二章:「主席満点って……化け物?」
僕こと“西木音樹”が双子に出会ったのは桜が舞い散っていて葉桜になりかけている六月の中旬、高校一年の時のこと。
最初に僕が彼女のことを知った経緯を話したいと思う。
僕の通う某有名私立高校は進学校ということもあり年に5回の定期テストと2回の模試試験が行われている。
定期テストは凡人である僕でも学年200位中50位に入れるぐらいのレベル(点数で言うと大体500点中400点ぐらいかな?)。
これが模試試験となっても順位は変わらないけど点数は悲惨なことになる。
400点とれてた定期テストとは違いどれだけ頑張っても200点いくかいかないか。
まさしく悲惨。
この頃の僕は模試試験なんか捨てており「成績に入らないからいいや」と思っていた。
これは僕だけでなく多分学年の大半の人は思っていたと思うよ?
い、言い訳じゃないからね!?
だってさ!
一回目の定期テストの1週間後に模試試験という……。
只でさえ定期テストで手が一杯なのにそんなのできるわけない!!
だからなのか、模試試験を真面目に受ける人なんて皆無に等しかったんだ。
だけどただ一人。
愚直な迄に真面目に受けた人がいた。
この学校にはプライバシーと言うものはないのか?と、考えてしまうくらいに張り出されている上位50名の名前と点数を見て僕は苦笑してしまう。
あまり興味がないけど一応自分の名前があるかだけ見るとなんとか45位に入れたようだ。
「(ま、このぐらいが普通かな?
にしても模試試験は難しいな……)」
後々に知ることになるが、模試試験は大学入試レベルの問題らしいよ。
僕が自分の順位を認識したとほぼ同じぐらい、右隣からざわめきが聞こえた。
野次馬根性なんて持ち合わせてないけどこの時は何故か気になってしまったんだ。
気になって皆が見ている方を見て僕は絶句してしまった。
もう一度言っておくけど、この学校の模試試験は悲惨な点数を叩き出すぐらい難しい。
2位の子でさえ500点中300点という点数。
なのにだ……。
「主席満点って……化け物?」
誰かが信じられないという声音で呟いた。
それは僕も心のなかで思ったよ。
500点中500点なんて……高校一年が取る点数じゃない。
いらない自信だけどこの時はそう思ったよ。
ちらりと見た主席満点の名前は“最上梢”。
これが僕が一方的に彼女のことを知った瞬間だった。