十二章:「どこのナンパ男だよ!」
七月が終わり夏本番だと言わんばかりの暑さがくる八月中旬。
僕は宿題に追われていた。
科目は苦手な数学。
文系な僕の天敵だったりする。
他の科目は全て終わっているのに数学だけが終わらない!
「数学何て消えればいいのに……」
「泣き言言わないで手を動かす!」
「……」
「休憩はこれが終わるまで無し」
「鬼!」
「当たり前よ」
そう言って目の前の少女は自分の課題に向かう。
夜色の髪を結い上げている梢さんは一心不乱に問題を解いている。
僕の部屋で。
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誰か1人ぐらいツッコんでくれたかな?
誰か1人ぐらい「どうなってんだよ!?」って思ってくれたかな?
なら、説明しよう。
あの後、シリアスな空気をぶっ壊すように僕の姉“西木音嶺”が突撃してきたんだ。
「ちょっと何やって……うわ!滅茶苦茶可愛い子いるじゃん!!」
「どこのナンパ男だよ!」
「残念だけど生物学上は女だよ!」
「なんでそこで悔しそうに言うわけ!?」
「くそっ!昨日から様子がおかしい弟を尾行したら小さい頃によく来た遊び場で可愛い女の子と密会なんて……!」
悔しがる姉に色々言いたいことはあるけど一言だけに済ませてあげよう。
さあ、思いっきり息を吸って……
「この……
変態犯罪者紛いな残念馬鹿姉貴!」
え?一言にしては多いって?
じゃあ言いたいこと全部言ってもいいかな?
多分原稿用紙50枚は軽くいけるよ?
長くなりそうなので前編と後編で分けます!




