晴らしいとしか言いようがない。
素直に称賛するが彼から反応が全くなく不安に思い彼を見ると何故か目を見開いていた。
え?何か驚くところなんかあった??
穴が開くかもしれないと、思うぐらい彼は僕を見てからニカリと笑った。
今までの不機嫌な様子が嘘のように年相応の少年らしい笑みだ。
その笑みに僕の方が驚き目を見開いたのは当然だと思う。
「お前面白いな」
「どこにそんな要素ありました?」
「存在全部」
「四字熟語で言われた!
しかも何気に酷い!!」
なんの嫌がらせだと言いたい僕は間違っていないと思う。
これを機会に僕は彼と仲良くなっていったのは必然だったのかもしれない。
後々どうして気に入られた聞いてみると、
「姉貴以外で俺の異常な身体能力を怖がらず褒めてくれただろ?」
とのこと。
どうやら本人も自分の身体能力は異常だと思っていたようだ。




