二十四章:「今の僕が梢さんに対する想いだよ」
この学校の文化祭は1日だけ。
理由は色々あるみたいだが一番の理由は“勉強”。
なんて言ったって文化祭が終わった次の週には定期テストが待っている。
僕達の劇は午後の最後。
まさかの文化祭の最後を飾るのを1年生にやらせるとはますます訳のわからない学校だと僕は思う。
とにかくリハーサルまで時間があるので僕は図書館で時間を潰すことにする。
え?友達とまわらないのかって?
何人かの友達には誘われたけど今の僕はそんな気分じゃないから断ったよ。
図書館に入れば人は居らず僕は適当に本を何冊かとってカウンターで読み始める。
適当のわりには何故か恋愛系が多いのは納得いかない。
ハッピーエンドもあればバットエンドもある。
中世があれば現代もある。
そんな小説たちを次々と読んでいく。
いつも以上に物語に集中していた僕は感情移入までしてしまい泣きそうになる。
それでも半ば義務感のように読んでいく。
そしてラスト一冊はシェイクスピアの“オセロ”。
今回の僕達のクラスの題材にもなっている。
梢さんも好きと言っていた小説。
この物語の最後は裏切った夫が妻の復讐により自身の行いを悔やむというバットエンドもの。
それをハッピーエンドに変えた物語が僕の書いた“ヒヤシンス”。
花言葉は“悲哀”。
ハッピーエンドなのに花言葉がこれだとかなりの矛盾だが僕は最初この意味でつけたのではない。
「ヒヤシンスか……
今の僕が梢さんに対する想いだよ」
本当に過去の自分を呪いそうだ。
「君が“西木音樹”か?」
止めを刺すように彼が来たのには僕は“運命”を呪いそうだ。
ひゃあ、もう少しで終わりますよコレ。
年末年始には終わらしたいですね……。




