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二十五章:「僕のせい」



絶望かはたまた希望か。

このときの僕にはわからなかった。

それでも僕は彼という存在に絶望はしていた。











自己紹介なんて不要だと思ったのは後にも先にもこの時だけだった。

光さえも吸収してしまう夜色の髪と瞳。

僕よりも少しだけ背が高いおそらく50代近い男性が睨むように……いや、憎しみを込めて僕を睨んでいる。

「……最上司……さんですか」

「ほお、質問を質問で返すとはかなり非常識だね“西木音樹”」

「僕が“西木音樹”だと知っているのですから自己紹介なんて不要でしょう」

「成る程、なかなか合理的な人間だな」

好ましげな声を出すけど目は僕を睨み付けている。

正直言って通常の僕だったら怖さのあまり尻尾まいて逃げていたと思う。

でも、この時は梢さんを“幽閉”している最上司を親の仇の如く睨んでいた。

多分怒りのあまり正しい判断が出来てなかったと思う。

睨み付ける僕を最上司は鼻で笑う。

「君みたいなのが梢を?

……ありえないね」

「なんの話か知りませんが貴方の目に写ったものは真実だと思いますよ」

「ずいぶん生意気だな」

「そうですか?」


「……つくづく“姉弟”は似るのか」


小さく呟かれた言葉は僕には届かず最上司はため息をつく。

「梢の友人であった君に朗報だ

明朝、梢はアメリカに飛ぶよ」

「……!」

「本来なら高校卒業してから向こうの学会でデザインチャイルドの成功例として発表しようと思っていたのだが……」

チラリと絶句する僕を見る。

それだけで分かった。

僕が梢さんと深く関わってしまった故に彼女を僕と離すための強行に出たのだ。

そしてデザインチャイルドとして発表し梢さんから人権なりなんなり取り上げて僕と二度と会わせないように……。

目の前が真っ暗になり僕は心のなかで叫んだ。

「僕のせい」だと。




いきなり急展開!

まさかジェットコースターを90°で落としてしまいました!

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