プロローグ
新連載、はじめます。
不定期での連載ですが、なるべく間があかないよう、頑張りますっ!
もう何時間こうして鏡の前で、自分とにらめっこしてるんだ、あたし……。
ふぅーっと溜息をつき部屋中を見渡すと、クローゼットやタンスから飛び出した服があっちこっちに散らばっていた。
「あちゃーっ。いつの間にこんなに散らかしたんだろう……」
そう言いながら部屋をウロウロ歩き回る。
海野美夜、22歳。
ただ今、大学4年生。とは言っても、あと1ヶ月もしないうちに卒業式を控えている。
そして、この春からは社会人としてスタートをするため、パソコンのスキルアップに余念がない。
見た目はごくごく普通、明朗活発、大人の女性を目指して日夜努力中。
そして今日は、高校を卒業してから4年ぶりのクラス会。
二十歳の時にも開催されたが人数が揃わなかった為、クラス会と言うよりは単なる飲み会で終わってしまった。
でも今回は、ほぼ全員が参加すると聞いていて、あたしはワクワクしていた。
今回の幹事は、相葉七星と石田結花。今でも週に何度も会う大親友。
そして先日、その七星から電話があり、あたしに嬉しい報告をしてくれた。
「美夜、ビッグニュース!今度のクラス会、先生も参加出来るってっ!」
やったっ!!超うれしいっ!!!
高校3年生の時の担任、井上夕樹先生。
そして、あたしが密かに想いを寄せる人。
歳は29歳。あたしの7つ上。
容姿端麗、いわゆるイケメンというやつだ。それも、ただのイケメンじゃなく超イケメン。
身長も180はゆうに越えていて、スポーツ万能で身体もキュッと締まっている……と思われる。
実際にちゃんと見たことはないからね。
そして一番心惹かれたのは、優しいんだけど時々俺様的な口調になるあの喋り方。
低音とも高音とも言えない魅惑的なボイスで話しかけられると、身体中が蕩けてしまいそうになる。
思い出しただけで、ジュルッと涎が垂れそうだ。
危ない危ない……。
あたしの通っていた高校は、元が女子高のため、男子生徒が極端に少なかった。
こういった場合、若い先生がいたりすると憧れの的になる確率は異常に高かったりする。
……………生徒が教師を好きになる…………
テレビドラマの中の話だけではなく、実際の学校でもよくある話だ。
そしてそれが、さっきも言った通り、“長身でイケメン、スポーツ万能、優しいけれどちょっと俺様”ときたら、女子生徒たちから絶大な人気を博していても、なんの不思議でもない。
そして、あたしも例外ではなかった。