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十一章:「残酷なまでに優しく愚かな人」

前の話でも言いましたが、夜桜は遺伝子についてそれほどくわしくありません。

そのため読解ミスも多々あるかもしれません。

読みにくいかもしれませんが宜しければ読んで頂けれたら幸いです。



私の父と名乗る人物は“遺伝子”の分野では有名な人物。

名前は“最上司(さいじょう つかさ)”。

そんな彼の最高傑作は私達双子の姉弟でした。

私と桐は俗に言う“デザインチャイルド”と呼ばれる子供で、私は異常なまでに高い“頭脳”、桐は異常なまでに高い“身体能力”を遺伝子操作によって与えられました。




「父と名乗る人物“最上司”は私達を造ることで名誉を手に入れました

そして次々に“デザインチャイルド”を造ろうとします

ですが母はそんな“最上司”が怖くなり私達を連れて研究所から逃げ出しました

……辛かったけど一番幸せな時期でしたね」

「……」

私の独り言を黙って聞いているのは“西木音樹(にしき おとき)”くん。

桐が唯一友達と認めた人。

普通すぎるぐらい普通な彼は私の独り言に何も反応せず聞いているだけ。

ああ、やっぱり残酷なまでに優しい。

そして愚かすぎる。

このまま私の話を聞けば彼は普通じゃない人生を歩むことになるのは必須。

なのに止めない。

「4年前まで……母が亡くなるまでは凄く幸せでしたが、亡くなってからは私と桐は“最上司”のもとへ連れられました

かれは私達が母と同じく逃げられないように私と桐を家ではバラバラにして桐には見張りがつけられました

桐がいなければ私は生活出来ませんからね」

「……確かにあの残念なまでに皆無な家事力だったらね」

何やら納得したように頷く西木くん。

苛ついた私は悪くないと思います。

苛立ちを堪えるために黙っていた私に西木くんは“初めて”疑問を口にします。

「最上さん達の“才能”は遺伝的なものってことは……お母さんって何者?」

「……普通の人ですよ」

「……だからなの?」

西木くんは声を震わせながらとある仮定を口にしようとする。

本来であれば高校一年の私は止めるべき。

だけど私は止められなかった。

その行いが後々どれ程彼を苦しませ哀しみの渦に巻き込ませることになると分かりながらも私は彼を止められなかった。

「普通だから……





様々な事が全て“平均的”に出来る“遺伝子”を持っていたから“最上司”に選ばれたの?」





今でも私は彼を残酷なまでに優しく愚かな人だと思います。

私達を受け入れた彼は馬鹿なのかもしれません。

それでも、どれだけこの事を後悔しても私は彼を苦しませる選択するでしょう。



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