十七章:「シェイクスピアはどう?」
一先ず、クラッカーを取り上げ1時間に及ぶ説教をしてから姉さんに相談してみる。
滅茶苦茶な人だが読んできた本の数はもしかしたら家族一、だけど何故か栄養士養成校に通っていたりする。
僕の相談に姉さんは少し考えてから口にする。
「シェイクスピアはどう?
あの人の作品なら高校生には少し難しいけどそれをアレンジしてごらんよ
音樹、そう言うの得意でしょ?」
「まあ、得意て言えば得意かな」
“ウィリアム・シェイクスピア”
数々の物語を作り上げたイングランドが生んだ偉人。
特に“シェイクスピアの四大悲劇”は有名で僕も何度か読んだ事がある。
僕が彼の作品をどれにするか考えていると僕の視界が黒くなる。
驚いて一歩下がると黒いものは少しだけ古びた本で“オセロ”と書かれている。
「これなんかどう?
話も一方通行で有名でほとんどの人が知ってる
最適じゃない?」
「勧め方をもう少し考えてくれたら最高だったよ」
「男が細かいこと気にするな!」
「姉さんはもう少し気にして!!」
少し話は脱線したけど姉さんが勧めてくれた“オセロ”を題材にして物語を創ろうと思った通り僕は直ぐ様簡単なあらすじを考える。
「“オセロ”って言うと「簡単に言えば裏切った夫とその後ろにいう父娘に復讐する妻だね」……」
確かに簡単。
だけど明らか泥沼に走りそうなのでもう少し違う感じに変えますか……。
文化祭まであと半月。
書き上げた原稿は皆に配ると多数の人に賛成を貰いそのまま採用。
題名は“ヒヤシンス”となった。
僕は知らなかった。
この物語が始まると言うことは“最上梢”との別れが近づいているのだと。
僕は知らない。




