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二十八章:「一応言っとくけど本物よ」




文化祭は大成功で終わり皆笑顔だ。

けど、僕だけは暗かった。






打ち上げをするために委員長が参加者を募るがクラス全員がでるなか僕は不参加。

皆不満げだがそれに気づかないほど僕はショックを受けている。

暗い夜道、僕はそれよりも暗い心情で歩く。

明日には梢さんに会えなくなる。

そうなったのは僕が彼女の願いを叶えてしまっただからだと最上司は言った。

僕が彼女の願いを叶えたと言ってもしたのは彼女の母親が死んだであろう場所に連れていっただけ。

それ以後僕は彼女に関わりすぎた。

だけどそれだけで僕が重要視される意味が分からない。

「(そう言えば“姉弟”とか言ってたけど……

姉さんのこと知ってるのかな?

聞いてみるか)」

気づいたら家に着いていたので玄関に入り靴を脱ぐ。

思い足取りでリビングに向かう。



「随分暗いね、最上司さんとやりあったの?」

「いきなり確信をつかないでよ……」

「ありゃ?」

リビングのソファーで寝転がっていた姉さんは僕の覇気のないツッコみに首を傾げる。

どうやら予想外の反応だったらしい。

僕は姉さんが座るソファーの机を挟んだ向かい側のソファーに深く座り込みため息をつく。

そんな僕に姉さんは苦笑してからソファーにきちんと座る。

「聞かないの?」

「聞くよ

でも、その前に一つ質問




夏休み、何でついてきたの?」




僕の言葉に姉さんはいつものひょうきんな笑みを隠し無表情になる。

いつもとは違う姉さんに少し驚きながらも僕は続ける。

「あのときに気づくべきだったよ

いくら僕がソワソワしているだけで姉さんがあとをつけてくるわけなんて無いのに」

「そう?

それなりに弟を可愛がっているつもりだけど?」

「僕が女の子と遊びにいくって言ったら来たと思うけど僕はそんなこと1度も言っていない」

僕の姉さんは楽しいことが好きな人で弟である僕で遊ぶのが好きな人でもある。

だけど過剰なまでには干渉してこない。

よっぽど“デート”とか言わない限りは来ないのについてきた。

だったら姉さんの目的は僕じゃなくて梢さんなはず。

そう思い僕は姉さんを見ると……



見たこともないぐらい哀しげに微笑んでいた。



「はあ、墓の下まで持っていくつもりだったんだけどな~

でも、音樹がそこまで梢ちゃんを思っているなら仕方がないね」

そう言ってから姉さんはあらかじめ用意しておいたであろう一枚の書類と写真を渡した。

僕はそれを見て愕然としてしまった。

「……これって」

「一応言っとくけど本物よ

最上梢の母親“最上留衣(さいじょう るい)”の戸籍よ」

さらりと言う姉だが“他人”の戸籍を“他人”がてにいれる事なんて警察等の国家機関でなければ不可能に等しい。

だけど姉さんは持っている。

国家機関でも無いのに持っている、それは“最上留衣”が姉さんとって……僕にとっても“他人”ではないということ。

姉さんは静かに言う。

「“最上留衣”旧姓は“西木留衣(にしき るい)

……私たちの父方の叔母よ」



ああ

だから“姉弟”は似るのかだったのか。

思えば僕達のお父さんも物事の全てを平均的にこなせる人だと気づいたのはこのときだった。


爆弾投下!

大丈夫か?この物語!?

桐が全く出てこないぞ!!?

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