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再会 ⑤


 夕方から始まったクラス会も、終わりの時間が近づいていた。

 今日のメインイベントとして行われていたビンゴ大会も佳境を迎えている。


 「現時点でリーチなのは……。美夜だけ?」


 そうなのだ。ものすごい良いカードをもらったみたいで、あれよこれよという間に、かなり速いペースでリーチになってしまっていた。

 これは私がビンゴしちゃうかも。結花が景品が豪華だって言ってたよね。ドキドキしてきた。


 「じゃあ次の数字は……。7番っ!」


 えっ?うそ?7番って言うことは……。


 「はいはいはーーいっ!ビンゴーッ!!」


 本当に当たっちゃったよ。それも、ラッキーセブンで!

 あたしはガッツポーズをして大喜びし、結花から景品の封筒を受け取る。


 「はい、美夜。おめでとう〜。これ、某有名ホテルの宿泊券とレストランでのお食事券。スイートルームと豪華な食事を堪能してきて。大好きな人と」


 「バカっ!結花一言多い……」


 みんなの前でそんな事言うもんだから、顔が一気に真っ赤になってしまった。

 男子に「誰だよ、好きな人って?」なんてからかわれながら、もといた一番後ろの席に戻る。ビンゴ大会が再開された。

 真っ赤になった顔をパタパタと煽り冷ましていると、耳元で誰かが囁いた。


 「海野、良かったな。俺なんて見てみろよ、まだ全然揃わね〜よ」


 キャ〜ッ!!顔が近いっ!!せっかく顔冷ましてたのに、無駄になったじゃない……。さっき以上に真っ赤だよ。

 その顔を見られないように、慌てて下を向く。


 「先生、運ないよね」


 「悪かったな……。で、それ誰と行くんだよ」


 そう言って、あたしが持っている封筒を指差した。


 「誰って……」


 「今、付き合ってる奴いないのか?」


 「い…いないよ、そんな人……」


 なんでそんな事聞くんだろう。そういう事、先生には聞かれたくない……。

 そう思っているのに、先生の質問はまだ終わりそうになかった。

 

 「今まで一度も?」


 黙って頷く。


 「じゃあ、今好きな奴いるの?」


 「…………」


 いるよっ!4年間もずっと忘れずに想い続けてる人がっ!それも、目の前にっ!!

 心の中でそう叫ぶ。でも、口に出しては言えない……。

 自分が真っ赤な顔をしていることも忘れ、先生の顔を見つめた。


 「顔、真っ赤。でも、俺の言葉に反応して、すぐそうやって赤くなるの変わってないのな。かわいい」


 はぁ?今、かわいいって言った?

 一人、頭に中でかわいい?を繰り返していると、先生の口から信じられない言葉が聞こえてきた。


 「お前の好きなのって……俺だったりしない?」


 いきなりの言葉に驚き、目をぱちぱちさせながら先生の顔を見る。


 「せ…先生、何いきなり変な事……」


 そこまで言うと、今度は頭に手をぽんっと置き数回撫でたかと思うと、その手がだんだん下がりあたしの顔の横にある髪をサラッとはねのけ、頬を優しく包んだ。


 「卒業式の日に俺が言った言葉、覚えてるか?」


 …………『待ってろ。絶対に待ってろ』…………


 忘れるはずがない。私はあの言葉で、あの言葉ひとつで、頭と心の中が先生でいっぱいになって、4年間彼氏も出来ずにいたんだから。


 「覚えてる……」


 あたしは、まるで魔法にでもかかったかのように、無意識にうちにそう呟いていた。


「じゃあ成功だな」


 何が成功?どういう事なんだろう……。

 真っ白になった頭の中で一生懸命考えてみても、一向に答えは出てこない。

 先生は満足そうに微笑んでいる。

 その笑顔は、あたしの心臓を一瞬で鷲掴みにしするような極上の微笑だ。

 目が離せない……。 


 「お前が俺のこと、忘れられないようにしたんだよ」


 得意そうにそう言うと、突然腕をグッと引かれ、先生の胸に抱きすくめられてしまう。

 

 「な、何してるの先生っ」


 「うるさい。黙らないと、みんなにバレるぞ」


 何で怒られなきゃいけないのっ!。何も悪いことしてないのに……。

 それにあたし、何で抱きしめられてるのぉ?ここをどこだと思ってるんだろう。

 って言うか、嬉しすぎてドキドキが止まらないし……。

 もう頭の中、パニックだよぉ。

 誰かに見られていないかキョロキョロと確認しながら、先生の顔をチラッと見た。

 目が合う。鼓動が急激に早くなり、胸が苦しくなってきた。


 「美夜、俺と付き合え」


 「……はぁ!?」


 い、今、美夜って呼んだよねっ!?


 「俺の女になれって言ってんの」


 「誰が?」


 「お前以外に誰がいんの?」


 うそ……うそうそうそ……。

 あたしが先生と付き合うって……。

 本当に?こんな嬉しい言葉、信じちゃっていいの?からかわれてない?


 予想もしなかった展開に慌てふためくあたしを、先生は苦笑しながら優しく見つめ、もう一度きつく身体を抱きしめた。


 

 

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